独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

傘傾げ

2006-11-19 | Weblog

最近では珍しく、雨が昨日から2日間も降り続いている。夕暮れも早いし、どうしても足早になりがちなのですが、昨日から実によく傘をぶつけられる。一度なんか、顔に当たり思わずヒャッとしたが、当てた当人は謝るでもなく、そっちが悪いのよ、って風情で通り過ぎてゆく。傘を当てられた3人が3人とも女性で、しかも20~30代というのが気になる。

江戸時代には「江戸しぐさ」というのがあって、混み合う場所ですれ違うときは、お互いに思いやり、人にぶつからないように、「肩引き」をしたり、雨の日は、傘でお互いが濡れないように、傘を人のいない外側にすっと傾けてすれ違う「傘傾げ」というのが雨の日の心得。共に気持ちよく、心地よく暮らしてゆくための暗黙のルールがあったそうで、それを総称して「江戸しぐさ」といいます。本当に子供でも分かる社会常識、人への思いやりなのですが、最近は「人を慮るやさしさ」にかけ、公共の場でも我ひとりという風情。しぐさは、仕草、思草で、思案、思慮、思想の「思」で、草は、行為、行動、実行の「行い」を意味するんだそうで、その人の心がそのまま形となって表に出ることなのだそうです。「人に傘をぶつけて、あなたが悪い!」という人の心のありようは、どんなものなのでしょうか。よく知識と教養といいますが、江戸しぐさは、それ以上に八っさん、熊さんも、人として身に着けていないといけない当たり前のことで、それを忘れかけている日本人、どこか不安…