1876to1945さんのツイート(2013年10月01日~)を順に紹介します。55回目の紹介
【フクシマ見聞録】
なぜ、日本はヒロシマの経験があるのに、対応出来なかったの?
「日本はアメリカの植民地だから」
Akira Tsuboi@1876to1945さん 2013年12月09日のツイートから
三軒茶屋のアートスペースKENさんで自分の絵を前に、
イタリアミラノからやってきたスカラ座の主席バイオリニストが演奏した時があった。
そのリハーサルに夜勤明けで自分は向かったのだが、
かのバイオリニストには同行が居て、
オペラのダンサーだというイタリア人女性が二人来ていた。
"一人は黒髪の日焼けした肌の、凛とした眼差しの女性で、
イタリアを思わせる青いワンピースを着ていた。
日本の若い女性が身にまといがちな退嬰的なものが一切ない。
胡桃のような質実さが洒脱さを帯びている印象をいだいた。
もう一人はいくぶん若く、赤毛を揚げた女性でレモン色と黄緑の服を着ていた
ー軽みのある印象だった。自分は拙い英語で、
自分の絵をバイオリニストの男性に話し(彼もイタリアなまりの英語を話した)、
それを彼はイタリア語で翻訳してゆく。
描かれたことの背景をひとしきり話し終えると、赤毛の女性が言った。
"(なぜ、日本はヒロシマの経験があるのに、対応出来なかったの?)
イタリア語でのやりとりなので完全に分かった訳ではないが
単語の感じから彼女の疑問の内容が知れた。
バイオリニストがじぶんにその質問を流すかと思って見ていると、
そうせず、彼女に答え、こちらに回して来ない。
"(こいつ、分かっちゃないよな )バイオリニストは自分の顔色を危うく伺うように話す。
「coloniale. :植民地の」という単語が聞こえた。
男が、日本人の自分にばれぬように言ったのは「日本はアメリカの植民地だから」ということだった。
自分に伝えぬようにして処理すると、
"バイオリニストは何事もないように自分にむかい、微笑みをうかべた。
彼の気の遣い方 。それは、”彼ら日本人の多くは気付いてないんだが、
現実はそうなんだ”と声をひそめたのだった。
その気の遣いように苦いものを感じた。まったくそれが現実だった。
すべての問題はここに帰結してゆく。
"地中海ブルーの服を着た女の凛としたありようが、
なにか対象的なもののように思われて、情けなさを感じた。
「立っている」。青い服の女は腕を組んで、はっきりとした目でいるのだが、
その様子には「立っている」という単純な言葉が新鮮にあてはまるものだった。
※次回に続く
2016/12/28(水)22:00に投稿予定です。