シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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ブーレーズ最初の春祭録音は早い演奏

2023年01月19日 | 1曲だけで大注目
上左から 『春の祭典』フランス国立放送管 (63) のコンサートホール・ソサエティ LP ジャケ・裏面・レーベル面・デノン再発の CD ジャケ。 下左から クリーヴランド管 (69)、クリーヴランド管 (91)、フランス国立放送管 (ライヴ 63)、マーラー・ユーゲント管 (ライヴ 97)。 ブーレーズもの5種。 下右2つは未聴。
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ブーレーズ最初の『春祭』(コンサートホール・ソサエティ音源) が、2013年に再発されていました。 これがブーレーズが大オーケストラを指揮した最初の録音だそうで、当時から名盤だと噂に聞いていましたが、やっと その CD 再発盤を入手しました。

解説には音源の録音クルーの記載はなく 再発したデノン技術陣が2013年に 192kHz/24bit マスタリングしたとありますが、60年近く前の音源ですから 磨き直しても、その古さは同じです。 この辺りの事情は、61年録音のケルテス VPO の『新世界』(DECCA) をエソテリック社が SACD で再発しても 古さが変わらなかったのと似ています。

63年録音が (少し) 粗削りで細部の分離・鮮明さに欠けるのは致し方ありません。 弦は耳障りで聴きづらい部分があったりしますが、木管には時折 光る部分もあります。 やや早めの33分ほどの演奏です。 現代音楽を得意とした ブーレーズらしい選曲ですが、フィルアップ曲の『4つのエチュード』は強奏が少ないせいかずっと鮮明に聴こえます。

ブーレーズ盤の演奏についての評論が出ています __「レコードでびっくりしたのはこの『春祭』(63) が最初だった。 その頃 ブーレーズの指揮の優秀なことなど、日本ではごく少数の人を除けば、まるで知られてないも同然だった。 こんな素晴らしいレコードがうるさいファンの間でさえ あまり知られていないのにすっかりびっくりもし … だが クリーヴランド管で入れたもの (69) が、純粋に演奏の出来、レコードの出来ということでいえば、前のレコードを完全に抜いてしまった。 その素晴らしさは、個々の点で正確を極めているというだけでなく、比類のない迫力を持っている点にある」__『世界の指揮者』(吉田秀和著 ラジオ技術社 昭和48年刊から抜粋)
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コンサートホール・ソサエティ (CHS) のジャケ・デザインは簡素で、それなりにいいデザインだと思いますが、デノン再発の CD ジャケには使われませんでした。 昔の CHS LP 盤を覚えている愛好家には思い出させるものだと思うのですが、使おうとすると、おそらく デザイン使用料を (今はない) CHS 管理者に払わないといけないのでしょう。

デノン内部のジャケ製作者に作らせれば、余計なデザイン使用料が発生しないのです。 この再発は、タワーレコード企画・デノン製造なので、両者の話し合いで使わない形で決着したのかも知れません。 定価 1,200円だと 製造コストは2割の 240~300円位でしょうからデザイン使用料は掛けられない (?) と想像しますね。

あと 聴いてみたい „伝説の“『春祭』はマルケヴィッチ指揮フィルハーモニア管 (EMI) ですね。 マルケヴィッチも鬼才といわれていた大家の1人でしたから。
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コンサートホール・ソサエティの LP は当家でも父が何枚か購入していました。 申込時は最初の3枚ほどが格安で、後ほど毎月1枚以上購入してほしいとの依頼文付き・新譜案内が毎月届いていましたが、購入したい LP がなかったらしく、その都度断りの返事を出していたら そのうち発売元の通販会社から連絡が来なくなったと記憶しています。

たまに有名演奏家があったのですが、殆ど無名演奏家と欧州の地方無名楽団が多く 魅力に乏しい企画が続いていたと思います。 LP 蒐集家には 有名演奏家・有名楽団・有名定番曲が欠かせませんから、企画・販売戦略が間違っていたのでしょう。

例えば 毎月 ストラヴィンスキーものでも、或いはバッハものでも困りますし、(経費の小さい) ピアノ独奏ものやヴァイオリン独奏ものばかりでも飽きちゃいますから、発売元は様々なジャンルと演奏を組み合わせて、蒐集家を飽きさせない 次はどんな LP が発売されるかワクワクさせるような柔軟な企画が重要ですよね。

その意味で カラヤンやバーンスタインを抱えていた DG や CBS、また VPO を抱え „指輪全曲録音“ を達成した60年代の DECCA は販売力に強みがありました。 EMI は大物のフルヴェンを抱えていましたが彼の死去後 大スター不在となり、また 60~80年代の RCA・PHILIPS のクラシック分野も大スター不在で経営は厳しかったと推理します。

70年代後半にバーンスタインが DG に移り、その後 CBS は Sony、RCA は独 BG 傘下に入り、今は Sony と BG は同じグループです。 PHILIPS は DECCA に吸収されました。 DECCA も大物のローリングストーンズが離れると …
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ウィキペディアから __ コンサート・ホール・ソサエティ (Concert Hall Society) は、戦後アメリカに設立され、ヨーロッパ、日本に進出して1970年代半ばまで活動したレコードの通信販売会社。 クラシックを中心に、豊富な音源と会員制の廉価販売というコンセプトで、一時は世界最大の規模にまで成長した。

1950年代に アメリカにおいて上述の販売戦略で成功を収め、子会社としてミュージカル・マスターピース・ソサエティを設立しヨーロッパに進出する。 ヨーロッパではオランダやスイスに拠点を置き、独自に収録活動を展開、またクラシックのみならず、ジャズやポピュラー・ミュージックの分野にも進出した。 その後は業績が伸びず、1970年代半ばに活動を停止した。

1962年に 通販会社日本メール・オーダーと提携し、通信販売を開始。 当時のクラシック・ブームと活発な営業活動があいまって多くの会員を集めるが、親会社と同時期に営業不振に陥り販売を中止した。

シューリヒト指揮ハーグ・レジデンティ管のブルックナー「交響曲第7番」やブーレーズ指揮フランス国立放送管のストラヴィンスキー「春の祭典」等、名盤も多数ある。 ただ音質としては、残響が少なく腰が弱いという評価が一般的であった。 ミュンシュ、モントゥーをはじめ、コンサート・ホール・ソサエティ原盤による演奏の復刻盤がナクソス、日本コロムビア等からリリースされているが、同社の膨大な収録のごく一部に過ぎず、ほとんどの音源は入手困難となっている。
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今日はここまでです。

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