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脱ネガティブを計るべく、浮きつ沈みつ漂う女の戯言日記

愛の檻

2008-04-27 | 戯言あれこれ
フジで放映中のドラマ、ラスト・フレンズ。
事前に内容を聞いていたので、どういう展開になるのかと気になり
観ている。
これまでの放送ではまだルカもタケルも抱えているものをはっきり
とは出しておらず、ルカをビアンと思って観ている人も多いのでは。
上野樹里は今まで余り興味の沸かない女優さんだったのだけれど、
ルカを演じる彼女を見てプロだな~と思った。
また髪型や服装で人の印象って大きく変わるという事も、改めて
つくづく感じた。

3回目の放送を観て、私が一番感情移入してしまったのは自分でも
意外な事にミチルだった。
DV彼氏の唐突な展開に強引すぎない?と思いつつ観ていたけれど、
ランチの席でルカに彼の事を聞かれた彼女が「これまで人に愛されて
いると感じた事がなかったけれど、彼にはすごく愛されていると感じる。」
と語ったところから引き込まれてしまった。
それは私が元夫に対して感じていたものと同じだったから。
元夫は私に肉体的な暴力こそふるわなかったけれど、愛という言葉で
何もかも拘束しようとした。

本もTVも観るものは制限され、メールも電話の履歴も全て見られていた。
彼が外の事務所で働くようになってからは私の出勤時間に合わせて
一緒に家を出るようになり、その間ずっと手を繋いでいないと機嫌が
悪くなった。
一度雨で傘とバッグで両手がふさがっていたので手を繋がなかったら、
今日は冷たい、様子がおかしい・・と始まりもめた事もあった。
電車の中で見知らぬ若い男性と目が合った時は、私がその人と付き合って
いる、あれはお前の愛人だろう・・と疑われた。
美容院に行きたいと言うと「ほんとに美容院だか怪しい。」と信じず、
混んでいて帰りが遅れると子供を使って店まで迎えに来た。
自分を愛しているなら何でも出来るはずだ・・といろんな事を求められ、
ここにはとても書けないような事も沢山した。
それでも彼の不安は消えず満足する事はなく、もっと愛してくれもっと
表現してくれ・・と毎日言われ続けた。

彼は始めからこういう人だったのではなく、私が他に好きな人が出来た
事をきっかけにどんどん壊れていったのだ。
DV被害者の方がよく言うように、彼もとても優しい人だった。
記念日には花とプレゼントをかかさず、甘いものの好きな私にいつも
デザートを買ってきてくれ、旅行やアウトドアなどこれまで私が敬遠して
いたものの楽しさを教えてくれた。
明るく朗らかだった彼が離婚の一年前には笑顔も消え別人のようになり、
ノイローゼのようだった。
彼をそんな風にしてしまったのは自分だと今でも思っている。

ミチルは愛してくれた宗佑の気持ちに応えたかったし、自分が頑張る事で
うまくやって行けると思っているのではないか。
私もずっと自分が頑張ればどうにかなる、それが一番周りにも迷惑が
かからず皆幸せでいられると思っていたから。

人は苦しい記憶には無意識に蓋をして忘れようとするのだろうか。
私はこのドラマを観るまで、上に書いたような事が自分に起こっていた
事を思い出さないでいた。どんな気持ちで家を出たか。
思い出すのは優しかった彼と愛されていたという記憶だけ。
彼ほど私を愛し必要としてくれた人はいなかった。それは病的なまでに。
でもある時友人に「病的だったからダメなんだよ。」と言われた言葉が、
今私の脳裏に浮かんでいる。

愛し愛される人のいない今、あの窒息しそうな息苦しい日々が懐かしく
すら思えてもくる。
目には見えない愛の檻。
ミチルは宗佑との愛の檻から、どう解き放たれるのだろうか。




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