Moving

脱ネガティブを計るべく、浮きつ沈みつ漂う女の戯言日記

ジャンゴ 繋がれざる者

2013-03-10 | 本・映画
タランティーノ監督の「ジャンゴ 繋がれざる者 」を観てきた。

西部劇って余り得意じゃないな・・と思いつつ観に行ったのだけれど、これが
めちゃめちゃ面白かった!
始まりから終わりまで飽きるヒマがない。グイグイ引き込まれて魅せられた。

ジャンゴ役のジェイミー・フォックス、私のタイプではないはずなのにすごく
カッコイイ。こういう泥臭い力強さもいいなと思った。
惚れた女は俺が命がけで守り抜くぜ・・みたいな典型的な男らしさ。

賞金稼ぎの医師役クリストフ・ヴァルツ、悪役農園主のレオナルド・ディカプリオ、
恐怖の執事サミュエル・L・ジャクソンと、個性溢れ俳優陣で見応えたっぷり。
タランティーノもラストの方でちらっと出演。



印象に残ったのが、最初の方で襲撃してきた覆面の農場主達を返り討ちにするシーン。
馬で走り去り逃げようとする親玉をジャンゴが遠くから銃で狙うのだけれど、玉が
当たったところは映さず、落馬して崩れる人物と返り血を浴びて赤く染まり走る白馬
だけが映り、射止めたという事がわかる。
その他はバンバン銃をぶっ放して人がどんどん流血して吹っ飛んで死ぬので、余計に
この間接的な表現が印象に残ったのかもしれない。

痛快西部大活劇。ぜひご鑑賞あれ!

フランケンウィニー

2013-01-12 | 本・映画
ティム・バートンの「フランケンウィニー」を観てきた。
(感想にネタバレ含む!)

実写でもアニメでもないこの独特の世界。モノクロなのが更に味わい深い。
私はペットを亡くした事はないけれど、ヴィクターの瞳から涙がこぼれる度観ている
私の目からも涙が・・・。
きっとペットのいる方、いた方ならもっと泣いてしまう事だろう。

愛犬スパーキーを事故で亡くした科学好きの少年ヴィクターが雷を使った実験で
スパーキーを蘇らせ、そこから始まる騒動を描いたお話。

とにかくスパーキーが可愛くて何とも愛おしい。
ベラ・ルゴシのドラキュラが劇中で流れていたり、ガメラを連想させる巨大化したカメが
現れたり、蘇ったシーモンキーはまるでグレムリンだったりと、オマージュも満載。
楽しく切ない秀作であった。

でもラストの終わり方にはちょっと疑問。
スパーキーを二度生き返らせる必要があるのだろうか?
蘇ったスパーキーをまた失って、初めてヴィクターはその死を受け入れる。
「もう戻ってこなくていいよ。心の中にいるから。」と。
なのにまたそこで生き返ってしまうなんて!
ハッピィエンドが好きな私も、これにはちょっと突っ込みたくなってしまった。

大切なものってなくした時にその本当の大きさに気付く。
一緒にいられる時間は貴重でかけがえがない。だからこそその瞬間瞬間を一つずつ大事に
して、愛情を形にし表現して行くしかない。
伝える事が出来るうちに。
どれだけ想っていたとしても、相手にそれが伝わっていないなら意味がないから。

ちなみに今回2D版で観たのだけれど、この映画は別に3Dである必要はないように感じた。


ホビット 思いがけない冒険

2013-01-06 | 本・映画
「ホビット 思いがけない冒険」を観てきた。

あの「ロード・オブ・ザ・リング」より60年前の中つ国のお話。
指輪の前所有者であるホビット族のビルボ・バギンズが、ドラゴンに支配されたエレボール
のドワーフ王国の再建をかけドワーフの戦士達と旅へ出る・・。

ゴラムとの出逢いと指輪を入手するまでのエピソードも描かれ、前作からのお馴染みの
メンバーも多数出演。
ガンダルフにエルロンドにガラドリエル。そしてフロドのイライジャ・ウッドもちらり!
ドワーフの王トーリン役のリチャード・アーミティッジが渋くて惹かれる。
でも私が今回一番気になったのは弓の名手のドワーフ、キーリ役のエイダン・ターナー 。
多分ドワーフじゃないと可愛くないかもしれないのだけれど、今後注目(笑)

実は私ロード・オブ・ザ・リングは大好き。とにかくあの世界をまた体感出来る事が嬉しい。
本も映画も現代が舞台のリアルな話も好きなんだけど、思いっきりファンタジーなのも良い。
幻想の国、実在しない生き物や登場人物。始まった瞬間に入り込み私もあちら側の住人となる。
映画館の暗闇の中、あのオープニングのワクワク感がたまらない。

今回もまたまた三部作との事で、観終わった瞬間もう続きが観たくなっている自分がいる。
「ミスティー マウンテン」の歌がいつまでもしっとりと胸に残る。
先を待つ楽しみが出来たと思って、この切なさに耐える事にしよう(笑)

悪の教典

2012-11-23 | 本・映画
三池崇史の「悪の教典」を観た。
私はこの映画嫌いじゃない(笑)

担任教師がサイコパスで生徒を殺戮していくというストーリーはショッキングでは
あるけれど、観ていて泣いてしまうようなものではなかったし観終わった後にずっと
やりきれない・・といったような後味の悪さもなかった。
もっと残酷な映画は他にも沢山ある。

善と悪は表裏一体。
身勝手な殺人は正当化されるべきものではないけれど、私は今回観ていてハスミン側に
感情移入をしてしまっていた。
最後助かった生徒がいて「なんで全員殺せなかったんだ!?」みたいな。
誰もが闇の部分を抱えていて、それとうまく折り合いをつけながら暮らしている。
でもその普段自分が抑え込んでいる部分を解放している主人公に、憧れや共感を抱くのか。

伊藤英明は悪人の方が魅力的。肉体美も素晴らしい。
ヒミズに続く染谷将太&二階堂ふみのコンビが観られたのも嬉しいところ。
男性教師と恋愛関係に陥っている生徒役の林遣都も美しかった。

映画はTo be continuedで終わるのだけれど、この続きはあるのか??
ハスミンの悪夢のゲームがまた観たい自分がいる。
原作もぜひ読もうと思っている。

無限の網

2012-08-23 | 本・映画
草間彌生自伝「無限の網」を読んだ。

彼女というとあの赤い髪の派手なルックスと数々のパフォーマンスから奇抜な印象が強いが、実は
とても繊細で思慮深く、また信念に基づいて前進して行く強い女性なのだと思う。
そして彼女の強さは逆境からの奔出、弱さから齎される反対的な力でもある。
作品を作り内なる恐怖と病から来る不安を吐き出して、彼女は精神のバランスを保っている。
作る事が生きる事なのである。
マグロが止まると死んでしまうように、草間彌生は作品を作らずには生きられない。
だからこそ彼女の作品は全てを放出し注ぎ込んでいるから、命そのものの力強さと真実味がありそれが
人の心に響き訴えて止まないのだと感じる。

本の中ではジョージア・オキーフやジョセフ・コーネル等とのエピソードや、これまでの彼女の活動の
軌跡が綴られていて非常に興味深い。
過激なハプニングのヌードや乱交パフォーマンスで「前衛の女王」の異名をとり、警察に逮捕されたり、
ヴェネツィア・ビエンナーレへのゲリラ参加(後に認められ正式参加も果たす。)等も。
余りにも時代の先を行っていた彼女の芸術は、自国の日本では理解されず評価されるようになるまでには
随分と時間がかかった。
私自身子供の頃はただ奇異な人というイメージが先行し、彼女の作品を長らくきちんと見ていなかった。
これにはとても後悔している。なぜ通過してきてしまったのか。一生の不覚。

80歳を越えて尚、彼女の創作意欲は枯れる事無く次々と作品を生み出し続けている。
そのパワーとエネルギーに心から敬意を表しつつ、遅れて見つめだした私を置いて行かないでと願う。
そしていつまでも私を魅了し、その無限の網に搦め捕っていて欲しい。

ダークナイトライジング

2012-08-12 | 本・映画
バットマンの悲哀に満ちた苦しげな眼差しが好きだ。
孤高のヒーロー。暗黒の騎士。

「ダークナイトライジング」は久々の完璧な映画だった。
余りの面白さと感動に思わず興奮と涙。文句無し。
ジョーカーの印象が強すぎたので今回の敵役ベインにはどうも惹かれないのかと
思っていたら、最後のどんでん返しで納得。
「ダークナイト」は話の途中なだけにモヤモヤとしたやりきれなさが残ったけれど、
今回は完結編だけあって全てがスッキリと片付き爽快。
ネタバレしちゃうので書かないけど、いろんなエピソードが憎いまでにまとまっている。

クリスチャン・ベールのバットマンはもう観られないのかと思うと、すごく寂しい。
ブルース・ウェインはもう彼しか考えられない程嵌っている。
アン・ハサウェイのキャットウーマンも美しくて良かった。キャットウーマンは好きな
キャラだ。しなやかで力強くてしたたか。

正に映画!という感じの素晴らしい一本。
星5つ。

ヘルタースケルター

2012-08-05 | 本・映画
蜷川実花監督のヘルタースケルターを観た。

観る前からかなり引き摺られるのでは、気持ちを持っていかれてしまうのでは
・・と心配もあったのだけれど、意外な事に余りシンクロする事もなくむしろ
一歩引いた気持ちでお話を眺める事が出来た。

美しさとは何なのだろう。
20代も半ばを過ぎればおばさんと言われ、女性の価値は若く美しい事しかない
ような風潮がある。
80年生きるとしたなら、価値が下がってからの方が断然人生長い。
その中でどれ程の葛藤を繰り返すのか。

この映画、男性と女性では感じ方が大きく異なるように思う。
そして若い人とそうでない人とでも。
私には拘るべき若さも美しさもないので、りりこの気持ちに共感しつつ遠い昔の
記憶なような感覚でその苦しみと痛みを眺めていた。

過激な性交描写やヌード等が話題になっていたけれど、それは全然気持ちに響かず
むしろどうでもよく思えた。
ただひたすら沢尻エリカが美しい。本当のところはどういう人なのかわからない
けれど、彼女の美しさと強さには敬服する。りりこは正にはまり役。
蜷川実花の映像は写真同様色使いが鮮烈で、脳裏に焼きついて離れない。
りりこの部屋のインテリアとか、かなり好きだ。
赤い部屋、赤い羽、青い蝶。そして唇。
女には緋色がよく似合う。それは血の色、命の色。

この前A.P.Bの舞台に出ていたマメ山田さんも後半出演されていて、こういう役は
彼じゃなきゃこなせない。彼が出てきた瞬間パラレル感が増す。
この辺りも踏まえてDVDになったらもう一度観たい。


11.25という日

2012-06-07 | 本・映画
若松孝二監督の「11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち」を観てきた。

私は三島の本が好きで文人としての彼に惹かれ、そこから彼自身に興味を持ちこれまで
ずっと追いかけてきた。
でもどうしても武人としての彼の気持ちに追いつく事が出来ない。
この映画を観て更にその思いを深くしたと共に、どこまでも探求したい気持ちにも今
駆られている。

あの事件のあった当日、私はまだ生まれて間もなく全く記憶にはない。
少し成長した頃にニュース映像で三島が市ヶ谷のバルコニーで演説しているところを見て、
父に「この人は誰?」と尋ねたところ「腹を切って死んだ小説家だよ。」と言われたのを
覚えている。
映画は楯の会結成に至るまでの経緯と最後に自決を迎えるまでの日々を、三島と彼と共に
生きた若者達の熱情を持って描かれて行く。

バルコニーの演説シーンを観ていた時、実際のニュース映像が頭の中をだぶって過っていた。
自衛隊員達の怒号、ヘリコプターの騒音にかき消され、三島の必死の声は届かない。
彼の想いは、決意は全く届かない。
映画も現実も、天皇陛下万歳の声がなんて虚しく響いていた事か。
天皇は神ではなく人間であり、今自衛隊は海外の戦場へ派遣されている。
三島が現代の世の中を見たならなんて言うのだろう?
彼が死を以てしても訴えたかった事は、果たしてほんの少しでも後世に伝わったのか?
あの事件に関する記事を読むと、三島をキチガイだとか、単なるナルシストだとか、森田との
同性愛心中だとかひどい事が書かれているものが多い。
確かに彼は自分の美学を追究したのだとは思う。きっとあのまま生きて行く事は耐えられなかった
のだろう。
しかし彼の死を単なる自己陶酔の果ての愚かな行為と決めつける意見には、私はとても賛成出来ない。
もっと純粋な彼等の信じる真実を貫いたのだと思うから。

井浦新は三島を熱演していたとは思うのだけれど、私には思い入れが強すぎるせいかどうも
ARATAにしか見えなくて今一つ入り込めなかった。
でも森田必勝役の満島真之介は初めて彼を見た新鮮さもあり、そのひたむきな瞳とがむしゃらさに
烈士森田が乗り移っているように思えた。

エンドロールを観ながら楯の会の残った人達が語った言葉を知りたいと思っていたら、映画館で
売られていた公式ブックに元班長のインタビューが載っていた。
それを読んで益々色々と知りたくなり、彼等の書いた本が読みたくなっている。
しばらくはまた追いかける日々が続きそうだ。自分なりに何かを得られる日まで。



ダーク・シャドウ

2012-05-24 | 本・映画
ティム・バートン監督のダーク・シャドウを観た。
バートン×デップの組み合わせは好きなので、それだけでとりあえず足を運ぶ気になる。
ジョニーは船長より白塗りの方が似合うよ(笑)

映画の冒頭は意外にもちょっと怖い感じだったので、これはホラーだったのか?と思ったら
途中からしっかりコメディだった。でも大笑いする感じとも違う。
アリス・クーパーが出てきたのには泣けた。

魔女が強すぎて、ヴァンパイアなら木の杭か銀の弾丸だけど魔女ってどうしたら退治出来るん
だったっけ・・なんて思いながら観ていたら、最後は悲しくあっけない。
愛は所有欲の部分もあると思う。愛してる人が幸せならそれでいいの・・・なんて綺麗事。
何百年も呪って苦しめても、憎みきれず恋い焦がれる。
そして決して自分のものにはならないと悟る。

この映画余り評判は良くないようだけれど、私は好きだ。
血は水よりも濃いんだよ。
無理矢理感が大きいハッピィエンドでもいいじゃないか。
血の味が懐かしくなった。




奇貨

2012-05-20 | 本・映画
松浦理英子の5年ぶりの新作「奇貨」を読んだ。

男友達が作れず女性と女友達的感覚で一緒にいたいと願う45歳の小説家男性と、
10歳年下のビアン女性との一風変わった同居生活。
恋愛もSEXも抜きで女友達でいたい・・という男性は、あくまでもストレートで
草食系ともまた違うが、なさそうでありそうな現実感が面白い。
こういう感覚の人って、最近周りに結構いるのではと思えた。

作中印象に残ったのが「半端ヘテロ」という言葉。
完全へテロとは違い同性にもいくらか興味や愛着があるが、自覚的・行動的では
なく同性に対して揺れ動いて時には性行為をしたりもするが、結局中途半端にしか
同性とかかわらない・・という人の事。
これ、うんうんわかる~と思わず頷いた。かつて自分もこういう人に振り回された
経験がある(笑)

「奇貨」とは、珍しい品物、利用すれば思わぬ利益を得られそうな事柄・機会との意。
読み終わった後にぼわーんとした不思議な読後感が残る作品。
中編なのでもっと読みたい気持ちになる。
次の作品を読めるのはまた何年も先なのかなぁ。
ぜひ続けて書いて欲しいよ、松浦さん!