試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

モハ100-103[ツヌ101F] 動力ユニット整備 (起動加速度改善:モーター軸受部注油施工) ※'弁天橋区仕様

2019-11-12 21:58:18 | 国鉄/JR101系
先入観。

KATO製国鉄101系ツヌ101F(T'c30←ツヌ101F-1:Mc193,ツヌ101F-2:Mc148)の動力ユニット搭載車はモハ100-103が務めている。
モハ100-103もモハ100-232Assy車体(Mc170:弁天橋区仕様)に元モハ100-808用動力ユニットを転用した組立車である。
当時モハ100-76(ムコ3F-1:Mc78)との床板振替を要する旧モハ100-808(旧ムコ3F-2:Mc193)は実質非動力車として扱われていた。


国鉄101系モハ100-103(ツヌ101F:動力ユニット搭載車)。
※弁天橋区仕様。

使用停止となっていた旧モハ100-808用動力ユニットは101系800番代LOT(ムコ10F:Mc194)だった。
モハ100形用動力ユニットでは低経年品に属するが約11箇月の非稼働期間が存在している。
ツヌ101Fの組成でモハ100-103用動力ユニットに引き当てられ2015年12月から本格稼働を迎えた。
旧モハ100-808時代の走行機会が皆無に等しかったせいか当初より起動電流は高目であった。
比例して起動加速度は低く感じられ最高速度も他編成に比べ頭打ちする傾向が伺えた。
ただスケールスピードの範囲では支障なく個体差だと考え全く気に掛けて来なかった。


入工中のモハ100-103。

中速域から加速度が低下する現象を抱えるモハ100-241(ツヌ131F:Mc70)用動力ユニットも個体差と決めつけていた。
ところが旧クモハ100-144(元ツヌ113F:Tc74→クモハ100-150:ツヌ125F)への移設時に行った整備で性能復元を果たす。
施工内容から酸化した導電板と油脂切れを起こしていたDT21非動力台車が不調の原因だと推測している。
似て非なる症状を持つモハ100-103用動力ユニットではあるが状態改善の可能性があるように思えた。
折しも不動品だったモハ100-208(ツヌ118F:Mc155)を復旧させたばかりでこの過程も参考になるはずである。
徐々にモハ100形用動力ユニットの整備を進める予定でもありモハ100-103をその嚆矢に起用した。


良好な状態に見えたモハ100-103用動力ユニット。

モハ100形用動力ユニットの整備はJR101系モハ100-206(ラシ106F:Mc191)が初施工車となった。
そのモハ100-206は段付加速解消が入場名目であり完全分解を行わずに症状改善へと至った。
しかし旧クモハ100-144用動力ユニットでは通電系統への疑いが晴れず全てをばらしている。
場合によってはモハ100-103用動力ユニットも完全分解が避けられなくなると思われた。
どちらに転じるか判らない不安が付き纏う状況の中モハ100-103を入場させた。
分解したモハ100-103用動力ユニットは一見何処にも問題なく思えるほど状態が良かった。


高回転域で試験を重ねたモーター。

だが実際には酸化が生じていなかった導電板がそう思わせただけでモーターの単独駆動試験から躓く。
モーターは無負荷に於いても起動電流が高く通常走行時と変わらなかった。
完全分解には手を伸ばしたくなかったため試験通電用電極は導電板とモーター端子部の2箇所に当てた。
その結果モーター端子部でも症状が再現され導電板は無関係だと判明する。
取り敢えずモーター一式を撤去する前に台枠へ取り付けた状態のまま整備へ取り掛かった。
モーター軸受部へ注油を行い単独駆動試験を繰り返したが状況は一向に好転しない。
止むを得ず常用しない値まで電流を上げ淀みなく高回転域へと達する展開を待つ事にした。
過度な負荷は禁物でありこれ以降はDT21動力台車の整備と並行して高速度試験を挟んでいる。




脱脂を済ませたDT21動力台車。

旧クモハ100-144用,モハ100-208(ツヌ118F)用DT21動力台車は双方とも油脂切れが目立っていた。
これに対しモハ100-103用DT21動力台車はその逆を行く投入過多とも言える状況だった。
動軸やロアフレームにまで油脂が達しており埃の巻き込みまで抱えている。
さすがに極細綿棒と歯ブラシでの清掃では手に追えず全ギアを撤去する羽目になった。
ギア類をクリーナープールへ浸けている最中にDT21動力台車枠,ロアフレーム,台車集電板の脱脂を進める。
クリーナーの量を絞ると油脂が引き伸ばされるだけで逆効果になってしまい途中から増量し除去した。
この間にギア類の油脂はすっかり溶解が進行し拭き上げを行い各部品へ組み付けている。
一方モーターは高速度試験の効果が現れ始め注油前よりも回転が滑らかになっていた。
また比較的低電流から起動するように変わり一定の成果を感じ取れている。


整備が完了した動力ユニットと[テシ 定員144]標記跡を均した車体。

一通りの整備を終えたモーターとDT21動力台車はひとまず及第点が与えられる状態まで回復させられた。
後はどの程度性能復元を図れたかがモハ100-103用動力ユニットの確認事項となる。
駆動試験の結果起動電流は低下を示し起動加速度も見違えるほど向上した。
10両編成での出力は全開に近かったがこの状態であれば恐らく2/3程度まで下げられると予想している。
起動加速度が低かった主要因は回転の上がらないモーターで間違いないと思われる。
これに台車集電板にまで進出した油脂が拍車を掛け更なる性能低下に繋がったと思う。
クモハ100-150へ移設されたクモハ100形用動力ユニットに続きモハ100-103でも個体差と言う先入観が先走った。
以後のモハ100形用,クモハ100形用動力ユニット整備は許容範囲を狭めて作業に当たる姿勢が必要だろう。




[[千ツヌ 定員144]]:2-4位側。


[[千ツヌ 定員144]]:モハ100-117(ツヌ101F)。

モハ100-103に転写したグリーンマックス製[千ツヌ 定員144]電略標記インレタは何時の間にか[千ソノ 定員144]標記に欠けていた。
グリーンマックス製インレタ(68-1)は入手した時点で大幅に劣化が進んでおり転写も不発の連続だった。
よくここまで持ち堪えた[千ソノ 定員144]標記だったが除去は容易ではなく固着したインレタ屑を別途削ぎ落としている。
[テシ 定員144]電略標記印刷跡はラプロス#8000で軽く均し初回施工から引き摺った擦過痕の隠蔽を図った。
ボナファイデプロダクト製[千ツヌ 定員144]電略標記インレタはモハ100-117,モハ100-170(ツヌ101F-2)で転写に成功した。
一応モハ100-103用は確保されたものの[千ツヌ 定員136]電略標記を失ったクモハ101-148(ツヌ101F-2)の二の舞は避けたかった。
より慎重に車体と台紙の位置調整を行いモハ100-117,モハ100-170とほぼ同位置へ[千ツヌ 定員144]電略標記を復活させた。




モハ100-103(動力ユニット整備施工)。
※弁天橋区仕様:旧製品LOT側面窓セル装着車。


モハ100-208(ツヌ118F:動力ユニット搭載車)。
※旧製品。

2018年6月にサハ101-295(ツヌ101F)と側面窓セルを相互交換したモハ100-103は旧製品LOT側面窓セル装着車へと改装された。
よって車体よりも経年が高い側面窓セルを有するが側面窓セル窓サッシ印刷に劣化は発生していなかった。
前回入場は部品の取り扱いに注意を払い始めた後でありそれが奏功したと言えよう。
KATO製101系の動力ユニット整備施工車は4両目となり考え得る症状に対応出来る環境が整いつつある。
性能を発揮できていなかったモーターは完全分解を回避して復活に持ち込めた。
順次旧製品LOTモハ100形用動力ユニットから経年整備を開始する予定だが良い施工例になったと思う。
ツヌ101F-2はモハ100-103(ツヌ101F)の竣工を以て全車の整備が完了し再出場となる。
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