=======================
パライソメッセージ 2013.06.21 no.16
Mail : isokawas@goo.jp
Blog : http://blog.goo.ne.jp/isokawas
========================
「パライソメッセージ20130621 no.16」を送ります。「不要だ」「余計なお世話だ」といわれる方は、お手数ですがその旨ご連絡お願いします。
【主張・意見・コメントのページ】
テーマ:新聞記事から読み取る、もはや避けることが出来ない『グローバル社会化』への対応②
『グローバル社会化』への対応を、キャリア教育の中でどのように落とし込んでいくのかを考える前に、そもそも「キャリア教育」や「キャリア形成支援」について考えたい。
私が日常取り組んでいる、「キャリア形成支援」の一環としてのキャリアカウンセリングやコンサルタントは誰のため、何のためのものだろうと考えることがある。いかに世の中の雇用情勢が大変厳しい、ブラック企業などの社会問題が若者の周辺に覆いかぶさってきているとはいっても、私が関っている若者の多くは、『正社員』『巨大企業・大企業』『有名企業』『教員・公務員』がモデルである。いわゆる『勝ち組レール』に乗っかって、その延長で就活に取り組んでいる学生が殆どではないか。それでもたまには自らのキャリアをデザインできなかったり、更には学校から社会への移行について自己決定の自覚すらできていない学生もおり、丁寧に関らなければならない若者もいるが、割合からいうならそう多くは無い。私はそれが自分にとって、少し違和感として感じている思いがある。与えられたタスクとして現状にだけ対応していればいいのだろうかといった問題意識はずっとあったし、それなりの勉強や研究も個人的には取り組んできた。そのことと、ライフワークとしての『若者のキャリア形成支援』については、別の機会に書かせていただくとして、今回は『グローバル社会化』への対応とキャリア形成支援をキャリア教育を通して、どう実現するかについて、考えてみたい。
「パライソメッセージ20130614」で、グローバル化は、優秀でガッツのある若者だけの課題ではなく、すべての若者に関ってくる課題となるだろうと書いたが、どういったキャリア教育を通してすべての若者に関っていくのか、私案というかアイデアを考えてみたい。その前に二人の若者を紹介する。総合商社でもグローバル・インフラ企業でも国際機関でも多国籍企業でもなんでもない、普通の企業・職業である。
A君。有名大学理工系出身。32才。現職は中国料理中堅チェーン店の基幹店店長。飲食店ではあるが和民のようなブラック企業ではなく11時閉店。現在は基幹店店長として正社員・アルバイトを含め50名以上の調理場・ホール・バックのスタッフをマネージメントしており、スタッフの半数以上は留学生も含めた外国人。彼は、有名大学理工系出身で『勝ち組の就活』が十分に出来たのだが、当時の店に請われて、自分の意思で中国料理店に就職した。現在は人望の厚い店長として多くの外国人にも慕われている。店の売上げはチェーン店でもトップクラスで、スタッフとともに新しいチェーン店の展開に意欲的に取り組んでいる。彼が信頼するスタッフには外国人が多い。
Bさん。看護師。学校卒業後大手病院に就職したが退職して1年間の外国留学。特にTOEIC800や900なんてことはなく、ごく普通のレベル。留学から帰りしばらくは、国境無き医師団の活動に参加して、途上国や紛争地域に看護師として参加した。やがて大手病院に復職し、そこでも貧困国や地震災害国への医療支援の一員として率先して参加している。
A君もBさんも、『勝ち組』のように見えるかもしれないが、彼や彼女は特別な若者ではなく、ごく普通の好感の持てる若者である。何よりも言いたいのは、ただ自分が主体的に自分のキャリアをデザインし、実現していったこと。そして彼や彼女はこれからの『グローバル社会化』の中でも揺らぐことなく、昂ぶることなく、ごく自然にリーダーシップを発揮して行くだろうということである。
さて、キャリア教育として試行したいことは以下のとおりである。
★ 講義授業・・・グローバル社会化の理解と対応
-若年労働力の世界的な流動化の実態、世界比較、バックグラウンドとなる世界経済、アジア動向特にASEANなど東アジア経済圏諸国の動向理解-
★ 日本人若者によるプレゼンテーション・・・テーマ:ボーダレス世界で日本の果たすべき役割
-グループワーク→文化・経済・政治の分野でグループ分け→プレゼン
★ 外国人留学生とのワークショップ・・・テーマ:日本の近未来予測
-ワークショップ→文化・経済・政治の分野での近未来予測→プレゼン
★ 外国人労働者とのワークショップ①・・・テーマ:日本への期待と若者の可能性
-ワークショップ→プレゼン→レポート
★ 外国人労働者とのワークショップ②・・・テーマ:日本が担う役割と若者のタスク
-ワークショップ→プレゼン→コンペ→表彰
など、A君やBさんにも参加していただいて、世界の若者とのコラボレーションを通して、日本人若者が社会のグローバル化に対応する資質を培うのをサポートしていきたい。勿論これらは『キャリア教育』の一環として行うのであり、さまざまな機会を通して、あるいは活用してグローバル社会化をポジティブに受容する若者を輩出するのをサポートしたい。
(次回以降別テーマ)
「一押しBook」
※ 紹介したい本は沢山ありますが、今週は以前紹介の「一押しBook」の再説明と蔵書場所案内①
書名:20130320「ブラック企業~日本を食いつぶす妖怪~」
著者・説明:今野 晴貴 ・子や孫にも読ませたい話題の本。現在ベストセラー。
蔵書場所:キャリアセンター資料(部長室・自由開架)
署名:20130322「人権としてのディーセントワーク」
著者・説明:西谷 敏 ・人間らしい働き甲斐のある仕事とは
蔵書場所:キャリアセンター資料(部長室・自由開架)
署名:20130405「私たちはなぜ働くのか(マルクスと考える資本と労働の経済学)」
著者・説明:佐々木 隆治 ・資本論入門書であり現代資本主義の分析にも論及
蔵書場所:キャリアセンター資料(部長室・自由開架)
署名:20130412「『属国ニッポン』経済版 アメリカングローバリズムと日本」
「『属国ニッポン』経済版② 新自由主義の犯罪」
著者・説明:大門 実紀史 ・共産党国会議員の実践的・実証的で分かり易い新自由主義批判の力作
蔵書場所:大学図書館(衣笠図書館2階、分類・経済)
署名:20130419「就活前に読む-会社の現実とワークルール」
著者・説明:宮里 邦雄、川人 博、井上 幸雄(いずれも弁護士)・ワークルールについて必読書
蔵書場所:キャリアセンター資料(部長室・自由開架)
次回の「一押しBook」は「説明と蔵書場所案内②」