
左はウェザーニュース (※1) の画像。 右は10月14日 TBS NEWS から。
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12日夜 大型の台風19号が日本列島を通過しました。 当初は15号と同じルートを辿るかと心配しましたが、それよりは やや西寄りになって伊豆半島から東京都・埼玉・茨城・福島を通って抜けていきました。
今回は15号と違って千葉県に大きな被害を与えなかったものの、他県に大きな爪痕 (大量の雨による川の氾濫) を残しました。 私が住む神奈川県・相模原でも 風雨が強かったですが、夜7~8時を過ぎた頃から風雨の勢いが治り、台風が通り過ぎていったのを感じました。 翌日は台風一過で 南の暖かい空気が入ってきたせいか 気温が上がりました。 15号は風台風、19号は雨台風でしたね。
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「台風19号 12日 (土) 夜に東海・関東を直撃」(10月11日 ウェザーニュース ※1)
「台風19号での氾濫対策に “地下神殿” も貢献」(10月15日 JB Press ※2)
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治水対策で威力を発揮したのが、「地下神殿」こと “首都圏外郭放水路” (埼玉県春日部市) です。 この放水路は、付近を流れる中小5つの河川の水の一部を貯め、大型河川である江戸川に流すことによって洪水を起こりにくくし、被害を軽減するためのもので 総工費 2300億円、13年の工期で2002年に完成したものです (※2)。 これの費用対効果は抜群でしたね。
しかし 長野県・神奈川県の川崎市・福島県のいわき市などでは被害が出ました。 長野県の千曲川沿いの住宅が崩落しましたが (冒頭右写真)、住民は自主避難していて無事でした。 また 長野市のJR東日本の車両基地では北陸新幹線が水没しました。 長野市の浸水エリア一帯は古くから洪水の常襲地帯 (※3) で、千曲川は36年前にも堤防が決壊しています。
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「千曲川の決壊地点は古くから洪水の常襲地帯」(10月14日 朝日新聞 ※3)
「住みたい街・武蔵小杉の ”セレブタワマン” が停電・断水」(10月14日 文春オンライン ※4)
「寝室で増水 目の前で夫 “世話になったな”」(10月16日 毎日新聞 ※5)
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福島県いわき市の決壊した夏井川から約300メートルの距離にある住宅では、足が不自由な86歳の男性が「長いこと世話になったな」といい残して、妻の目の前で泥水に沈んで亡くなる (※5) という悲劇が発生しています。
また タワーマンションが立ち並ぶ神奈川県川崎市の武蔵小杉駅周辺では、多摩川が氾濫して一部のタワマン地下にある電気システムが冠水、停電しました。 停電により水を汲み上げられず 水道やトイレの水が使えない、当然 エレベーターも動かなくなりました (※4)。 電気も水もなくトイレ使用不可となると とても住む事ができないと想像します。 特に 高層階などは辿り着くのも容易ではありません。
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「武蔵小杉で露呈したタワマンの脆弱性」(10月16日 NEWSポスト7)
「武蔵小杉が騒然、タワマンで下水道がパンク」(10月17日 文春オンライン)
「武蔵小杉をあざ笑う人々に映る深刻な社会分断」(10月17日 東洋経済)
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「タワマンは災害に強い」と思われているらしいのですが、それは主に地震を想定しての話しで、電力対策という観点からは問題のようです。 電力が安定的に供給されなければ、上記のような事態になります。
それは東電の福島県の原子力発電所で、東日本大震災で電力設備が津波の直撃を受けて、発電設備に電力を供給できなくなったため、炉心溶融という制御不能事態に陥ってしまった災害事故をも連想させますよね。
そして 千曲川の決壊も多摩川の氾濫による武蔵小杉のタワマンの件も、川に近い地域での水害という共通点に至ります。 川というのは、当然ながら 地形の最も低いところを流れますから、川の周辺というのも低い地形の一部なのです。
川の水かさが増すという事は、地形の低いところから順に水が溢れ、それから次第に地形の高いところまで水が押し寄せます。 最も地形の高い高台に水が到達するのは最後になるのは当然の話しです。
地名にも歴史や地形が含まれていて、”窪” とか “沼”、”下 …” (しも …) などの字が地名に含まれているのは、過去から歴史的に “窪地” だったり、”沼地” や “低い土地” だった事を意味していますから、元々 水害には脆弱な地域と思って間違いありません。
だからといって そうした地域に住んでいるのだから水害をあきらめろという積りはありませんが、他の地域に比べ 水害対策を入念に準備しておく必要はあるでしょう。
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そして 今度の台風通過では、ホームレスへの避難対策をどうしたらいいかという問題も浮かび上がりました。 避難所にホームレスの人がやってきたのを台東区が断ったのです。
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「ホームレスの避難断る 台風19号で台東区 “区民でない”」(10月13日 日経/共同)
「”人命” より “住民票”? ホームレス避難所拒否で見えた自治体の大きな課題」(10月13日 AERA dot.)
「ホームレスの被災者を避難所が拒否、SNS では賛否」(10月15日 BBC News Japan ※6)
「台東区ホームレス拒否、”国民の生命より住民票に固執” は憲法違反の可能性も」(10月17日 弁護士ドットコムニュース)
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これをどう解釈したらいいのか __ 避難所は確かに地方税で運営されているものですが、住所がない、地方税を払ってないという理由で受け入れを全面的に拒否できるのかどうか?
受益者負担の原則からいえば、確かに税金を払ってない人が税金で運営されている施設を使う権利はないというのは道理ですが、ことが命に関わる問題であるならば、それをどこまでも拡大解釈していってもいいといえるかどうか?
また 程度問題という観点からすると、1箇所の避難所に大勢のホームレスの人が押し寄せるという事態が発生するかどうかです。「全国には現在、住所不定者が 4千数百人いて、最も多いのが東京都で千百人強、大阪府が千人強、神奈川県が9百人弱。 都内で最もホームレスの人が多いのは新宿区で百人強、次いで今回の件があった台東区が 60人強です」(※6)
台東区の避難所は1カ所だけではないでしょうから、それぞれに数名ずつやってくるとすれば、受け入れる余地はあったのではないかと想像します。 各地の色々な災害対策事情をあぶりだして見せたのが、今回の台風通過だったのかも __ そして 今後暫くはタワマン人気は陰りが出てくるかも知れませんね。
今日はここまでです。