東通原発敷地内の断層、審議中断のまま 東北電力
東北電力東通原子力発電所(青森県東通村、定期検査中)の敷地内にある断層について、経済産業省原子力安全・保安院の耐震性評価にかかわる複数の専門家が活断層の可能性を否定できないと指摘したままであることが分かった。東日本大震災後、他原発の積み残しの審議も中断しており、保安院は近く、改めて専門家に審議を求める方針だ。
東通原発敷地内には複数の断層があるが、いずれも今後は地震を起こさない断層とされてきた。活断層に似た地層のずれも見つかっていたが、東北電力は、粘土の急膨張など局所的な要因、と主張。安全性に問題ないとしてきた。
東北電力は昨年、主張を裏付けるため掘削調査を実施。地層がせり上がる活断層の典型的な特徴が現れたが、今年1月に「これまでの評価が適切と再確認した」と保安院に報告した。
遠田晋次京都大准教授は「粘土の膨張でこうしたずれが起こる学説はない。地震を直接起こす活断層でないとしても、説得力ある調査が必要」と指摘する。
活断層として扱うと、揺れや地盤の変動を見積もりし直す必要があり、再稼働の前提となるストレステスト(耐性評価)に影響する。似たずれは、隣接地の東京電力東通原発や県内の電源開発大間原発(いずれも建設中)の敷地にもある。
東北電力の調査は2006年に改定された新耐震指針に基づく見直しの一環。電力各社は08年3月に各原発の少なくとも1基について「安全性に問題ない」とする中間報告を出したが、東通のほか、北海道電力泊や日本原子力発電敦賀も活断層審議が途上のままだ。
(朝日新聞社 2011年10月17日)
http://www.asahi.com/national/update/1016/TKY201110160411.html