
写真上段は、核安全保障サミットの会場で米大統領と握手する鳩山首相 (カメラ・フラッシュの作る影が面白い。 左写真でオズオズと近づき、右写真でスゴスゴと離れているようにも見える)。 下左は12日夜、オバマ大統領と夕食会で話す鳩山首相。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
米紙に散々コケにされたハトポッポさんの最新支持率は2割台に__退陣寸前だ。 日本における防衛問題は、周辺国からの脅威に対し、どれほどの防衛力が必要なのか、日米協力体制のもとで それを日米がそれぞれどう負担すべきか、ということに尽きる。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
「内閣支持率3割切る フジテレビ世論調査」(4月19日 産経新聞)
「首相『腹案』に痛烈な『ノー』_徳之島」(4月19日 読売新聞)
「米の鳩山政権不信、頂点 … 5月決着 "期待せず"」(4月19日 読売新聞)
「鳩山首相 "最大の敗者 (the biggest loser)" 核安保サミットで米紙」(4月15日 産経新聞)
ウィキペディアから__「普天間基地代替施設移設問題」とは、沖縄県宜野湾市に設置されているアメリカ海兵隊普天間飛行場を廃止させるとともに、同基地の機能を果たす基地・施設を設けるか否か、設けるとすれば何処に設けるかについての問題である。
「米国の世界戦略を理解しないと基地問題は語れない」(06年5月16日 花岡信昭/政治アナリスト/Safety Japan) _ ※追加1へ
ウィキペディアから__中華思想とは _ ※追加2へ
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
日本の防衛力策定のためには、
1) 周辺国からの脅威がどの程度か把握する
2) それに対する日本の防衛力はどれほど必要なのか把握・数値化する
3) その防衛力を日米がどういう割合で負担すべきか協議する
という議論が大前提だ。 ところが、これら 1)〜3) がすっ飛ばされて、「米軍普天間基地をどこに移設するかしないか」という点だけに集中して世論が沸騰している、と私は感じる。
1) の脅威は間違いなく、北朝鮮と中国 (とロシア) だ。 現実問題として、北朝鮮のミサイルがまず上げられる。
2) の防衛力は、先ず「北朝鮮のミサイルが日本に飛来する前に撃ち落とす」ことだ。 更には、軍事力を増しつつある中国海軍に対する防衛力、そして (以前と比べて脅威が薄れた) ロシアから飛来する航空兵力に対する防衛力だ。
3) 日米は安保条約によって、日本を防衛することが定められている。 米国は日本を防衛するが、日本は米国を防衛しない片務的な条約だ。
これは、いわば、朝鮮戦争当時の冷戦構造時代に締結された、同盟体制だ。 当時の日本は国力が小さかったから、圧倒的な国力の米国が日本を防衛し、米国は日本の防衛力を期待できるとは思っていなかっただろう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
だが、かつての敗戦国とはいえ、米国との同盟から浮気したことのない日本は、今は米国の世界戦略にとって “貴重な駒の1つ” に組み入れられている (日本政府は負担割合を明らかにしたくなかった?__米戦略の駒に過ぎないと国民にばらしてしまうから?)。
それが、日本の政権交代で米軍基地移設が棚上げになったことで、米国の世界戦略に支障をきたそうとしている。
私は、米国の世界戦略が唯一絶対のものとは思っていない。 では、中華思想の「中国が世界の中心という考えがいい」かというと、これまた問題だろう。
日本は独自の思想と戦略で世界を牽引できるのか?と問われると、残念ながら「ありません」というしかないだろう。
では現実的にはどうしたらいいのか? やはり同盟国アメリカと最も仲良くして、近隣諸国とも友好関係を保ちながら自国の安全を確保していくことに落ち着く他ないだろう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ハトポッポさんは、これからの日本をどこへ持っていくのか? 中国韓国と仲良くやっていこうと笑顔を振りまいたところで、実利的なものがない中で、ムードだけ振りまかれても実質何も進展しないだろう。
必要なのは近隣諸国と仲良くしつつ、周辺国からの脅威に備え、そのためには自国の防衛力をどう策定していけばいいのか、青写真を国民と同盟国に示し、安心と信頼を自国と世界に与えることではないか。
玄関と、庭に面した居間に繋がる縁側 (えんがわ) の戸を開けっ放しで、安眠できるほど世の中 甘くはない。 夜は玄関を締め 鍵を掛け、縁側の雨戸を締めて鍵を掛けるのは常識だ。 世の中、みんな犯罪を犯さない人ばかりではない。 知り合いのような顔で上がり込み、床の間の調度品や金品をかっさらう犯罪者がいないとも限らない。
ハトポッポさんは、今 の ま ま では「何も決められない首相だった」というレッテルのまま、退陣しなくてはならないだろう。
それは、本人にとっても、国民にとっても不幸なことだ。 能力がないと自覚したのなら、さっさと首相の座を降りてふさわしい人に譲るべきではないだろうか?
以上
※追加1_ ■ 国内では在日米軍基地の移転ばかりが報じられるが__ ■
大型連休中に、日米の外交、防衛担当閣僚による「2プラス2」(日米安全保障協議委員会) がワシントンで開かれ、在日米軍再編をめぐる最終報告の合意にこぎつけた。
小泉首相は6月下旬に訪米する意向だが、これが実現すれば、ブッシュ大統領との間で、新たな「日米安保共同宣言」を発表することになるかもしれない。
「2プラス2」の合意自体は歓迎すべきことである。 だが、危惧が残る。 日米双方の受け止め方に大きなギャップを感じてならないからだ。
アメリカにとって、この合意はブッシュ政権が世界的規模で進める「トランスフォーメーション」の一環である。 日本国内の受け止め方は、在日米軍基地の再編縮小という次元にとどまっている。
合意に至るまでに、額賀防衛庁長官が沖縄など基地関連の地元首長と何度も会談を重ねたことだけが報じられた。 地元の意向を踏まえた調整が最大の焦点といった視点での報道ばかりであった。
額賀長官の努力は大いに買いたいのだが、あえていってしまえば、在日米軍基地の移転などは、アメリカの壮大な世界戦略である「トランスフォーメーション」からいえば、「微々たる話」にすぎないのだ。
それが日本では普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部への移転を筆頭として、メディア報道の中心テーマとなり、そのことばかりが大々的に報じられた。 メディアはそれ以外のもっと大事なことを伝えてきたのか。 政府は国民に真っ向から語りかけたのか。
今回の「合意」が果たせなければ、深刻な事態に直面していたはずだ。 協議がまとまらなかった場合、戦後の日米安保体制そのものに重大な亀裂が生じかねない危機的局面を迎えていたに違いない。 それほどの重みのある「合意」であったという認識が日本側にどれだけあるか。
本来は小泉首相がたっぷりと時間をかけて、国民にイロハから説明しなければならない国家的テーマだったはずなのだ。 それが、大型連休中のどさくさにまぎれて、というと語弊があるが、なんとも表面的な次元に終始してしまったのである。
■ 今回の「合意」の内容とその意味 ■
今回の「合意」の内容は、普天間飛行場移転のほか、海兵隊を 8000人削減し大半をグアムに移転、キャンプ座間に米陸軍拠点司令部 (第1軍団司令部を改編) を移転し陸自中央即応司令部を併置、横田に空自航空総隊司令部を移転、厚木の空母艦載機を岩国に移転__などといったものである。
海兵隊のグアム移転は何を意味するか。 キャンプ座間になぜ米陸軍司令部がやってくるのか。 国民の大半はほとんど知らされていない、というよりも、関心を抱いていない。
海兵隊のグアム移転は、沖縄の負担軽減といった側面だけで論じられるものではない。 テロの温床となりやすい東南アジアへの前方展開という意味合いのほか、北朝鮮のノドン・ミサイルの射程外といった地政学上の事情、ハワイ・グアム・日本をむすぶトライアングル配置など、戦略的な観点から打ち出されたものだ。
キャンプ座間への米陸軍司令部の移転は、まさに日本が米世界戦略の重要拠点として位置づけられていることを意味する。 陸自中央即応司令部の併置は、日米の軍事連携強化の象徴である。
国内では「空母は横須賀なのに、艦載機がなぜ遠い岩国に来るのか。 いざというとき間に合わないではないか」といった半可通の論議も起きた。 空母が出港したあと、艦載機はおもむろに出動すればいいのであって、瞬時にして着艦できるのである。
■ 日本の安保政策における歴史的転換 ■
「トランスフォーメーション」の中軸となっている考え方は、東アフリカから中東、アフガン、イラン、インド、パキスタン、中国、東南アジア、朝鮮半島に至る「不安定な弧」への機動的即応体制の確立にある。
日本人が頭に浮かべる世界地図は中央に太平洋があるが、これをずらして、インドあたりを真ん中に持ってくると、「不安定な弧」の位置づけが分かる。 この中に、イスラム原理主義、地域紛争、宗教対立、資源戦争、貧困、環境、さらには冷戦時代の名残ともいえる共産主義イデオロギーによる独裁国家など、世界の安定を脅かす要因のほとんどが詰まっている。
そして、その「弧」の両端に、2つの島国、日本とイギリスが位置する。 幸いなことに両国ともアメリカの同盟国である。 この壮大な「弧」に対し、日米同盟と米英同盟によって、安全と平和を保っていくための国際的責務を背負う、というのが「トランスフォーメーション」の核心である。 日米と米英は同列に位置づけられているのだ。
日本はアメリカの世界戦略と一体化して、同様の国際的責任を負うことになる。 日本の安保政策における歴史的転換といっていい。 いや、それ以上の、国の行方そのものにかかわる重大な意味合いが込められているともいえる。 憲法改正もその次元から論じられるべきはずである。
小泉首相はそうした観点を踏まえて、国民への説明責任を果たしたといえるのか。 外務省も防衛庁も基地関連の地元対策ばかりに追われて、大きな構えで国家戦略を示すことを怠っている。
だから、米政府幹部が腰ダメで示した「再編負担3兆円」に驚愕し、これが一人歩きするといったドタバタを招いてしまう。 こんなありさまでは、「平和ボケ」国家から脱することはできない。
………………………………………………………
※追加2_ 中国 (中華) が世界の中心であり、その文化、思想が最も価値のあるものとし、漢民族以外の異民族の独自文化の価値を認めず、「化外の民」として教化の対象とみなす思想。 華夷思想ともいう。
漢人の伝統的な思想という学術的な意味を離れ、その語感から単に強引で自己中心的な考え方を中華思想と呼ぶ場合がある。
以上
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
米紙に散々コケにされたハトポッポさんの最新支持率は2割台に__退陣寸前だ。 日本における防衛問題は、周辺国からの脅威に対し、どれほどの防衛力が必要なのか、日米協力体制のもとで それを日米がそれぞれどう負担すべきか、ということに尽きる。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
「内閣支持率3割切る フジテレビ世論調査」(4月19日 産経新聞)
「首相『腹案』に痛烈な『ノー』_徳之島」(4月19日 読売新聞)
「米の鳩山政権不信、頂点 … 5月決着 "期待せず"」(4月19日 読売新聞)
「鳩山首相 "最大の敗者 (the biggest loser)" 核安保サミットで米紙」(4月15日 産経新聞)
ウィキペディアから__「普天間基地代替施設移設問題」とは、沖縄県宜野湾市に設置されているアメリカ海兵隊普天間飛行場を廃止させるとともに、同基地の機能を果たす基地・施設を設けるか否か、設けるとすれば何処に設けるかについての問題である。
「米国の世界戦略を理解しないと基地問題は語れない」(06年5月16日 花岡信昭/政治アナリスト/Safety Japan) _ ※追加1へ
ウィキペディアから__中華思想とは _ ※追加2へ
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
日本の防衛力策定のためには、
1) 周辺国からの脅威がどの程度か把握する
2) それに対する日本の防衛力はどれほど必要なのか把握・数値化する
3) その防衛力を日米がどういう割合で負担すべきか協議する
という議論が大前提だ。 ところが、これら 1)〜3) がすっ飛ばされて、「米軍普天間基地をどこに移設するかしないか」という点だけに集中して世論が沸騰している、と私は感じる。
1) の脅威は間違いなく、北朝鮮と中国 (とロシア) だ。 現実問題として、北朝鮮のミサイルがまず上げられる。
2) の防衛力は、先ず「北朝鮮のミサイルが日本に飛来する前に撃ち落とす」ことだ。 更には、軍事力を増しつつある中国海軍に対する防衛力、そして (以前と比べて脅威が薄れた) ロシアから飛来する航空兵力に対する防衛力だ。
3) 日米は安保条約によって、日本を防衛することが定められている。 米国は日本を防衛するが、日本は米国を防衛しない片務的な条約だ。
これは、いわば、朝鮮戦争当時の冷戦構造時代に締結された、同盟体制だ。 当時の日本は国力が小さかったから、圧倒的な国力の米国が日本を防衛し、米国は日本の防衛力を期待できるとは思っていなかっただろう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
だが、かつての敗戦国とはいえ、米国との同盟から浮気したことのない日本は、今は米国の世界戦略にとって “貴重な駒の1つ” に組み入れられている (日本政府は負担割合を明らかにしたくなかった?__米戦略の駒に過ぎないと国民にばらしてしまうから?)。
それが、日本の政権交代で米軍基地移設が棚上げになったことで、米国の世界戦略に支障をきたそうとしている。
私は、米国の世界戦略が唯一絶対のものとは思っていない。 では、中華思想の「中国が世界の中心という考えがいい」かというと、これまた問題だろう。
日本は独自の思想と戦略で世界を牽引できるのか?と問われると、残念ながら「ありません」というしかないだろう。
では現実的にはどうしたらいいのか? やはり同盟国アメリカと最も仲良くして、近隣諸国とも友好関係を保ちながら自国の安全を確保していくことに落ち着く他ないだろう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ハトポッポさんは、これからの日本をどこへ持っていくのか? 中国韓国と仲良くやっていこうと笑顔を振りまいたところで、実利的なものがない中で、ムードだけ振りまかれても実質何も進展しないだろう。
必要なのは近隣諸国と仲良くしつつ、周辺国からの脅威に備え、そのためには自国の防衛力をどう策定していけばいいのか、青写真を国民と同盟国に示し、安心と信頼を自国と世界に与えることではないか。
玄関と、庭に面した居間に繋がる縁側 (えんがわ) の戸を開けっ放しで、安眠できるほど世の中 甘くはない。 夜は玄関を締め 鍵を掛け、縁側の雨戸を締めて鍵を掛けるのは常識だ。 世の中、みんな犯罪を犯さない人ばかりではない。 知り合いのような顔で上がり込み、床の間の調度品や金品をかっさらう犯罪者がいないとも限らない。
ハトポッポさんは、今 の ま ま では「何も決められない首相だった」というレッテルのまま、退陣しなくてはならないだろう。
それは、本人にとっても、国民にとっても不幸なことだ。 能力がないと自覚したのなら、さっさと首相の座を降りてふさわしい人に譲るべきではないだろうか?
以上
※追加1_ ■ 国内では在日米軍基地の移転ばかりが報じられるが__ ■
大型連休中に、日米の外交、防衛担当閣僚による「2プラス2」(日米安全保障協議委員会) がワシントンで開かれ、在日米軍再編をめぐる最終報告の合意にこぎつけた。
小泉首相は6月下旬に訪米する意向だが、これが実現すれば、ブッシュ大統領との間で、新たな「日米安保共同宣言」を発表することになるかもしれない。
「2プラス2」の合意自体は歓迎すべきことである。 だが、危惧が残る。 日米双方の受け止め方に大きなギャップを感じてならないからだ。
アメリカにとって、この合意はブッシュ政権が世界的規模で進める「トランスフォーメーション」の一環である。 日本国内の受け止め方は、在日米軍基地の再編縮小という次元にとどまっている。
合意に至るまでに、額賀防衛庁長官が沖縄など基地関連の地元首長と何度も会談を重ねたことだけが報じられた。 地元の意向を踏まえた調整が最大の焦点といった視点での報道ばかりであった。
額賀長官の努力は大いに買いたいのだが、あえていってしまえば、在日米軍基地の移転などは、アメリカの壮大な世界戦略である「トランスフォーメーション」からいえば、「微々たる話」にすぎないのだ。
それが日本では普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部への移転を筆頭として、メディア報道の中心テーマとなり、そのことばかりが大々的に報じられた。 メディアはそれ以外のもっと大事なことを伝えてきたのか。 政府は国民に真っ向から語りかけたのか。
今回の「合意」が果たせなければ、深刻な事態に直面していたはずだ。 協議がまとまらなかった場合、戦後の日米安保体制そのものに重大な亀裂が生じかねない危機的局面を迎えていたに違いない。 それほどの重みのある「合意」であったという認識が日本側にどれだけあるか。
本来は小泉首相がたっぷりと時間をかけて、国民にイロハから説明しなければならない国家的テーマだったはずなのだ。 それが、大型連休中のどさくさにまぎれて、というと語弊があるが、なんとも表面的な次元に終始してしまったのである。
■ 今回の「合意」の内容とその意味 ■
今回の「合意」の内容は、普天間飛行場移転のほか、海兵隊を 8000人削減し大半をグアムに移転、キャンプ座間に米陸軍拠点司令部 (第1軍団司令部を改編) を移転し陸自中央即応司令部を併置、横田に空自航空総隊司令部を移転、厚木の空母艦載機を岩国に移転__などといったものである。
海兵隊のグアム移転は何を意味するか。 キャンプ座間になぜ米陸軍司令部がやってくるのか。 国民の大半はほとんど知らされていない、というよりも、関心を抱いていない。
海兵隊のグアム移転は、沖縄の負担軽減といった側面だけで論じられるものではない。 テロの温床となりやすい東南アジアへの前方展開という意味合いのほか、北朝鮮のノドン・ミサイルの射程外といった地政学上の事情、ハワイ・グアム・日本をむすぶトライアングル配置など、戦略的な観点から打ち出されたものだ。
キャンプ座間への米陸軍司令部の移転は、まさに日本が米世界戦略の重要拠点として位置づけられていることを意味する。 陸自中央即応司令部の併置は、日米の軍事連携強化の象徴である。
国内では「空母は横須賀なのに、艦載機がなぜ遠い岩国に来るのか。 いざというとき間に合わないではないか」といった半可通の論議も起きた。 空母が出港したあと、艦載機はおもむろに出動すればいいのであって、瞬時にして着艦できるのである。
■ 日本の安保政策における歴史的転換 ■
「トランスフォーメーション」の中軸となっている考え方は、東アフリカから中東、アフガン、イラン、インド、パキスタン、中国、東南アジア、朝鮮半島に至る「不安定な弧」への機動的即応体制の確立にある。
日本人が頭に浮かべる世界地図は中央に太平洋があるが、これをずらして、インドあたりを真ん中に持ってくると、「不安定な弧」の位置づけが分かる。 この中に、イスラム原理主義、地域紛争、宗教対立、資源戦争、貧困、環境、さらには冷戦時代の名残ともいえる共産主義イデオロギーによる独裁国家など、世界の安定を脅かす要因のほとんどが詰まっている。
そして、その「弧」の両端に、2つの島国、日本とイギリスが位置する。 幸いなことに両国ともアメリカの同盟国である。 この壮大な「弧」に対し、日米同盟と米英同盟によって、安全と平和を保っていくための国際的責務を背負う、というのが「トランスフォーメーション」の核心である。 日米と米英は同列に位置づけられているのだ。
日本はアメリカの世界戦略と一体化して、同様の国際的責任を負うことになる。 日本の安保政策における歴史的転換といっていい。 いや、それ以上の、国の行方そのものにかかわる重大な意味合いが込められているともいえる。 憲法改正もその次元から論じられるべきはずである。
小泉首相はそうした観点を踏まえて、国民への説明責任を果たしたといえるのか。 外務省も防衛庁も基地関連の地元対策ばかりに追われて、大きな構えで国家戦略を示すことを怠っている。
だから、米政府幹部が腰ダメで示した「再編負担3兆円」に驚愕し、これが一人歩きするといったドタバタを招いてしまう。 こんなありさまでは、「平和ボケ」国家から脱することはできない。
………………………………………………………
※追加2_ 中国 (中華) が世界の中心であり、その文化、思想が最も価値のあるものとし、漢民族以外の異民族の独自文化の価値を認めず、「化外の民」として教化の対象とみなす思想。 華夷思想ともいう。
漢人の伝統的な思想という学術的な意味を離れ、その語感から単に強引で自己中心的な考え方を中華思想と呼ぶ場合がある。
以上