
ネットから拾った画像。
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ロジック IC 分野に関しては業界随一のインテル社がここ1~2年 変調をきたしているようです。 20年近く半導体市場で売上トップを維持してきましたが、2017~18年にはサムスン電子に1位の座を明け渡し、微細化でも台湾 TSMC 社にも抜かれました。
もっとも サムスン電子の半導体売上の殆どは DRAM や NAND フラッシュメモリーなどのメモリ IC で、CPU (ロジック IC の1つ) ではありません。 CPU は中央演算処理素子で、PC や (データセンターなどの) サーバーの要の IC です。
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「Intel を阻む微細化の壁、10nm 量産を再延期」(2018年5月15日 LIMO)
「インテルの CPU 不足問題、CEO が異例の書簡」(2018年10月2日 LIMO)
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世界半導体トップ3は、サムスン電子・インテル・TSMC ですが、TSMC 社は表には現れません。 この半導体メーカーは自社製品を持たず、顧客指定通りの IC を受注生産、引き渡す IC 表面には顧客の名前が印字されます (この形態を業界ではファウンドリーと呼びます)。
台湾にはそうしたメーカーが多く、特に PC や電子機器を欧米顧客向けに代行製造しており、最近は人件費の安い中国内に工場を持って、そこで製造して世界中に供給しています。
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話しが IC からファウンドリー・代行製造に飛んでしまいましたが、CPU 製造ではいまだに世界トップのインテルは PC 向け CPU の9割を供給、残りを米 AMD 社等が供給しています。 AMD は長らく製造に問題があり、供給が多くなかったのですが、数年前に製造を分離させ、AMD は販売に専念するようになりました。
すると 販売する側が考える事はみな同じで、分離した元兄弟会社以外にも最適な製造先を求め、それが TSMC にも行き着いたようです。 TSMC は微細化で遂にインテルを抜き去り、業界トップに躍り出ていたからです。
微細化開発遅れが影響してか PC 向け CPU の9割を供給していたインテルが CPU の供給不足をきたし、PC 出荷がままならない状態に陥ってしまいました。 PC メーカーが口を開けて待っているのに、トップメーカーが CPU を供給しなければ どうにもなりません。
「設備投資を 10億ドル (約1100億円) 積み増して、プロセッサーの供給不足への改善を進めている。 大半は米オレゴン、米アリゾナ、アイルランド、イスラエルの各拠点で 14nm プロセスの製造設備に投資している。 2019年には不足が解消される」(※1) とか、「19年1月 CPU の供給不足が19年半ばまでに緩和する」(※2) などとインテルは発表していますが、“データセンター向け CPU を優先しているらしい” との憶測記事があります。 一般ユーザーよりもデータの川上の法人顧客を優先しているのですね。
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「プロセッサー不足の解消は19年 インテル」(2018年12月19日 日経XTECH ※1)
「パソコンが手に入らない! 納期遅れはいつまで続く?」(2月20日 LIMO ※2)
「Intel CPU の供給難は今後も。 第2四半期は AMD シェア増に」(3月14日 PC Watch ※3)
「Intel CPU はなぜ不足しているの?」(4月30日 マイナビ・ニュース ※4)
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CPU 不足をもっとエグった内容では、「ダイ面積が増え、1つのウェハから取れる数が少なくなっている事と、より高い利益を生むハイエンド CPU の製造に注力しているため、エントリー向け CPU の供給を絞っている」(※3) などとも推測されています。 どちらも 100% 否定できないものです。
微細化で遅れたまま 面積が増える次世代 CPU を製造していては、取れ数が減るのは当然で、利益率を維持するには 利益率の低い安価な CPU を減らして高利益率の CPU 製造を優先するのも、これまた納得できる話しです。
具体的には、「1枚のウェハから取れるダイの個数は、下記 14nm プロセス CPU 3世代で 509個 → 411個 → 344個となる」(※4) と推測していますが、同じ プロセスのままでは、面積が増えた分、同じ面積のウェハからの取れ数が減ってしまいます。 従来は微細化が進んで面積を減らし、取れ数を維持していたのです。
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上から Kaby Lake ベースの4コア (面積 126平方 mm)、Coffee Lakeベース の6コア (152平方 mm)、Coffee Lake Refresh ベースの8コア (178平方 mm)。 ※4から。
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インテルは微細化で 14nm に留まり、一方 TSMC は 7nm 製品を出荷、この差が AMD CPU の高性能化に繋がり、PC 市場では AMD 製が躍進しています。
「増産投資を終え、2019年7~9月以降は、需要総量に対して生産総量が追いつく」(※5) と発表しましたが、CPU 販売シェアは7月に AMD 6割台・インテル3割台となっています (※6)。 但し これは総出荷数なのか交換用 CPU 市場なのか不明ですが、どうやら後者のようです。 どちらにしろ AMD が相当に販売数を増やしているのは間違いないですね。
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「インテル危うし? AMD がノリに乗って反撃中」(5月29日 GIZMODE)
「パソコン異変 “インテル入ってない” PC が急増」(8月22日 日経スタイル ※5)
「AMD の第世代 “Ryzen” がぶっちぎり、発売後も6割のシェアをキープ」(9月3日 BCN+R ※6)
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やはり どの業界にも “永遠” はないのかも知れません。
今日はここまでです。