試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

旧クモハ100-144[元ツヌ113F] 動力ユニット整備 (加速度改善,クモハ100-150[ツヌ125F]用動力ユニット改装施工) ※'旧製品

2019-09-03 21:37:01 | 国鉄/JR101系
前編。

KATO製国鉄101系ツヌ125F(Tc48)用組成準備車で最終入場となる旧クモハ100-144(元ツヌ113F:Tc74→クモハ100-150)を迎えた。
旧クモハ100-144(旧製品)にはモハ100形用動力ユニットへ細工を加えたクモハ100形用動力ユニットが充当される。
しかしモハ100-241(ツヌ131F:Mc70)より捻出した動力ユニットは経年が高く整備と小細工の同時進行に決定した。


国鉄101系旧クモハ100-144(元ツヌ113F)。
※旧製品。

旧製品編成組成計画では旧モハ100-234(元ツヌ115F:Mc144)から動力ユニットを転用する方針だった。
だが旧モハ100-234用動力ユニットが再生産品LOTだと判りモハ100-241との相互交換にて旧製品LOT動力ユニットを確保した。
元モハ100-241用動力ユニットは2014年7月に出場したツヌ131F-2(T25)時代から継続使用されている高経年品のはずである。
青22号混色編成は元ツヌ131F-1(M'c143),元ツヌ308F(Tc81)の廃止によりツヌ131F(Mc70←ツヌ131F-2)へ一本化された。
それまで2両体制だった動力ユニット搭載車はモハ100-68(ツヌ131F)が非動力車化されモハ100-241への負荷が増加している。
最近では一定速度からの加速が伸び悩む傾向にあったが起動加速度に異常は無く問題視していていなかった。


入工中の旧クモハ101-144。

在籍するモハ100形動力ユニット搭載車は比較的良好な状態を維持している車両が多い。
現在に至るまでモハ100-206(ラシ106F:Mc191)が唯一の動力ユニット整備施工車となっている。
モハ100-206の整備契機は段付加速だったがモーター軸受部への注油と台車集電板の研磨で性能を復元できてしまった。
比較的症状が軽い元モハ100-241用動力ユニットならば同様の内容で整備を終えられると思えた。
一度だけの整備であるが一応モハ100形動力ユニットの基本構造は押さえたつもりでいた。
無用な分解は避けDT21動力台車とモーターカバーだけを撤去して整備に取り掛かっている。


整備性に優れていると思われたモハ100形用動力ユニット。

モハ100形用動力ユニットはモーターカバーを取り外すだけでモーター一式が現れる。
モーター本体は支持部品で覆われているが軸受部への注油は至って容易だった。
しかし単独駆動試験を行っても加速度は鈍いままで導電板に疑いをかけた。
経年相当の導電板状態だったが台車集電板との摺動部には擦過痕が見られた。
加えて2-4位側2エンド寄の変形が気になり導電板も整備対象に挙がる。
だがスプリング機構を有するモハ100形用動力ユニットの導電板はモーター支持部品に組み込まれる構造であった。


台枠天面に設けられていたモーター支持部品の嵌合爪口。

モーター支持部品に引き掛けられている導電板は現状での引き抜きが行えなかった。
モハ100-206(ラシ106F)ではモーター一式の撤去を必要とせず今回が初施工になっている。
最初にぶつかった壁はモーター支持部品をどの様に撤去するかだった。
軽く捻りを加えてもモーター一式はぐらつかないほどしっかりと固定されていた。
外観からは台枠との嵌合位置が全く分からないため座席部品を取り外すしかない。
すると平面だと記憶していた台枠天面には2箇所の嵌合爪口が存在していた。
ピンセットで両嵌合爪を押し込むとモーター支持部品は簡単に脱落してくれた。


複雑な構造に手を焼かされた導電板(2エンド側)。

次に待っていた壁はモーター支持部品の溝形状に合わせた型抜きが施されていた導電板である。
線路方向からの引き抜きは不可能でモーター支持部品の溝を避けながら枕木方向にずらす方法しか採れなかった。
この時引掛式のモーター端子が両側揃って外れてしまい無事に復元出来るか不安になっている。
組み立ては予め導電板をモーター支持部品,動力台車支持部品へ仕込まないと上手く嵌合できななかった。
更に前端を小さな突起部へ挿入するモーター端子部品は導電板位置の微調整だけで脱落するため厄介な部品であった。
弥次郎兵衛のような状態を保ちつつ台枠へ落とし込みモーター支持部品及び動力台車支持部品の嵌合爪を噛み合わせている。
導電板の研磨はスプリング機構への影響を考慮しラプロス#2400で行い併せて変形部も直線状に修正した。


埃が混入していたDT21動力台車(2エンド側)。

ここでモーター端子接触具合と加速度改善結果が気になり二度目の単独駆動試験を行っている。
手法は別として上手く組み立てられたらしく通電系統,加速度とも相応の答を得られた。
ようやくDT21動力台車の整備へ移行出来たが既に入場から約40分が経過していた。
そのDT21動力台車も埃混入やスパイラルギアに固着した油脂が目立つ等思ったより状態が悪い。
止むを得ずクモハ100-150の竣工は諦めクモハ100形用動力ユニットを仕上げる工程に変更となった。
スパイラルギアはクリーナーへ浸した後に歯ブラシで古油脂の除去を行っている。
完全な油脂切れ状態だったプラスチック製ギアにはユニクリーンオイルを注入した。


妻面側リブを切除したモハ100形動力ユニット搭載車用KATOカプラー(2エンド側)。

組み上げた動力ユニットは順調な稼働を示し整備に一応の区切りが付けられた。
以後はクモハ100形用動力ユニットへの仕様変更が主工程に変わる。
モハ100形動力ユニット搭載車用KATOカプラーは非動力車用とは異なり台枠側面で支持される。
この構造は若干の不安定要素を含む模様で妻面側マウント天面には車体裾連結器欠き取り部と合致するリブが存在する。
リブを存置すると前面見附に影響を及ぼすため2エンド側用に限り平滑化を行った。
但し動力ユニット単体での前後動が激しくなる弱点を持つ細工であり補助的にゴム系接着剤を使用した。


乗務員室仕切に転用されるガイド無プリズムケース。

クモハ100形へ動力ユニットを組み込むとプリズムケースが取り付けられなくなる。
中間組込車であり前尾灯非点灯は気にならないが乗務員室仕切まで失われてしまう。
前面窓から覗く乗務員室仕切はKATO製101系運転台付車の美点と言えプリズムケースを加工して復活させる。
プリズムケースは旧クモハ100-144用の代わりにガイド無プリズムケースを持ち出した。
先のクハ101-48(ツヌ125F←旧クハ101-10:元ツヌ115F)で登場した発生品は乗務員室仕切転用が最期の役割になっている。
設置目安となるプリズム支持部を一部だけ残し仕切壁から張り出した箇所は全て切り落とした。


室内灯取付台座に固定した乗務員室仕切。

暫定的に逆L字形へ整形されたプリズムケースだがクモハ100形本来の取付位置と揃える必要がある。
旧クモハ100-144用床板を参考にプリズム支持部が同一高へ達するまで下辺を切り詰めた。
モハ100形用動力ユニットは2エンド側に室内灯取付台座が成形されている。
やや引き込み気味になるものの乗務員室仕切を固定するには都合の良い場所にあった。
接触面積は限られるが乗務員室仕切両端の室内側へゴム系接着剤を塗布し室内灯取付台座に圧着した。
なお枕木方向の設置位置は動力ユニット幅に合わせるだけで差し支えない。


追設した床下機器 (クモハ100形用床板,クモハ100形用動力ユニット)。

最後にモーターカバーへ床下機器を追設しクモハ100形用動力ユニットへと改める。
クモハ100形用床板とモハ100形用動力ユニットを比べると不足する床下機器は2エンド側に集中している。
各々適当な予備品,発生品を持ち寄ったが全機器とも別形式からの転用で賄った。
またモハ100形用動力ユニットと同様の整備が行えるよう追設機器はモーターカバーへの固定に拘った。
ここは第一次動力ユニット搭載試作車の旧クモハ100-108(旧ツヌ122F:Mc155クモハ100-166:ツヌ109F)から一貫している。
何とかクモハ100-150用動力ユニットを完成させたが車体への加工は全て残されてしまった。
塗装被膜修正も待ち構えており竣工にはもう一踏ん張りが要求されると思う。
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