*『原子力ムラの陰謀』著者:今西憲之
「第2章 動燃裏工作部隊「K機関」を暴く」を複数回に分け紹介します。16回目の紹介
原子力ムラの暗部を刻銘に記録に遺し、その男は逝った-
1995年12月8日、「夢の原子炉」と言われた
高速増殖炉「もんじゅ」でナトリウム漏れ事故が発生。
事故をめぐる”隠蔽”が次々と発覚する中、
一人の「国策会社」幹部が突如、命を落とした。
死の謎を解く鍵は、遺された膨大な資料のみ。
そこには原子力ムラが行ってきた”裏工作”の歴史が、
あまりにも生々しく記録されていた。
(P3「まえがき」から)
「『もんじゅ事故』で謎の死を遂げた西村成生さんが残した内部資料があるらしい」
2012年冬、はじめにその話を聞いた時は、ここまで深くその資料と付き合うことになるとは想像もしていなかった。
「西村ファイル」と名づけた資料の山を読み進めるうち、取材班は何度も我が目を疑った。国の特殊法人であるはずの動力炉・核燃料開発事業団(動燃=当時) が地域住民や職員の思想・行動を徹底的に調べ上げ、「洗脳」「工作」といった言葉が頻繁に飛び交う。そして、あまりに不自然な西村氏の死-。「原子力ム ラ」の異常な体質が、次々と浮かび上がってきたのである。
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**『原子力ムラの陰謀』著書 「第2章 動燃裏工作部隊「K機関」を暴く」の紹介
前出のT県議との打ち合わせの記録にも、こんな記述があった。
<上斎原村へは、100億円近い交付金が出されているが、周辺市町村とは大きな格差がある。広報費一つをとっても、上斎原村には1500万円/年、鏡野町や奥津町等は315万円、津山市には105万円の交付金が出されている(全体2500万円)>
上斎原村への「100億円」はこれまでの累計額であろうが、それにしても巨額である。そしてこの記述にあるように、交付金の額に地域間で格差があることが、自治体間の対立の要因になっているのである。こうした電源三法の”甘い蜜”によって地元自治体が籠絡されてきたことは、これまでにも度々指摘されてきた。
しかし、それ以外にも、この「人形原産」のように、地元村長や有力者が役員を務め、地元住民を雇用する企業を下請けとして使うことで、実質的に利益供与がなされていたのである。カネで横っ面をひっぱたき、黙らせる。原子力ムラの得意技である。
前出の元役員が続ける。
「昔は津山と上斎原は電話線が一本しかなかったんだ。それが人形峠に事業所ができてから、回線が増えてな。(電源三法)交付金のおかげだよ」
◎「電力業界は、ほじくり返せばいろんなことがある」
さて、「原子力ムラ」の当事者たちは、一連の資料についてどう説明するのか。
まずは、「Kチーム」で「本部キャップ」を務めたZ氏に話を聞いた。
※続き「第2章 動燃裏工作部隊「K機関」を暴く 」は、1/28(水)22:00に投稿予定です。