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シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

敵の敵は味方?

2008年10月23日 | 政治家 政治屋?
写真右上は、20日 米フロリダ州での民主党選挙集会でオバマ候補と壇上に立ち、歓声を上げる聴衆に手を上げて応えるヒラリー・クリントン上院議員。 オバマ氏は金融危機以降、支持率が伸び、同州は大接戦の舞台と化した。

左は15日 ニューヨーク州で討論会に臨むオバマ氏とマケイン氏。 主要テーマは有権者の関心が高い経済。 マケイン氏は、住宅ローンの買い取り策に加え、高齢者向け減税などの追加対策を訴えて巻き返し狙った。

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大詰めの大統領選の世論調査は、どれもがオバマ優位で推移していますが、果たして …
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「米大統領選はマケインが勝つという “理由”」(鈴木貴博/ 日経 BP net 10月21日) __ ※追加1へ
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日本にいて、外国の首長選挙の実際の雰囲気は掴みにくいのは当然です。 この人のように、現地で生の声を見聞きして出した推測が真実に近いでしょう。

8年前と4年前、民主党候補 (アル・ゴア/ジョン・ケリー) の下馬評が高かったと記憶していますが、実際は共和党のブッシュ候補が大統領選を征しました。

日本に届くニュースの大半は大都市からのもので、ニューヨークやロサンゼルスなどは伝統的に民主党の地盤ですから、民主党優位の情報が出てきやすいのでしょう。

しかし、4年前に姪が米国の地方大学に留学していた時に聞いたのは、「いなかはブッシュ支持が多い」というものでした。

このコラムニストがいうように、「民主党の半数強は反ヒラリーであり、半数弱はヒラリー支持者で、党員が分裂している」状態ならば、半数がヒラリー支持者として、その何分の一かが大統領選投票で反オバマ色を表明して行動したら、「マケイン候補が圧勝する」結果にならないとも限りません。

TV 討論の結果は、オバマ候補が3連勝となったようですが、殆どの有権者は政策の優劣などは気にしていないし、その時の人物の雰囲気で左右され易いものです__ケネディ・ニクソン討論では、「ニクソンは灰色のスーツを着用した病弱な人が多くの汗をかいているように見えたのに対して ダークスーツを着たケネディは TV 用のメイクアップをして若く健康的に見えた」。 またゴア・ブッシュ討論では、「ディベート・マシンのように攻めるゴアに対し 必死で発言しようとするブッシュ」という印象だったそうです。

私は、今回の TV 討論は見ておりませんので、両候補の印象は分かりません。 8月はグルジア危機で外交に強いといわれるマケイン候補の支持率が上昇し、9月金融危機以降は発言のぶれなかったオバマ候補優位で推移している支持率ですが、さて 上記の「もし … したら」という行動が投票に出るのでしょうか?

以上


※追加1_ 9月上旬、僕はアトランタ (米国ジョージア州) にいた。 僕が社外取締役をしている米国企業とのミーティングで、その日本法人の社長も一緒だった。

2日間の訪問のうち、初日は CEO と、翌日は社長の友人である米国人弁護士と、各々ディナーをご一緒させていただいた。
 
どちらの夕食の場でも、まず話題になったのは「景気が悪い」ということである (ちょうどリーマンの破綻が直前に迫っていたのだ)。 その後、もう1つの話題として、11月に迫った米国の大統領選挙の話になった。
 
「どちらが勝つと思う?」と CEO が尋ねるので、僕は「日本ではオバマ候補のほうばかり報道されていますよ」と答えた。 すると CEO は周囲を見回して、小声で「今回はマケインだよ」とささやくのである。
 
そして翌日のディナーでも、やはり同じように大統領選挙の話になったとたん、米国人弁護士も、「僕はマケインが勝つと思う」と断言した。

ちなみに支持率は、このコラムを書いている時点 (9月中旬) で、民主党のオバマ候補が共和党のマケイン候補を2ポイントほどリードしている。
 
米国の大統領選挙は50州それぞれで反応が違い、その結果がどちらに転ぶのか、直前まで分からないところがある。

上記の会話は、アトランタのあるジョージア州で、たまたま2人の高学歴の知識人が、自分の希望を込めて「マケインが勝つよ」と語っているだけかもしれない。 少なくとも、全米の支持率ではオバマ候補が上なのだ。

ただ、今回、単に2人の意見が一致しただけでなく、彼らがマケインが勝つと考えるに至った “ロジック” が、日本人の僕から見ると興味深かったので紹介してみようと思う。 言い換えるなら、米国の大統領選挙のようなトーナメント方式で、「最後に勝ち上がる者」とは、どのような競争優位を持つ者なのかという話だ。
 
● 政策が争点にならない選挙 ●

では、今回の大統領選挙はどのようなロジックで動いているというのか。 2人の話をまとめてみよう。
 
まず、米国大統領選挙の構造を非常にシンプルに表すと、「支持政党×政策×人物的魅力」となる。 この3要素が得票率を左右するのだ。
 
ところが今回の大統領選挙では、このうち「政策」は争点にならないというのが2人に共通する認識であった。
 
というのも、米国の大衆が求めている政策論点が、今回は明確だからだ。
 
簡単に言えば、「ブッシュではない誰か」に大統領になってほしいというのが大衆が求めているものであり、したがって「ブッシュの政策に反対する立場」が、次の大統領候補の基本的なスタンスになる。

民主党のオバマ候補が反ブッシュ政策を打ち出すのは当たり前だが、ブッシュ大統領が所属する共和党のマケイン候補も元々「反ブッシュ」である。 2000年の大統領選挙では「マケイン旋風」を巻き起こし、一時はブッシュではなくマケインが候補になる可能性すらあった。

04年の大統領選にマケイン候補は出馬しなかったが、友人であり政策が近い民主党のケリー候補を支援するのではないかと、まことしやかにウワサされたこともある。 それほどマケイン候補は、ブッシュとは反対の政策をよしとしている。
 
結局のところ、政策軸では、ブッシュの保守政策に対して、オバマ候補もマケイン候補も、リベラル寄りの革新的政策になる。

両候補が反ブッシュの立場を前提にする今回の選挙では、双方の政策上の対立軸をうまく打ち出すことが構造的に難しい。 予備選で保守派のヒラリーと戦ったときのようには、オバマ対立軸を有効に使うことができないのだ。

というわけで、今回の大統領選挙の争点は「支持政党×人物」ということになる、というのが先の2人のロジックである。
 
「人物的魅力」ということになれば、若くて人を引き付ける魅力があり、かつ黒人初の大統領になる可能性があるというオバマ候補が圧倒的に有利に思えるが、それは日本人の発想だからそう見えるということらしい。
 
マケイン候補はベトナム戦争で捕虜となり、拷問を受けながらも5年後に帰還した “英雄” であり、人間的にはなかなか魅力的な人物だということは、多くの米国人の知るところである。
 
黒人初の大統領が誕生すべきかどうかという点については、多くの米国人が、「人種によって可能性が失われるべきでは絶対にない。 いずれ黒人の大統領は誕生すべきだ」と、“公式見解” を表明する。 米国人は「初の○○」といったチャレンジが好きなのだ。

一方で、「初の」というぐらいだから、“ガラスの天井 (つまり、上は見えるがそれ以上、上には行けないこと)” がそこに存在していることも事実。結局のところ、「黒人初」ということは、ブランド的には中立になる。
 
だから人物という点では、オバマ候補が「やや先行」している程度であるという意見に落ち着くらしい。

●「オバマ対ヒラリー」の構図が与える影響 ●

こうして「政策」では差がつかず、「人物」でも小差でオバマ候補が優位という程度になると、焦点は、最後の要素「支持政党」に絞られる。

そこで構図を見てみると、「今回はオバマ候補を」と考える国民の数よりも、マケイン候補を選ぶ国民の数のほうが、圧倒的に多いと2人は言う。

そのメカニズムの秘密はどこにあるのかというと、「なぜ民主党でオバマ氏が候補になったか」という点に、いったん話が立ち戻る。
 
元々、去年の冬までは民主党の大統領候補の下馬評は、圧倒的に「ヒラリー・クリントン候補で決まり」であった。 ところが民主党員の中には「ヒラリー・クリントンだけは絶対に嫌だ」という人々もまた、たくさんいたのである。
 
そこで、「ヒラリーではない誰かを担ぎ出そう」という大きな流れが生まれ、その流れに一番うまく乗ったのがオバマ候補だった。
 
忘れてならないのは、オバマ候補はヒラリー氏と最後まで大統領候補の座を争って、数字上では僅差で大統領候補の座を確保したということだ。 つまり、民主党の半数強は「反ヒラリー」であり、半数弱は「ヒラリー・クリントン支持者」というように、党員が分裂しているのである。
 
もし、オバマ候補がヒラリー氏を副大統領候補に指名していたら、おそらくこの分裂は修復され、今回の大統領選挙は「オバマ・ヒラリー」のドリームペアで決まりという流れが生まれていたはずだ。
 
ところが、オバマ候補はヒラリー氏を副大統領候補に指名することが、どうしてもできなかった。 なぜならオバマ氏は「反ヒラリー」の人々の “希望” に押し上げられて、大統領候補の座を射止めたのだから。
 
このような事情から、オバマ候補が副大統領候補に選んだのは民主党の大物議員バイデン氏である。 一方のマケイン候補は、保守派のタカ派ではあるが、見た目はオバマ候補よりもフレッシュに映る48歳の女性候補サラ・ペイリン氏を起用した。
 
「これで、メカニズム上ではマケイン候補のほうが、はるかに有利になった」というのが冒頭の米国の弁護士氏の分析である。

● 黒人初の大統領か、女性初の副大統領か ●

マケイン候補の選択により、米国には「黒人初の大統領」か「女性初の副大統領」のどちらかが誕生することが決定した。 民主党が勝てば黒人初の大統領、共和党が勝てば女性初の副大統領ということになる。

ちなみに、当たり前のことを確認しておくと、米国の有権者に占める比率では、黒人の比率よりも女性の比率のほうが多い。 その意味では、「初」にチャレンジすることが好きな米国人の気質を優位に使えるのは、やはりマケイン候補かもしれない。
 
さらに言えば、米国の有権者の約半分は共和党支持者で、約半分は民主党支持者である。 この観点では両者の強さは五分五分。
 
そこで勝負を決めるのは、「共和党支持者だが、今回は民主党候補に投票する」という人と、「民主党支持者だが、今回は共和党候補に投票する」という人の数の違いである。
 
先に見たように、民主党支持者の半数弱は、ヒラリー・クリントンに大統領になってほしかった人々だ。 言い換えるなら、「オバマ候補はかつての敵」と考える人々。

この事実が、大統領選挙を動かすメカニズムとして、最後に“効いて”くる。

ところが、そのヒラリー派の民主党支持者は、公には「オバマを支持しない」とは言いづらい状況にある。 そのようなことを言うと、黒人を差別視していると揚げ足を取られかねないからだ。
 
そこで彼らは公の場では、「オバマもいい候補だ」と口にする。 だが、実際に投票所に出掛けたときにどちらに投票するかというと、熱烈なヒラリー支持者はマケイン候補に投票する可能性が高い。
 
結局のところ、「政策」では差がつかず、「人物」でもオバマ氏に少しの差しかつかないが、「支持政党」ではマケイン氏が圧倒的に優位という状況なのだ。

以上のようなロジックから、このままペイリン副大統領候補のスキャンダルが大きな騒ぎにならなければ、11月の大統領選挙当日には、意外なことにマケイン候補の地滑り的大勝利になる??というのが、冒頭の2人の意見を僕なりに集約した話である。
 
ここに抜けている視点があるとすれば、移民が増えたことで、米国の人口がかつてよりも増大している点だろう。
 
ヒスパニック系、アジア系などが増加したことで、米国の人口は今や3億人を超えている。 有権者もかつての米国人とは人種構成も所得階層も変わってきている。 オバマ氏に自分の姿を重ねる新しい米国人の多くの目線は、アトランタの知識階層にある2人の視点とは違っているかもしれない。
 
とはいえ、選挙というものは下馬評とは別の結果になることが多々あるものだ。 あとから考えてみると、そのメカニズムは最初から明確だったということも、歴史にはよく起こる。
 
その意味で今回の米国の大統領選挙、マケイン候補が圧勝するという結果がメカニズム上、起きてもおかしくないと僕は思うのだが、どうだろうか。

以上

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