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パライソメッセージ 2013.06.28 no.17
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「パライソメッセージ20130628 no.17」を送ります。「不要だ」「余計なお世話だ」といわれる方は、お手数ですがその旨ご連絡お願いします。
【主張・意見・コメントのページ】
テーマ:何故日本(経済)は『壊滅的な状況』になってしまったのか①
このテーマで論述すれば、分厚い本が一冊できる。悲しいかな今日の日本の文化・経済・政治、いずれを見ても、『壊滅的』ともいえる状態になっており、多くの大衆は不安感・閉塞感に苛まれているのではないだろうか。ツイッターなどでは『何者』状態が蔓延して、『負け組』がより弱いものを攻撃したり、観察者となって主体的には何も行動せずに、息を潜めていたりする。一方ではメリハリを利かせて喋れる者、橋下市長やユニクロの柳井会長やワタミの渡邊会長やらは、なにを言ってもヒーローのように許され、崇められそしてポピュリズムが形成されていく。安部首相と高級料亭で『懇親』を重ねて恥じることの無い大手マスコミは退廃の極みで、日本の思想・文化を蝕んでいる。一方では憲法改悪の企みや、2011年の大震災によって未だに多くの人たちが故郷を離れて苦しみ、将来の展望が暗澹である原因を作った原発事故のトラウマを抱えているというのに、他国への原発セールスや亡国のTPP協定に狂奔する総理大臣を見ていると、政治の世界も『壊滅的』状況に陥ろうとしているのを感じる。
言いたいことは山ほどあるが、このパライソメッセージでは、とりあえず『日本経済』について焦点を当てて考えてみる。
何故、日本経済が『壊滅的』ともいえる状態になってしまったのか、ほんの2008年のリーマンショックまでは、戦後最長の好景気で、いざなぎ景気といわれていたのはたいていの人は覚えている。企業の利益は膨れ上がりGDIは史上最高を更新し続けた。企業の内部留保は230兆円を越え、これはさらに更新し続けている。しかしその一方ではパナソニックが2期連続7000億円超の赤字や、ソニーの家電からの撤退や、電機業界の20万人にも及ぶリストラ、解雇規制の緩和、ホワイトカラーエグゼンプションなど、まるで働く者にとっては、殺伐とした荒れ野のような状況である。日本経済のドメスティックの部分だろうが、このように惨憺たる状況に至った背景を知るには、戦後の日本経済の歴史を見なければならないだろうし、歴史を振り返ることによって惨憺たる日本経済の構造が分かり、それを打開するいくつかの道筋も見えてくるのではないか。
当然のことであるが、世界の誰もが日本に好意的で、日本経済の自立的・持続的発展を祝福してくれていたのではなく、今後も好意的に見守ってくれるなんてことは一切ない。世界の国々は、生き馬の目を抜くような厳しい国際間競争の歴史を繰り広げてきた。その大きなトレンドの中心は、第2次世界大戦後、軍事的には圧倒的優位に立つアメリカだが、アメリカ経済の一貫した劣化つまり資本主義の構造的矛盾の深化とそれに対する軍事力をバックグラウンドとした『アンチ・インフェリア』としての世界経済戦略の中で日本が歩んできた道を見る必要がある。
日本は、戦後一貫して『属国』と言われるほどに、アメリカに従属してきた。対米従属という重たい鎖に繫がれた戦後史を辿り、その中で日本経済は完全な自主・自立ではなく、アメリカ経済のあるときは捨石、あるときは強力なサポーターとして『成長』してきた。
戦後の日米関係の歴史を辿ると、3つのステージがある。以下、ごく簡単に説明。
日米関係の第1のステージは戦後から朝鮮戦争時頃まで。この時期の日米関係は、戦勝国と敗戦国、占領国と被占領国の関係であった。全ての権力はGHQに集中され、戦後日本の施政方針は『英語を標準語とする』『日本の生活水準はかつての植民地国の水準より低いものとする』等々であった。日米行政協定(現日米地位協定)では『米国は何時でも何処でも在日基地を持てる』といった関係であった。
第2のステージは朝鮮戦争以降。当時のソ連を筆頭とする社会主義国との冷戦時代の日米関係である。朝鮮戦争の休戦以降、核兵器開発競争などの大愚行を競い合い、アジア・アフリカの民族独立運動の抑圧にCIAが暗躍、米軍が介入、キューバでの一触即発の危機など、人類の滅亡に関わる国際紛争が頻発した。この時期、当時の中曽根首相は日本のことを「(アメリカのための)不沈空母」と呼び、反共の防波堤の役割を積極的に果たそうとする。一方経済のほうでは朝鮮戦争特需で、復興の基盤が築かれ、その後高度経済成長を成し遂げGDP世界第2位へと躍進する。
第3のステージは、経済大国日本に対する、日本潰しのバッシングが猛烈に行われる時期で、それが今日まで至っている。日米関係で言うなら、1985年のプラザ合意から始まるが、その後88年のBIS規制やバーゼル合意など、アメリカを先頭として世界からの日本潰しの嵐に晒されることになる。
全てを論述しようと思えば、政治・経済あるいは文化をも含めた大論文になってしまうので、パライソメッセージでは、今回のテーマ「何故日本(経済)は『壊滅的な状況』になってしまったのか」に即して、第2ステージの後半から、第3ステージと現在について、「これからの道」の私案も含めて概略的に書いていく。
次回のパライソメッセージは、プラザ合意のバックグラウンドからBIS規制まで書く予定。
(続く)
「一押しBook」
※ 紹介したい本は沢山ありますが、今週も以前紹介の「一押しBook」の説明と蔵書場所案内です②
書名:20130426「過労自殺と企業の責任」
著者・説明:川人 博 ・過老死事件や自殺の労災認定や判決の紹介と告発
蔵書場所:キャリアセンター資料(部長室・自由開架)
署名:20130510「ニッポンを幸せにする会社-あってよかった応援したい-」
著者・説明:鎌田 實 ・医師、ルポライターの著者が出会った心の憩う会社のルポルタージュ
蔵書場所:茨木市民図書館
署名:20130517「日本でいちばん大切にしたい会社」
著者・説明:坂本 光司 ・MBAの経営学者が紹介する『良い会社』。心洗われる珠玉のエピソード
蔵書場所:キャリアセンター資料(部長室・自由開架)
署名:20130531「哲学の自然」
著者・説明:中沢 新一、国分 功一郎 ・若き哲学者の対談。自然(フェシス)と原発、開発等
蔵書場所:イソ蔵書(いつでも貸し出しOK)
署名:20130607「若者は何故「就職」できなくなったのか?」
著者・説明:児美川 孝一郎 ・法政大キャリアデザイン学部教授著。若者の雇用問題に深く切込む
蔵書場所:キャリアセンター資料(部長室・自由開架)
次回の【一押しBook】は「日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか」他の予定
(続く)