試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

モハ100-206[ラシ106F] 動力ユニット整備 (加速度改善:モーター軸受部注油,DT21動力台車分解清掃施工) ※旧製品

2019-01-30 23:57:52 | 国鉄/JR101系
無謀。

目下入場中のKATO製JR101系ラシ106F(Mc191:旧製品)だが想定よりも改修が捗っていない状況にある。
これには一際状態が悪かったクハ101-69,サハ101-284(ラシ106F:旧製品)を先発入場させた影響もあると思う。
少なくとも3両の単独入場予定車を抱えており今回はモハ101-212+モハ100-206(ラシ106F:旧製品)が改修対象に選ばれた。


JR101系モハ100-206(ラシ106F:動力ユニット搭載車)。
※旧製品。

ラシ106Fは初代ツヌ118F(Mc155:旧製品)を組み替えた4+6編成でモハ101-212+モハ100-206が唯一のモハユニットとなる。
初竣工以降から車両異動は無く各部品の老朽化もモハ101-212,モハ100-206(ラシ106F)共に同じ様な進行具合だった。
このうちモハ100-206(ラシ106F:旧製品←モハ100-208:ツヌ118F)は編成の中核を担う動力ユニット搭載車である。
他形式用でも安定性を誇るKATO製動力ユニットだがモハ100-206用だけは加速度低下が著しくなっていた。
走行過多に拠るものか起動電流が高く激しい段付加速まで現れておりモハ100-206用動力ユニット整備を第一工程とした。


入工中のモハ100-206。

モハ100-206(ラシ106F)で各症状を引き起こしている原因はモーター周り及びDT21動力台車にあると思われた。
ただKATO製101系動力ユニットの分解整備はモハ100-206が初施工であり基本構造すら理解していない。
ひとまず取り外し可能な部品を全て撤去し整備箇所へ手が届く状態まて持ち込む算段とした。
最初にDT21動力台車を外したところ接続に苦戦するジョイントまで付いて来てしまった。
いきなり嫌な予感が走ったが構造確認は後に廻しユニットカバーと台枠の嵌合を解いている。
ところがダイキャストが剥き出しの台枠表面が現れただけでユニットカバーは実質座席部品相当であった。


遠回りして分解に至った動力ユニット。

結局通電系統に関わる部品は一切取り付けられておらず即時ユニットカバーを元に戻す羽目となった。
モーターカバー撤去を最後に廻したのは台枠表面から作業に取り掛かれると考えたためである。
しかしこの目算は大外れでモーターカバーを取り外すとモーター周り一式が姿を現した。
モハ100形用動力ユニットは比較的簡便な構造をしており整備性に長けていたらしい。
他形式用は不明だが101系以降にリリースされた製品は同様の設計が採り入れられていると思われる。
なおジョイントはフライホイールへの直結式でDT21動力台車を再装着する際の不安は消え去った。


ロアフレームを分離させたDT21動力台車(1エンド側用)。

先ずDT21動力台車からの負荷が掛からない状態になったモーターの単独駆動試験を行った。
何かしら不具合が現れると思っていたが回転音は走行時と異なり至って静かだった。
ただ経年の高さと走行距離が伸びたせいか起動時にはぎこちなさを見せ高回転域も伸びやかさに欠けた。
繰り返し試験を行っても改善の兆しは見受けられずモーター軸受部への注油を行っている。
油が馴染むに連れモーターの挙動は徐々に安定感を取り戻し起動電流も低下した。
モーター周りへの懸念は晴れた一方で壮大な駆動音が課題として残りDT21動力台車にも疑いの目を向けた。
なおDT21動力台車に嵌まっていたジョイントは整備を邪魔するだけでありフライホイール側へ移設している。


ラプロス#6000で研磨した台車集電板(2エンド側用)。

101系用DT21動力台車は2pcs式が採用されており心皿上部の台車集電板付近で嵌合する構造を持つ。
但し非常に固い嵌合精度を誇り用意したプラスチックドライバーの先端が折れるほどであった。
加えて片側の嵌合だけ解く状態にも持ち込めず1-3位側,2-4位側を同時に押し込む方法が効率的だと判断した。
そこで両嵌合爪をスチール製平型ピンセットで挟み付けながら動力台車枠から分離させている。
ギアボックス内部は殆ど埃等の侵入が見られず経年を感じさせない良好な状態だった。
しかし動軸ごと台車集電板を取り外したところピボット軸受部が茶褐色に変化していた。


強引に撤去したギア類(1エンド側用)。

台車集電板ピボット軸受部には歴年の埃が積み重なっており見るからに走行抵抗と化していた。
ここに台車集電板そのものの酸化までが加わり茶褐色へ変わってしまったと思われる。
塊になっていた埃こそクリーナーを浸した極細綿棒で掻き出せたが黒ずみには全く通用しなかった。
なお台車集電板の酸化は全体に広がっていたため通電性能を向上させるには研磨が欠かせないと思われた。
そこで研磨と並行して小さく折り重ねたラプロス#6000をピボット軸受部に当て周回させている。
ラプロスが届かなかった頂頭部は僅かな酸化部が残ったが性能復元に期待を寄せられる状態へ達せられたと思う。


組み立てに戻るDT21動力台車(2エンド側用)。

ギアボックスへの埃侵入は抑えられていたモハ100-206(ラシ106F)用DT21動力台車だがギア回転が非常に重かった。
状態改善にはギア軸の清掃が最も効果的に感じられプラスチック製ギアをロアフレームから取り外そうとした。
だがこの嵌合方式が曲者で全ロアフレームを外側に撓ませながらようやく撤去まで漕ぎ着けている。
取り出したプラスチック製ギアを仔細に見るとギア谷の一部は埃のようなものが蓄積していた。
分解当初は気付かなかったがギア軸には糸屑が絡まっておりギア谷の埃を含め歯ブラシで削ぎ落とした。
対照的に金属製スパイラルギアは極細綿棒で輝きを取り戻せる程度の油脂付着で収まっている。
撤去に難航したプラスチック製ギアだったが装着はロアフレームの軸受直上から落とし込むだけで構わなかった。


台車集電板で挟まれた動軸(1エンド側用)。

DT21動力台車は組み立てもやや癖がありスパイラルギア嵌合部の無い動力台車枠を上向きに保持する必要があった。
そのため井形に組んだ台車集電板で動軸を挟みつけ裏返した動力台車枠へ押し込む方式とした。
上手く行ったと思えたが先行した1-3位側用DT21動力台車ではトラクションタイヤの方向を誤ってしまった。
動軸だけを外そうとしたものの剛性の高い動力台車枠が壁となり再び全て撤去する事態に陥っている。
1-3位側用DT21動力台車での失敗に懲り2-4位側用は井形の組み上げから注意を払った。
トラクションタイヤは対角線上に収まる位置が正規方向であり何度も確認を重ねながら組み立てている。


整備完了直後のモハ100-206用動力ユニット。

止むを得ない方法かと思われた動軸及び台車集電板の組込方式だったが実は合っていた模様である。
1-3位側用,2-4位側用DT21動力台車の整備は同時進行させたが組み立てに限れば方向別が無難だと思われる。
ここまで来ればモハ100-206(ラシ106F)用動力ユニット整備は完了同然でありジョイントとDT21動力台車を結合させた。
DT21動力台車装着後にモーターカバーを装着したが端部が台車端梁と競合してしまい危うく破損させそうになった。
予めジョイントはフライホイール側へと移しており先にモーターカバーを取り付けるべきだった。
最後にDT21動力台車用ギアへ微量のユニクリーンオイルを落とし走行試験へ移行した。

整備を終えたモハ100-206(ラシ106F)用動力ユニットは入場前の不調を一切感じさせない動きを見せた。
確実に起動電流は低下し段付加速も解消されモーター周り及びDT21動力台車の整備が的中したように思える。
吊掛駆動車のような騒音まで収まり高回転域まで淀みない加速を示してくれた。
これでラシ106Fだけ走行性能が劣る状態から脱出出来初のモハ100形用動力ユニット整備は成功と見て良いと思う。
モハ100-206用動力ユニット整備は一段落したがまだ車体関連の改修項目には全く手を着けられていない。
既に入場から約90分が経過してしまったため一旦作業を中断し車体改修は日を改め対応する。

分割:2020年02月22日
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