独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

丸台

2011-07-26 | 自学自習塾

写真は、帯締を組む丸台。江戸時代、亀戸天神の太鼓橋の渡り初めに深川芸者が帯結びを工夫し、いわゆる「お太鼓結び」を創案。このお帯結びには帯揚げ、帯締めを使い、これにより組紐の需要が爆発的に伸び、組み方や台も工夫されて誕生したのが「丸台」と言われています。写真の丸台、非常に素晴らしいモノで、桜の木を使っていますが、「鏡」といわれる丸い部分は、固く、狂いが生じない1本の木から切り出したモノで、桜や栗が使われますが、この台の樹齢は100年前後と思われます。いまやこんな見事な木も少ないし、台を作る職人も皆無とか。来週の自学自習塾のした準備の打合せをしているのですが、聞けば聞くほど話は面白いし、次から次へと興味深い話になり、あっという間に時間が経過。社長が組む「綾竹組」を見ながら、「僕は未だ綾竹が組めないんですよ。悔しいなあ」と入社わずか1ヶ月のスタッフが、思わずぽろり。「彼には幻の組を再現するように、テーマを与えているんです」とは社長。社員さんがきちんと自社の商品を組め、それぞれの長所や特徴を実感でわかっている、説明出来る、というのは当たり前のようでいて、当たり前ではない。2人の会話を聞いていると、うらやましいくらい「帯締めが好きで、好きで仕方がない」という思いが伝わってくる。来週の講義、普段聞けないような、見られないような稀少なものも持ち込んで講義頂けるとのことなので、急ぎプロのカメラマンを依頼し、全部記録することにしました。いまから、愉しみです。


山下清?!

2011-07-25 | 自学自習塾

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写真の主は山下清さんではありません。しかし昭和の匂い、懐かしい思いがしますよね。私の親父も夏場、ランニングにステテコ姿で過ごしていて、もちろん子どもたちもランニング姿遊び回り、ちっとも不思議でない姿でした。写真の主は、草木染めの作家、と言うより職人、研究家の富田五郎さん。昭和の時代、問屋にいて余りにもいい加減な商品作りに怒髪天を衝き、本物を作らなければ、きものが廃れてしまう。多くの先達達が創意工夫した技や智惠が、途絶えてしまう、そんな思いから草木染めに一番危機感を持ち、独自に研究開発して作ってきた富田草木染め。それこそ私財を投じ、研究三昧の日々。その甲斐あって、素晴らしい草木染めの数々が出来てきましたが、私生活は「赤貧洗うがごとく」…です。モノの贅沢にはこだわらないが、心豊かに暮らすことに一徹な富田さん。世に”本物”を1人でも多くの人に着て欲しいと、30年来価格は据え置き。心ある人に着て欲しい、商って欲しい、素晴らしい人が作る、素晴らしいきものです。


あと5名様です!

2011-07-24 | 月刊アレコレ

月刊a/r/e/c/o/l/e  第1回 きもので楽しむ和ークショップ

 きくちいま/トークイベント&人形町街歩きツアー

あと5名様募集中!

 

 

開催日時:8月3日(水)13:15~16:30

参加会費:お一人 アレコレ読者3,000円、一般3,500円

開催会場:日本橋公会堂及び、人形町周辺

     中央区日本橋蛎殻町一丁目31番1号  03-3666-4255

お申込み&

 お問合先:月刊アレコレ info@arecole.com

■スケジュール

時間

内容

13:00~

   13:10

会場受付

13:10~

   14:40

きくちいま/トークイベント 

気の置けない仲間とおしゃべりするようなフレンドリーなス

イルできくちいまさんとの身近なキモノトークをお楽しみ

下さい。皆様ご存じの通り、月刊アレコレには創刊から「き

ものの引きだし」を好評連載中ですが、子育ても仕事フル

回転。最近は小千谷縮やフェリシモなどで多くの商品開発に

も携わっています。これら商品開発の動機や経過、そして

365日きもの生活のつれづれを愉快にお話頂きます。

きくちいま氏・プロフィール/

 73年、山形県生まれ。きものの広告、出版会社に入社し、コピーライターとして活躍。99年フリーのライター、イラストレイターとなる、幼少から母の影響できもの大好きで、25歳からきものだけの生活に。

14:40~

   15:00

休憩

15:00~

   16:15

ちょっと贅沢な人形町街歩きツアー

ちょっと贅沢に歌舞伎大向こうの会会員で役者の佐藤光生氏

特別にガイド役になって頂き、水天宮を起点に甘酒横町を

中心にきものの似合う街・人形町を街歩きご案内いたしま

す。人形焼の老舗・板倉屋、銘菓玉英堂など、甘酒横町には

庶民的なお店がずらり。街歩きの終点は中国茶の名店・小梅

茶莊。中国茶の数々の蘊蓄をお聞きしながら試飲。冷たいお

茶で一息入れ、解散です。

佐藤光生氏・プロフィール/

「歌舞伎大向こう弥生会」会員、劇団「座」劇員の佐藤光生氏は、好きな役者、歌舞伎三昧の生活を始めるため定年を待たずに退職。特に幼少よりなじんだ歌舞伎には造詣が深い。歌舞伎や舞台の名台詞や台本を楽しんだり、名著の中に描かれる街歩きをするなど、佐藤氏の指導で近くアレコレの和-クショップも開催予定です。

 


9月から新しい講座を開設します!

2011-07-24 | 自学自習塾

9月から新しい自学自習塾、1回集中講座が始まります!

 

9月から「帯」「着付け」「仕立て」の3つの1日集中講座を毎月開催します。

帯は目白花邑の店主 帯司 すぎえすみえさんに学びます。きものの仕立てに比べ、丸投げが多い帯の仕立てですが、きめ細かくお客さまの体型や好みにあった仕立てが提案できれば、お客さまも楽で、愉しく結べ、お店への信頼が増します。ベテランの呉服屋さんでも案外知らない帯職人の智惠や工夫、帯の歴史から丸帯、袋帯、名古屋帯、腹合せ帯、お染名古屋帯、八寸名古屋帯、綴帯、半幅帯、付け帯、角帯、兵児帯などの種類と特徴、仕立て方、帯芯のこと、TPOまでを解説。さらにお手持ちの帯が体型の変化により不便を感じたときなど、帯地の長短やお客さまの体型に応じた様々な仕立て方やお直しなど、明日からすぐに役立つ実践的な知識と智惠、技、更にきものへの熱い思い、魅力も集中して16名の少数精鋭できめ細かく、丁寧に伝え、教えます。

 

■日程とスケジュール

開塾日:第1回  921(水)

2回 105(水)

3回 112(水)

4回 127(水)

*毎回13時から1630

会場:目白花邑(JR山手線目白から徒歩7分)

受講料:おひとり20000円(税別)

受講人数:先着6名様限り(催行人数3名から)

 

詳しくは資料を作成中ですので、「自学自習塾について」とお問い合せタイトルを変え、資料請求、またはお問い合せ下さい。


楽しみ方を変えれば―

2011-07-24 | 広告

昨日に続き、雑誌「マート」のことですが、例えばホームベーカリーは2万円程度と安くない。しかし一度入手すれば何種類もパンが作れる。焼きたてのパンは格別だし、ママ友お茶会の手土産にもなる。レシピ交換すれば話も弾む。費用対効果が抜群の商品なのである。そこでホームベーカリーの別冊を作ったところ、3冊のシリーズとなる大ヒット。「読者はどんなパンが焼きたいか聞いてみたところ、パンの名前ではなく、『ポールで売っているようなパン』とお店の固有名詞を使った言い方をしたんです。だから僕らは人気のパン屋さんに頼み込んでレシピを教えてもらい掲載することにしました。『○○みたいな』の○○は読者の気分で次々に替わりますが、この固有名詞のキーワードさえ旬であれば、すでにホームベーカリーを持っている人に対しても、常に新鮮さを保つことが出来る。

「マートが同じ商品やショップを、利用法や楽しみ方をいろんな角度で伝えながら、繰り返し取り上げる理由も同じです」。こうした仕掛けと“現場ありき”のポリシーが徹底しているマートは、文字通り消費者参加型雑誌。誌面に協力する読者会員約3000人、ウェブ会員16,000人の2つの組織を持ち、誰でも参加可能なのが特徴。「初期には登録するとおまけがもらえるキャンペーンをやったが、幽霊会員を増やすだけで失敗。コミュニティの質やロイヤリティを下げるので、書き込みに応じてポイントを出すこともせず、来る者拒まず、去る者追わずで、読者を囲い込まず、新鮮な水がどんどん流れる川のようにしたい。カリスマのようなご意見番を作らない」。マート成功の秘訣は「自分はおじさんで何もわからない、と言う役割を引き受けて、教えを請うスタンスで接すること。すると彼女たちは、全くもう、しょうがないと丁寧に教えてくれる」と大給編集長。


主婦がビーズを作る本当の理由

2011-07-23 | 広告

私の周りにもビーズにはまっている方が多くいらっしゃいます。定期的に浅草橋の問屋街まで材料を買いにきて、それは熱心です。光文社の発行する月刊誌「Mart」は、「創刊前に港北や浦安の30代の主婦達に話を聞いたら、当時ビーズが流行っていました。ところが、その中に『本当は好きじゃないけど、やっている』という人たちがいたんです」と編集長の大給氏。「ビーズ作りに興味はないが、ビーズ作りをすればコミュニティの一員になれるし、交流できるのが愉しいという。つまりビーズはホビーではなく、コミュニケーションツールだった。なるほどと思って詳しく話を聞くと、ル・クルーゼやダウニーを見せ合ったり、使い方を伝え合ったり、ビーズ以外にもコミュニケーションツールが幾つもあったんです」。女性誌でフォーカスされがちな麻布や成城で暮らす優雅なセレブはほんの少数派。かといって節約ばかりに勤しむ倹約主婦像も極端。大多数は色々な意味で「そこそこ」の普通の主婦で、2万数千円のル・クルーゼなら買えるし、その金額に見合う価値があると考えている。港北や浦安に住む30代、40代の主婦は当時すでにこうした価値観を共有しつつあった。そこで大給氏は、毎日の生活を彩るコミュニケーションツールを通し「そこそこの主婦たち」のコミュニティの場として「マート」を位置づけることにしたそうです。以来マートの取り上げる商品やショップ、イケア、コストコ、食べるラー油、クルーゼ、柔軟剤のダウニー、シリコン製調理器具のルクエハイアールの冷凍庫…は大ヒット。スーホルムカフェのトートバックは4,000個の販売目標が17万個以上。ハイアールの冷凍庫は雑誌掲載後1週間で6,000台も売れたという。こうしたヒットは偶然の産物ではなく「マートは人と人をつなぐコミュニケーションの最新情報と“場”を提供する雑誌です」と2004年の創刊以来、雑誌を「コミュニティ」「コミュニケーションツール」と位置づけているユニークな編集方針が当たり、商品開発担当者などにも注目されています。


紅板締め(2)

2011-07-22 | きもの

紅板締めは、布を屏風畳みにし、両側から模様を彫った型板を当てて、かたく縛って防染し、染液に浸し、紋様を染め出すもので、正倉院に伝えられる夾纈の1種で、奈良時代には隆盛を極めましたが、徐々に衰退し、江戸時代後期に入り、京都を主産地として高価な紅と絹を使った「紅染」と出雲では藍を使った木綿の「藍染」の板締めが人気を博しました。紅板締めが流行した背景には、度重なる幕府の贅沢禁止令の影響があり、表着はあくまでも地味に、しかし見えないところは思い切って贅を尽くし、おしゃれをする、と言う江戸っ子の美意識「底至り」がありました。しかし、明治、大正となり、型染が発明され、更に化学染料が使われるようになると、手間のかかる紅板締めは衰退してしまい、ついに世から姿を消してしまいました。

また紅板締めは、長襦袢、裾よけなど女性の下着や間着に多く使われたことから、広く目に触れる機会も、現存品が少なく、高野染工所が廃業してからわずか6年ですが、急速に私たちの記憶から消えようとしています。またすでに技法にも不明な点が多く、「幻の染め」とも言われています。

 

襟元や袖口、裾から覗く鮮やかな紅染の下着、また襟や帯はひときわ鮮やかに赤く、華やかに装う女性達を魅了したのが、「紅板締め」。幻の染めといわれる「紅板締め」の染色工程やいまも色鮮やかな紅花で染められた長襦袢など、江戸から明治期の普段余り目にすることのない下着を一堂に集め、「紅板締め 江戸から明治のランジェリー」と題し、特別展を開催します。

 

紅板締め 江戸から明治のランジェリー

 

開催期間 7月26日(火)~9月4日(日)

       *平日9時30分~16時 土日祝9時30分~17時

       *入館はそれぞれ30分前まで

会場    国立歴史民族博物館 企画展示室

      千葉県佐倉市城内町117 電話043(486)0123

 


紅板締め(1)

2011-07-21 | きもの

江戸から明治のランジェリー

 

「ランジェリー」ということ言葉が、何かドキッとして新鮮な感じがするのですが、紅板締めは江戸から明治、大正に流行した長襦袢や裾よけなど下着の染色技法です。京都が主たる生産地で、あと高崎など地方でも1部作られていたようです。しかし明治、大正に入り、化学染料、型紙が普及するにつれ、手間がかかり、効率の悪い紅板締めは需要がなくなり、2005年には最後の紅宇・高野染工所が廃業し、姿を消しました。紅板締めは、染織技法に不明なコトも多く「幻の染め」とも言われていましたが、高野染工所が2万点を超える型板や資料を国立歴史民族博物館に寄贈であったことから、その詳細が解明され、7月26日から鮮やかに染められた長襦袢など多くの品々と共にその詳細が公開されます。開催期間は7月26日から9月4日まで素敵な博物館ですので、少し不便な場所にありますが、夏休みにこの稀少な展示会をご覧になっては如何でしょうか。

 


実際に体験する!

2011-07-16 | 自学自習塾

多種多様な染や織のきものと帯、、更に小物まで加えるとざっと数えても最低500~600種類の商品知識がなければ呉服屋さんは務まらない。しかも下駄や草履屋さん、小間物屋さんなどきもの生活者に必要不可欠な小物を扱っていたお店が閉店しているので、その分も引き受け、取り込んで行かないと―とにかく基本は、商品の目利きにならないと呉服屋さんは始まらない。で、後継者の勉強会・自学自習塾では、商品の出来るまではじめ、様々なことを現場に学んでいる。今回も簡単な引き染め実際に1人1人にやってもらったが、生地の張り方、伸子張りの使い方、さらに身幅に刷毛を一方方向に引き染め、繰り返してゆく。しかも素早くやらないと染料がどんどん乾いてゆくので、むらになってしまう。実際にやってみると張った生地がゆらゆらと揺れ、案外と手こずる。百聞は一見にしかず、といいますが、実際に1つ1つの行程を目で学び、身体で学び、さらに自ら調べて学ぶのですが、主催者としては、場所探しが案外と難しい。つい10年前までは、東京でも多くの染工所や蒸し屋さんなどがあったのですが、この1,2年で一気に廃業してしまったので、現場を探すのが至難になってきています。理想の店作りをするために、多くを学びたい、特に現場を学びたい呉服屋さんにとって、中々厳しい環境ですが、今も続けている現場の人々や職人さんは、きもの熱の高い人たちなので、”学ぶ人”にとても親切で、永年の技術や経験と共にきものの魅力を余すことなく、様々に伝えてくれる。このレアな体験はその人の生き方からつたわるものは、本当に稀少で、呉服屋さんを一生の仕事にしようと学び、行動している人たちを、大いに勇気づけます。


生き残り策はー

2011-07-15 | 広告

 

都会に住んでいると不便を感じることは滅多にないのですが、私の住む街でも個人書店の閉店が続き、いまはそこそこの規模の本屋が2軒になった。全国でも10年前に比べ約28%も本屋さんは減少し、当然売上げも減少。本屋さんは建前としては規模に関係なく定価販売、委託販売が基本で、大手書店も個人書店も同じ商品を扱うのですが、売れるベストセラーは大手を優先した配本で、個人書店に配本されないことも。しかも稼ぎ頭の雑誌はコンビニに優先配本されるなど、個人書店は一層厳しい状況に。更にネット書店が登場し、電子書籍が登場するなど、路面店の苦戦は続いています。そんな状況の中、今月の始め国際ブックフェアが開かれ、書店が生き残る道を議論するシンポジウムがありました。そこで提案された幾つかの解決策は書店に限らず、小売店に共通する問題解決の示唆に富んでいるように思う。

・「取次店に依存した配本によらず、独自の偏ったセレクトの方が琴線ふれ、面白いものを見つけてもらえる」・「地域の需要に即しながら、店の個性を出すために出来るのが、企画展やフェア」・「取次店から配本されたモノを漫然と並べ、売れなければ返品ではなく、書店が仕入れのプロを育てなければ」・「顧客意識のあるお店にならければならない」・「書店は、文化発信基地でなければいけない」・「書店はいい本と読者を出会わせるお見合い産業」・「お客さまをよく知り、1冊1冊の本を点から線にして、魅力的な棚を作る。だから仕入れは生命線。」などです。いずれも今更、という感じがするのですが、それだけに問題の根は深いのだろが、これ以上街の本屋さん、減って欲しくないモノです。