宮部みゆきと超能力

超能力・・・・この言葉から何を連想するだろう。
どんな人も一度は自分にこんな力があればと
非現実的なことを考えたことってあると思う。

昨日の映画のX-MENもミュータント、超能力者が主人公の話。
あちらが洋風料理なら、超能力の和風ティストはなんといっても
宮部みゆきの小説に尽きる。

彼女はベストセラーの数、実力、人気とも
現在女性ミステリー作家の第一人者と言っても過言ではない。

彼女はスティーブン・キングのファンだというのを以前本で読んだことがある。
そんな彼女のS・キングからの影響を感じるのが【超能力モノ】の作品。

S・キングの影響を受けてるといっても、モノマネやパクリではなく
読むと完全な宮部みゆきの小説そのもの。
それでいてちゃんとS・キングのティストを感じさせるところが
彼女のすごさとウマさ。
そして本当にスティーブンキングが好きなんだな~と感じるのだ。


そんな彼女の超能力を持つ主人公の小説は

<鳩笛草・燔祭・朽ちてゆくまで>
超能力を持つ三人の女性が主人公の短編集

『鳩笛草』・・・・・他人に触れると、その人の心の中が読めるという
          超能力を持っている女性刑事が主人公。
          自分の刑事としての才能はその超能力がなければ、
          何もないのか・・・その葛藤を描いている。
『燔祭』・・・・・・次の『クロスファイアー』の女性主人公の元彼の視点で
          書かれたもう一つの『クロスファイアー』
『朽ちてゆくまで』・両親を幼くして亡くした女性がふとしたことから
          自分が幼い頃に予知能力を持っていたことを知る。

どの作品が優れているかではなく、好き嫌いだけでいったら
この短編集がいまでも宮部みゆきの本では一番好きだ。


<クロスファイアー>

念力放火能力という超能力を持つ女性が主人公。
怒涛のストーリー展開を持つ作品で宮部みゆきの筆が冴え渡る。
この作品が一番超能力が派手に使われている作品。

そして一番上の写真の『龍は眠る』だ。

以上の三冊(クロスファイアーは上下巻)が宮部みゆきの代表的な超能力モノ。
昨日X-MENの映画を観た後に宮部みゆきのこれらの小説をむしょうに
もう一度読みたくなった。
それはこれらの宮部みゆきの小説を読んだときの感動を思い出したからだ。
洋風料理を堪能したら今度は和風料理が急に食べたくなった感じ。
感性が二種類食べてバランスをとろうとしているのかもしれない。

X-MENが超能力を颯爽と使い悪とたたかう正義の味方なのに対して
宮部みゆきの超能力が題材の小説に出てくる主人公は
超能力を持っているにも関わらず社会的に弱者だ。
まさに自分の中の龍が眠るようにと自分の能力を隠して生きている。

その超能力を持っているがために背負う悲しみ。
そんな主人公が家族や恋人、世間とのかかわりの中で感じるせつなさ。
それらを宮部らしい丹念で端正な文章で綴ってある。

宮部はこれらの作品で超能力を信じさせようという書き方ではなく、
超能力という媒体をとおして人間の優しさを描いている。
本当にうまいストーリーテーラーだと感じさせる。

これらの作品は90年代初期から中期の作品。
その頃縁があった女性の影響でオレはミステリー小説が好きになった。
彼女は洋物が好きだったけどこの宮部みゆきは大絶賛だった。
本は二人の共有物だったのだけど、
今は彼女と縁が切れて本もなくなった。

しかたがない・・・今度の休みに図書館へでも借りに行こう
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