*『原子力ムラの陰謀』著者:今西憲之
「第2章 動燃裏工作部隊「K機関」を暴く」を複数回に分け紹介します。10回目の紹介
原子力ムラの暗部を刻銘に記録に遺し、その男は逝った-
1995年12月8日、「夢の原子炉」と言われた
高速増殖炉「もんじゅ」でナトリウム漏れ事故が発生。
事故をめぐる”隠蔽”が次々と発覚する中、
一人の「国策会社」幹部が突如、命を落とした。
死の謎を解く鍵は、遺された膨大な資料のみ。
そこには原子力ムラが行ってきた”裏工作”の歴史が、
あまりにも生々しく記録されていた。
(P3「まえがき」から)
「『もんじゅ事故』で謎の死を遂げた西村成生さんが残した内部資料があるらしい」
2012年冬、はじめにその話を聞いた時は、ここまで深くその資料と付き合うことになるとは想像もしていなかった。
「西村ファイル」と名づけた資料の山を読み進めるうち、取材班は何度も我が目を疑った。国の特殊法人であるはずの動力炉・核燃料開発事業団(動燃=当時) が地域住民や職員の思想・行動を徹底的に調べ上げ、「洗脳」「工作」といった言葉が頻繁に飛び交う。そして、あまりに不自然な西村氏の死-。「原子力ム ラ」の異常な体質が、次々と浮かび上がってきたのである。
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**『原子力ムラの陰謀』著書 「第2章 動燃裏工作部隊「K機関」を暴く」の紹介
「アクションプログラム骨子」の中で見過ごせないのは、<新聞の活用>の項目にこんな記述があったことだ。
<意見広告(山陽43万部、津山朝日2万部)ー継続>
<津山朝日記事掲載 現行は事業団作成・・・掲載は記者の取材方式 ー準備中>
<新聞折りこみ 津山朝日のみ実施(山陽新聞系は拒絶)ー準備中>
そして、驚くべきは次の記述である。
<投書 朝日・・・「論壇」 山陽・・・一般投書(500字)ー準備中>
なんと、地元紙などに一般市民を装って「やらせ投書」せよ、という指令なのだ。それを裏付けるのが92年3月13日に作成された<投書原稿作成のポイント>と題された、社内への指示文書だ。
<1、立場 ①一般市民の立場で ②人形峠事業所に働く者として ③原子力の開発に携わる者として>
<2、内容 ①身近な出来事について ②エネルギー問題に関して ③その他>
などと、詳細な「投稿マニュアル」まである。さらに、投書は各部署に「ノルマ」が課せられていたようだ。
<3、手順 ①各課3通作成 ②3月18日までに総務課(○○)まで>
そして、この通達から10日後の3月23日、本社から各課長に送られたファクスでは、
<山陽新聞「ちまた」欄への投書 依頼の各課3通が出ていないところがありますので、総務課○○まで提出願います>
と催促までしていた。
※続き「第2章 動燃裏工作部隊「K機関」を暴く 」は、1/20(火)22:00に投稿予定です。