シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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演奏テクは素晴らしい … だが CD 発売の可能性は?

2020年07月26日 | 音楽界よもやま話
上左は ブラームスのヴァイオリン協奏曲を弾く髙木凜々子 (Conductor : Péter Dobszay、Hungarian National Symphony Orchestra Szeged、2019年2月24日 ベラ・バルトーク・ナショナル・コンサートホール https://www.youtube.com/watch?v=2pyg8nIe4eA) から。 右は同曲を弾く荒井里桜 (2020/02/19投稿で演奏日時・ホールは不明 https://www.youtube.com/watch?v=-zmZbQCtYbE)。 下左は ベートーヴェンの「クロイツェル・ソナタ」を弾く三浦文彰 (Fumiaki Miura & Varvara: Beethoven Sonata no. 9 "Kreutzer"; Adagio sostenuto - Presto 29.05.2019, live recording at the 35th Ibercamera season.  Palau de la Música, Barcelona  https://www.youtube.com/watch?v=IFKwHCsUKpA&list=RDIFKwHCsUKpA&start_radio=1)。 右はサン=サーンスの「序奏とロンド・カプリツィオーソ」を弾く三浦文彰 (2013/07/07投稿 https://www.youtube.com/watch?v=DaCXALmKj5g&list=RDIFKwHCsUKpA&index=3)。
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2日続けてブラームスのヴァイオリン協奏曲の演奏会ビデオを YouTube 投稿から2つ鑑賞しました (冒頭上段2つ)。

どちらも若い “無名の” 女性の演奏で、完璧ともいえる内容かと思います。 ただし 既に名前が知られているヴァイオリニストに比べ、知名度がありませんから、今は CD などの発売には至らないだろうとも想像させます。

下段の三浦文彰も演奏は完璧と感じます。 けれど この人の CD もないと思います。
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日本の現役有名プロ奏者というと、樫本大進 (1979~)、神尾真由子 (1986~)、五嶋みどり (1971~)、五嶋龍 (1988~)、塩川悠子 (1946~)、庄司紗矢香 (1983~)、諏訪内晶子 (1972~)、千住真理子 (1962~)、高嶋ちさ子 (1968~)、古澤巌 (1959~)、堀米ゆず子 (1957~)、前橋汀子 (1943~)、安永徹 (1951~)、ほかジャズ系に 寺井尚子 (1967~)、葉加瀬太郎 (1968~) と少し思い出しただけでも ざっと15人も出てきます。

樫本と安永はベルリン・フィルのコンマスで、神尾と諏訪内はチャイコフスキー・コンクール優勝で有名です。 五嶋みどりは14歳の時の「タングルウッドの奇跡」(バーンスタイン指揮 BSO) で、庄司は1999年のパガニーニ国際ヴァイオリン・コンクール史上最年少優勝で、堀米はエリザベート・コンクール優勝などで有名です。
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他の人たちも多くのコンクールで入賞した経歴の人たちばかりです。 高嶋はコンクール入賞の経歴はないようですが、タレントの家系で知られています。 この他にも ウィキペディアに日本のヴァイオリニストとして百名近くの名前が載っています。

なぜ 演奏がうまいのに CD などの発売には至らないかというと、一般的な知名度・話題性がないので 売れるとは思えず、CD 発売元から企画化されないのです。

ポップス系とは違い クラシックの世界は、売れる曲というのは大体 決まっているもので、そこに無名の新人演奏家の CD が割り込む余地は殆どないといえます。 過去の有名演奏家による立派な演奏の CD があふれていますから、無名新人の CD が普通のクラシック・ファンの手に取られる事はないでしょう。

普通のクラシック・ファンが何を拠り所に CD を選ぶかというと、評判とか 有名楽団か有名指揮者と共演しているかでしょう。 ベルリン・フィル、ウィーン・フィルとの共演や、小澤征爾が指揮していたなら、無名新人でもそこそこ売れると思います。

知られていない都市名のオーケストラ、知られていない指揮者、知られていない独奏者では まず売れる見込みはありません。 後援会のファンなら ある程度売れるかも __ ある程度ですから、CD 制作費用をカバーする数量かどうか?

塩川悠子はカラヤン BPO の1977年来日公演でブラームスのヴァイオリン協奏曲を弾いています。 また フランスのヴァイオリニスト オーギュスタン・デュメイもカラヤン BPO と1979年の演奏会で共演しました (演奏曲目は不明)。 しかし 2人とも録音には至らず、共演したという記録があるだけです。
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髙木凜々子の映像を見ていたら、「高木凛々子チャンネル」に行き着きました。 YouTube の中で、演奏映像やその他を集めて一覧にしたページのようです。 そこにある経歴によると、楽器店から貸与されたストラディヴァリウスを使っています。 それがいつからかは不明ですが、5年以内と想像します。 というのも 2015年のコンクールビデオ投稿を見ると、音が小さく感じるから 別物でしょう。

一方 冒頭の2019年の彼女の YouTube の演奏を聴いていると、協奏曲を奏でる管弦楽の中でも独奏ヴァイオリンの音がよく聴こえます。 他の人の YouTube の演奏では 管弦楽の中に独奏ヴァイオリンの音が埋没して、よく聴き取れないものもありますから、これが “ストラディヴァリウスの魅力” かも知れません。

ですから ヴァイオリンの名器を所有していない人がコンクールに出るときなどは、高価なレンタル料金を払ってでも “いい楽器” を借りてコンクールに臨むケースもあるようです。 どんなに腕前がよくても、”いい音が出ない楽器” では実力を発揮できないでしょう。

前橋汀子がソ連で研鑽した後 1963年のロン・ティボー・コンクールに出場して1次予選で落ちたのですが、その演奏を聴いた日本のある人が「上手に弾いたが楽器が悪かった」といったそうです。 彼女はその後 18世紀のイタリアのヴァイオリンを手に入れ、67年の同コンクールで3位を獲得しました (2018年 日経「私の履歴書 ※」から)。

また CD を出すような現役ヴァイオリニストが所有するのは、ストラディヴァリウスやガルネリウスが多いようです。
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※には 佐藤陽子 (1949~) が出てきて、素晴らしい才能だと綴られています。 彼女は「コーガンに師事。 1962年にコンドラシン指揮でモスクワデビュー、66年チャイコフスキー・コンクール3位。 同年モスクワ音楽院に進学。 69年ロン=ティボー国際コンクール3位。 71年モスクワ音楽院を首席で卒業した後、フランスに留学。 パガニーニ国際コンクール2位。 声楽をカラスに師事し、ソプラノ歌手としてディ・ステファーノらと共演。 75年ルーマニアのブカレスト国立歌劇場から『蝶々夫人』でデビュー、絶賛を浴びる」(ウィキペディアから) と、異色の活躍をした人です。 ヴァイオリン以外でも話題の多い人でしたが、池田満寿夫が撮った写真発表後 あまり活躍してないようにも感じます。 コンクール歴も申し分ないのに残念ですね。

器楽奏者が、その器楽以外にもマルチタレントを発揮して活躍するようになると、どうしてもその器楽の専門性が薄れるようにも感じます。 はっきりいって ヴァイオリンのテクニックを維持するだけでも1日の大半が潰れますから、それ以外の楽器の研鑽をする余裕などないと想像します。

ですから マルチな活躍をする有名なヴァイオリニストとか歌手とかは、殆どいないのではないでしょうか。 ちょっと雑談っぽくなってしまいましたね。

今日はここまでです。

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