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福島の建設会社が東電を提訴、「船が被曝して回収できず」1億円の損害賠償

2012-03-29 13:03:36 | 未分類

福島の建設会社が東電を提訴、「船が被曝して回収できず」

2012/03/28
山崎 一邦=フリーライター [日経コンストラクション]

 係留していた工事用の船舶が東日本大震災の津波で流出。漂着先がわかったものの、福島第一原子力発電所の事故の影響で同船舶が被曝し、回収できなくなったなどとして、所有者の建設会社(福島県)が東京電力に対し、約1億円の損害賠償を求めて提訴した。訴状は2012年3月21日付で、提出先は福島地方裁判所いわき支部。

 回収できなくなった船舶は、防波堤の基礎の建設などに用いる投石船。長さは約26m で、最大で120m3の石を積み込むことができる。非自航式で移動には押し船を用いる。東日本大震災が発生した2011年3月11日には福島県いわき市の港に係留していたが、津波で流出し、行方不明になった。

 海上保安庁福島海上保安部からの連絡で同年3月21日、福島第二原子力発電所の防波堤内に漂着していることが判明した。ただし、漂着場所が同原子力発電所の立ち入り制限区域に当たるので立ち入ることができない。さらに、漂着場所からえい航できたとしても、除染などの放射線管理を徹底しなければ帰港できないことなどがわかり、所有者の建設会社は回収を断念した。

 4月22日、東京電力に投石船の状況を確認したところ、再び行方不明になったことがわかった。東京電力からの連絡では、同船舶が沈没したのか堤防外に漂流したのか明らかでなく、所在が不明になった日も確認できないとのことだった。

 その後、国土交通省からの連絡で、福島第一原子力発電所の事故を受けて設定した警戒区域内を流れる河川の河口付近で投石船が座礁していることがわかった。所有者の建設会社は4月26日に国の許可を得て警戒区域内に入り、現地で座礁を確認。再び漂流して他の船舶や沿岸の工作物に損害を与えないよう、27日にロープでつないで投石船を固定した。ロープの交換などで現地に赴いた回数は、同年8月末までに10回以上に及ぶ。

 訴状によれば、投石船を回収できなくなったのは福島第一原子力発電所の事故による被曝が原因などとして2012年1月中旬、所有者の建設会社は東京電力に損害額の一部を請求。一方、東京電力は2月3日、「避難区域内の財物の価値を客観的に評価するのは困難」などとして拒絶したという。

 今回の損害賠償請求では、投石船を造り直す費用に座礁した船舶の管理費用などを加算。合計1億347万2569円の損害を賠償するよう東京電力に求めている。投石船は、2012年3月時点でも座礁したまま。原告側の代理人は、福島原発被害弁護団の共同代表を務める広田次男弁護士など4人。

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20120326/563209/?ST=rebuild


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