独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

30年で、15軒か!

2007-11-29 | 日々雑感

食べることが大好きなのですが、流石昼食は、特別な時を除いては近所で済まします。時間によって大体のお店の混み具合も分かるので、空腹具合や気分、仕事の流れ、お相手などでお店を選んでいます。大体は1人が多いので蕎麦の堀留庵、けんちんカレー蕎麦が美味い東嶋屋、藪蕎麦、冷やし中華が絶品の中華の明華園。小林ベイカリーのランチ。雰囲気を変えるとパンも好きで、テレビチャンピオンでクリームパンが絶賛されたパンの松村、ドイツパンのタンネ。ここのパンは絶品。お客さんと一緒の時には鉄板焼き、すき焼きの今半本店、鰻の大和田本店、日本料理の北浜、京樽、洋食のキラク、芳味亭。黒塀のお好み焼き・松浪のランチもいい。すごく、すごく頑張ると寿司の喜寿司。

しかしこう列記してみると、どこも笑顔いっぱいではないが、ニコニコと気持ちのいいお店ばかり。結局は味もさることながら、お店の空間ー、やたら狭くない、詰め込まないなど雰囲気がよく、なにより気配りが出来るお店を選んでいることに改めて気付く。人形町に事務所を構えてもう30年近くになるが、結局はこの狭い、というかわずかな店にかなりの頻度で行っているんだ、そう思ったら、ウ~ン!


早くも新年号

2007-11-28 | きもの

街はクリスマスのイルミネーションだし、テレビからはクリスマスソングが流れてきて、気が急かされるというのに、ダメ押しで早くも今日は女性誌の発行日。書店の雑誌はいっせいに新年号。あおられる。新年号でゆいつ着物姿だったのが、25ans。しかも特集は「着物で主役」。

世界のパーティシーンで視線を集めるヒロインに!

ー主役オーラの「華きもの」ー

あらゆるジャンルで“王道”が注目されている今、日本美の原点、きものに情熱を注ぐ女性たちが増えています。特に海外に出る機会の多いソーシャライツたちは、堂々ときものをまとって夜会へ! パーティで主役オーラを放つ“華きもの”こそ、私たちのマスト・アイテムなのです。実例取材から着こなし提案まで、今の時代に際立つ“華きもの”をご紹介します。



有閑倶楽部

2007-11-26 | きもの

日本テレビで10月から放送開始された「有閑倶楽部」。仕事でご縁のある女優さん美波が出演しているので、見るにあたってストーリーやキャラクターくらい知らなければ、ということで原作をまず三冊購入。原作は一条ゆかりのマンガで、なんともう20年も連載が続いているとか。仕事がらみだからと読み始めたのですが、なんとまあ面白い。夢中になってしまった。特に美波演じる剣菱悠理は、財閥の令嬢なのだが、喧嘩大好きの大食い。我が家の野球小僧はマンガや小説が好きだが、女性が主人公のものは、なぜかバカにして読まないのだが、『有閑倶楽部』にはハマッてしまい、熱心な読者に。どうもというか、やはり剣菱悠理のファンのよう。私にしても判官贔屓で剣菱悠理のファンに。また美波 が原画のキャラクターによく似ている。という訳で、我が家はちょっとした有閑倶楽部ブームで、シリーズが出るたびに購入し、早く次を読みたくて、いま禁断症状中。

このマンガの好きなところは、作者が着物好きなのか、主人公達が着物を着ているシーンがすこぶる多いこと。ところで主人公達の苗字が、白鹿、松竹梅、剣菱、黄桜、菊正宗など、全てお酒の銘柄だって、知っていました。


ミシュラン効果

2007-11-23 | 月刊アレコレ

人形町の濱田屋がミシュランで三っ星を取った思わぬ余波が、月刊アレコレにも来た。というのは、ご縁があって昨年の12月発行号・Vol24、「きものびと十人十彩」で、女将の三田啓子さんを取材させて頂いたことがありました。わざわざお正月ということをお気遣いいただき、お正月らしい素敵なおきもので登場いただきました。その情報、といっても目次にお名前だけがアレコレのHPに掲載されているのですが、女将さんの情報がネットに少ないため、いつもは月12,000前後のアクセスが、三っ星に選ばれた、という瞬間から跳ね上がり、わずか4日で20,000を超えてしまった。ヤフーの検索でも3番目。熱し易く、覚めやすい、大衆の恐るべきミーハー、好奇心。とともに調べるのは、先ずインターネット、という時代になったことをヒシヒシと実感させられます。ミシュランに選ばれたお店は、どこも予約が殺到しているそうですが、そのおこぼれでいいので、アレコレの購読者が増えるといいのですが…

 


きもの文化検定

2007-11-22 | きもの
11月18日、第2回目のきもの文化検定が行われました。全国で10会場、10,297人が受験したそうです。しかも一般受験生が82%と嬉しい次第ですが、1回目に比べ新鮮味に欠けたのか、新聞やTVニュースでもほとんど話題にならなかった。また今年は中級(3級)と初級(5・4級)が同時に行われ、初級が4,573人と昨年の6,722人を大幅に下回ったのが気になるところ。早くも裾野の伸び悩みが問題になりつつあるというところ。しかし1万人を超える受験生がいたということは、着物を着る人の知識欲の旺盛さを示すもので、ボヤボヤしていると販売員を着物を着る回数でも知識でも凌駕してしまうかも。プロも勉強しなくちゃ。
       

ミシュラン

2007-11-21 | 日々雑感

「ミシュランガイド東京2008」が発売され、星つきレストラン150軒が選ばれた。東京の料理店の頂点に立つ三つ星8軒に、当社のすぐ近所にある料亭「玄治店濱田屋」があり、女将さんが着物姿で認定式に出ていたのはうれしいことです。先見の明があったのか、月刊アレコレVol.24で女将の三田啓子さんを”きものびと十人十彩”で取材していますので、是非読んでみてください。

ミーハーなものですから、150軒の星つきレストランの中で、この1年で果たして何軒いったことがあるのか調べてみたら、三つ星で玄治店濱田屋、ロオジェ、二つ星でサンパウ、龍吟、一つ星で小笠原伯爵邸、銀座寿司幸本店、幸村、与太呂、とうふ屋うかい。いずれも接待でいったお店ばかりですが、店選びの目は結構高い?かもと自画自賛。プライベートでという敷居の低さ、お勘定の手頃さは銀座寿司幸本店だけ。一つ星のなかに当社社員の義兄が経営する「すがわら」が入っていました。おめでとうございます。数度行ったことがあるのですが、こじんまりした洒落たお店で、繊細な味わいのお店です。

ミシュランの調査で面白かったのが、調査のポイント。料理の味はもちろんのこと、室内の調度品、清潔度、温度、照明などの食事をする空間、トイレの清潔度、客のレベル、従業員の人数やコストパフォーマンスなども審査の対象となっているんだそうです。そして時には厨房に入り、厨房の清潔度や冷蔵庫を覗き食材を確かめたり、仕入先に「本当に取引があるか」確認までするとか。いま事件になっている船場吉兆のようなことはチェツクできるんですね。つまり「お皿の中」だけではなく、「お皿の外を見る」という、もう1つの大切な視点があるんですね。ミシュランは毎年更新されますから、星をもらったお店は来年格下げにならないように、またもらわなかったお店は来年はもらえるように、多分これからも切磋琢磨してゆくのでしょうから、昔のように「黙って俺の出すもの食べろ!」というような店はなくなって、味に加え接客や雰囲気のいいレストランがこれから増えるのは確実だと思います。


きもの日和

2007-11-19 | きもの

たまたま出店した呉服屋さんの打ち合わせの帰り際に主宰者の1人のMさんと鉢合わせ。顔を見てしまった以上、成り行きで帰るわけにも行かず、11月3日4日の両日、恵比寿で開かれた「ニッポン全国きもの日和・東京」の様子をお伺いすることにした。

参加者は昨年を上回る約2,500人で、大成功だったそうですが、なにしろ組織を持たないボランティアなので、1ヶ月前からてんてこ舞い。当日のスタッフもみんな手弁当で手伝ってくれたそうです。後援や協賛に名を連ねる会社は多いのだけれど、資金応援は雀の涙、人の応援もなく、四苦八苦しながらの開催。1千万近い予算がかかったそうですが、なんとか赤字にならなくて済みそう、多分?と自信なさげ。呉服屋さんがお客様と一緒に参加してくださったり、ペアで参加してくれたり、少しづつ参加者の様子も変わってきているのですが、全体の80%、圧倒的に女性の参加者が多い。某大手呉服販売店の社長は朝一番から行列に並び、2時間も会場を観察したそうで、全体に大手業界関係者が社長以下熱心に来場し、参加者の着物姿を子細に観察していったそうです。企画が盛りだくさん過ぎて、参加者同士が楽しみあったり、買い物する時間が少なかったかなと、チョッピリ反省していましたが、来年も継続するそうです。

月刊アレコレも来年はこの日を目指して「いまさんのカレンダー」を発売するなど、計画しようかと思っています。是非皆さん応援してあげてください。


便利さは、知恵を奪う

2007-11-05 | 日々雑感
「便利さは人の知恵をどこかで奪ってゆき、本物から遠ざけていく」とは、映画監督の崔洋一監督。私たちの年代には懐かしい白土三平の「カムイ外伝」を3年ぶりにクランクインする崔監督。忍者の掟を破り、「抜忍」となって追っ手から逃げつつ戦い、真の自由を求めて、孤独に生き抜いてゆくカムイが繰り出す多彩な忍術やアクションは見どころの1つとなるのだが、崔監督は、「映像の世界ではデジタル技術への取り組みが大きな潮流をなしていますが、逆にCGを一切使わないアクション映画が支持されるような、先祖がえりの現象も出てきている。安易なCGデジタルに頼らないで、生の身体表現を考えたい。アクションシーンを考える中で参考になるのは中国の雑技団やアメリカのアイスショーといった、世界の優れたパフォーマーのあり方だったりします。それは『本物』だから。いずれも営々と続いてきた伝統文化です。いまは、知恵を絞る前に『CGで』という話になってしまいがち。便利さは人の知恵をどこかで奪ってゆき、本物から遠ざけていく。僕がデジタルについて最も危惧しているのはその点です」。

コト商品

2007-11-04 | 日々雑感
お歳暮商品に異変が起きているという。高級食品で他との差別化を計る一方、15万円の温泉旅行やヘリコプターによる都内遊覧、高級ホテル一泊など、近年お金の使い道がモノからコトに移りつつあり、モノ以外の「出来事」、コトなどサービスをお歳暮商品にする傾向が顕著という。モノやカタチより、思い出や楽しい時間を贈りたい、という需要が増えているという。高島屋の今年のお歳暮のキャッチフレーズは「美事・みごと」だそうです。とはいえモノ需要が主流で、モノは希少価値や限定商品だそうです。

読書の秋

2007-11-03 | きもの

新幹線の往復の車中で読める本ということで、書評に「緻密な考証に基づいて作品作りをする作者の人気シリーズ。大伝馬町の木綿や麻を扱う老舗太物店を勘当された若旦那の江戸の粋が香る短編連作集」とあったのを思い出し、杉本章子の「信太郎人情始末帖ーおすず」を購入。中山義秀文学賞を受賞した作品ですが、杉本章子を杉本苑子と勘違いしていたくらいだから、作者の本を読むのは初めて。物語の主人公の信太郎は、芝居小屋の大札(金銭出納の元締め役)をつとめる九右衛門の下で働く若者だ。元をただせば呉服太物店美濃屋の総領息子だが、許婚を捨て吉原の引手茶屋の女主人・おぬいの家に転がり込み、いまは内証勘当になっている。呉服屋、芝居、吉原を舞台にしたミステリー小説でもあり、人情小説でもあり、読み始めたら面白くて止まらない。集客を計る引き札(広告ビラ)や企画、さらにはお買上げいただいた上得意さまには、もうこの時代から食事をお出ししたり、呉服店の日常がさりげなく描かれている。また呉服屋の株を持たないで、産直で小千谷縮を売る越後の、いまでいう産地買継の話など随所に時代考証に裏づけされたエピソードが挟み込まれていてなかなか興味深い。それに物語として上質で、すっかりはまってしまった。文春文庫で4冊、単行本で2冊出版されていて、未だ連載中。

 

娯楽、癒しとして読んだり、歴史に学び、自己啓発などビジネス書として読んだり、様々な読まれ方をしているが、本屋さんを見れば一目瞭然で、いま時代小説ブーム。それにしても気になるのは、登場人物たちが着ているきものの描写が極めて少ないこと。有名な鬼平犯科帳でも、いま人気の藤沢周平、佐伯泰英、鈴木英治、浅田次郎らも着るものに関してはほとんど触れていない。しかしさすが女性作家、平岩弓枝、杉本章子などは随所にきものに触れていて、想像するのも楽しいし、自分なら主人公達にどんなきものを着せるのか、そんな読み方も時代小説の楽しみの1つです。