"いそ"あらため、イソじいの’山’遍路’紀行’闘病、そしてファミリー

“いそ”のページは、若者のキャリア形成を、目一杯応援するためにも“いそ”改め“イソじい”でリニューアル。

パライソメッセージ20130614

2013-06-14 19:01:46 | メッセージ

========================

パライソメッセージ 2013.06.14

        Mail : isokawas@goo.jp

     Blog : http://blog.goo.ne.jp/isokawas

========================

 「パライソメッセージ20130614」を送ります。「不要だ」「余計なお世話だ」といわれる方は、お手数ですがその旨ご連絡お願いします。

【主張・意見・コメントのページ】

テーマ:新聞記事から読み取る、もはや避けることが出来ない『グローバル社会化』への対応①

 2013年5月18日の日本経済新聞の朝刊に、『若者雇用世界で深刻』という記事がかなりのスペースをとって書かれていた。記事の内容は、国際労働機関(ILO)のまとめが紹介されており、『世界の若年層(15~24歳)の失業率は13年見込みで12.6%と、全年齢の6.0%を大幅に上回』り『世界で7300万人が働きたくても仕事がない』。具体的には2012年の若年層失業率は『アメリカ16.3%、EU22.6%、東南アジア13.1%』で一方『日本8.2%』(主要地域、日米欧は第2四半期時点、他はILO集計)といったことが書かれてある。

 一方、世界の大学卒業者の就職率は、世界の工場といわれる地域の中国が30%(中国教教育省)、韓国が58.6%(教育科学技術部)、台湾でも70%以上(教育部)など、日本の94%と比較すると若者の就職率は極めて低いのが現状である。諸外国は日本のように新卒一括採用ではなく通年の採用とはいえ、鴻海、現代、サムスンやハイアールといった巨大多国籍企業を擁する国でさえそういった状況である。私は先の新聞記事を見たときに、BRICsや周辺の発展途上国の若年労働力の状況に思いが行き、『日本社会のグローバル社会化』は避けられない、もはや泣いても笑ってもグローバル社会へとならざるを得ないと、強く実感した。

どういうことかというと、先進諸国や中韓台は生産拠点をアジアやさらにはアフリカ新興国に進出し、途上国・新興国の多くの労働者が多国籍企業に就労する一方、国内過剰労働力は移民として先進国や中韓台等へと『出稼ぎ』に行く。ところが中韓台での労働力、特に若年労働力はすでに飽和・過剰状態で、多国籍企業はコストカットの一環として劣悪な条件で移民労働者の雇用を進める。そのことが若年労働力の更なる過剰流動性をもたらす。世界的な教育レベルのアップやグローバリズムの中で過剰流動性は製造現場の現業労働力のみならず、トップクラスの技術者、管理者等にも拡がる。それらが要因となって中韓台諸国の大卒就職率に見るように厳しい状況として現れてくる。中国では、更に農民層が製造労働者として流れ込み、いまやユニバーサル化した大卒の中間層はますます溢れてしまう。そういった社会の仕組みが世界的規模で顕在化してきており、今やこれは世界資本主義の構造的問題となっている、と私は思う。若年労働力の過剰による流動性は資本主義社会の構造・骨格に関わる問題だろう。『それでは一体どうすれば良いか』の私論については、別の機会に述べる。

 そういった状況の一方では、日本国内の外国人労働者の就労状況はどうなっているか。日本は『鎖国』といわれているが、実際は日本で働く外国人労働者は、東日本大震災と福島原発事故以降一旦減少してはいるものの、多い。外国人労働者の数は2012年10月682,450人(2008年比140%)で、企業規模別では100名以下の企業が53.7%、500名未満の企業が24.1%(厚労省)となっている。職種で見ると、かなり以前から自動車産業等で働く季節工など、劣悪な雇用条件下で、生産工程を担う外国人労働者が多かったが、近年は介護や看護師、サービス業、飲食店などより広範な職域で外国人労働者の雇用が拡がってきている。

 日本企業の外国人留学生の雇用動向を見ると、かなり積極採用が見られる。ユニクロなどでは2015年卒業の求人予定600名のうち半数の300名が外国人留学生枠となっている。パナソニックでは『国籍に関係なく優秀な人材を採用する』などと言い、留学生枠240名のほか、現地採用の外国人労働者の日本国内での基幹社員としての登用も進めている。たまたまブラック企業やリストラ企業が例えに上ったが、このトレンドは大小の企業規模を問わず、グローバル展開を目指す企業の殆どが、外国人留学生の採用の方針を持っているために、若年労働力はより一層ボーダレス化してくるだろう。

 こういった世界の労働力市況、分けても若年労働力市場の世界的な流動化は、加速度的に日本にも押し寄せてくるので有り、それに対する日本の若者のグローバル人材の養成は、優秀でガッツのあるトップ層の若者だけの課題では無く、全ての若者にとっての必然的な課題となるだろう。

 日本社会のグローバル社会化の中で、全ての若者はどう対応しなければならないのか。『グローバル人材になるためのキャリア教育』ではなく、『日本社会のグローバル社会化に一人ひとりがどう対応するかのためのキャリア教育』が必要なのではないだろうか。

 次回は、キャリア教育の中身ついて、考えてみる。

(続く)

 

 

「一押しMovie」

題名:奇跡のりんご

出演:阿部サダオ 菅野美穂 山崎努 笹野高史 池内博之

監督:中村義洋

内容:

 青森県弘前のりんご農家の木村秋則さん家族が、絶対不可能・神の領域と言われた無農薬りんごを11年間かけて作った実話の映画。最初は、題名からして『子供向き』のハートフルな映画かと思っていたが、結果はなかなか見ごたえのある映画であった。

 りんごはあれほど甘くて、ジューシーなのに虫が食わない。当たり前と思っていたが、大量の農薬のおかげであった。その農薬が妻の健康を蝕む、それが無農薬のりんごを作ろうと思った原点。当初はりんご農家の若者たちも、ともに作ろうと熱くなって取り組んでいくが、木が病気になったり虫が大量に発生したりして、遅々として進まないどころか、やがて私財をつぎ込み、蓄えも使い果たす。他の若者たちも、挫折していく。

 そのうち木村さんは畑の一部も売り、電気代、税金も滞納し『竈(かまど)消し』と言われ、村八分のような状態にもなる。それでも妻や子供、妻の父親(山崎努が好演)に支えられ続ける。無農薬りんご作りを始めて10年目には万作尽きて、ある夜に死に場所を探して山中を彷徨う。人手の入らない自然のままの夜の山中で、虫も食わず病気にもならない元気な胡桃の木を見つけ、自然農法のヒントを得る。それが起死回生となり、独特の自然農法で11年目に無農薬りんごの栽培に成功するといった話しである。

 この話の中で、弱そうに見えても図太いほどに強い家族の愛情に、自分の家族の姿を投影し、感慨。私も好きなことをやって、家族にずいぶん心配と迷惑をかけたことが、心をよぎる。

 私がこの映画で心に残ったもう一つのことは、自分が思ったことはそのイメージが適うまで粘り通す、イメージ通りならなければパニクってしまうようなタイプの人が、それを成し遂げるなんともいえない爽快感が、十分に共有できたこと。これは前回の【一押しMovie】の『舟を編む』にも共通した感覚でもある。単に感動ドラマというだけでなく、そういったメッセージも伝える映画であった。

 

パライソの評価:★★★★☆

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする