レンブラントの夜警を観てから急にグリーナウェイがもっと観たくなって、
しまってあったビデオテープを引っ張り出した。
ZOOはグリーナウェイの作品の中でも好きなものだ。
すごく久しぶりに観たのだけれど、改めてどこまでもシンメトリーな
画面の美しさに魅入られた。(私はきっちり揃った整然としたものに
弱い。)
林檎、海老、ワニ、犬、シマウマ・・・腐敗して行く姿を高速で追う映像は、
対象が大きくなるにつれグロテスクだけれど、でも目を離せない。
命在るものは全ていつか朽ち果てる。その萎えて行く過程は無常であり
儚くも力強くもある。
ふとドグラマグラが頭をよぎった・・・。
ナイマンの音楽は大好きで、昔まだ輸入盤しか無かった頃に探して
買い漁った。グリーナウェイの映像とナイマンの音楽の組み合わせは、
私の心を鷲掴みにする。グリーナウェイにはやっぱりナイマンだよ。
そしてこの映画で私を捉えてやまないのが動物園の電飾看板のブルー。
「ZOO」の文字が赤や紫だったなら、こんなにも私の神経は掻き乱され
なかっただろう。
これはブルーじゃなきゃダメだ。あの暗闇に浮かぶ発光する3文字は。
物語の終わりは何度観ても切ない。
かたつむりよ、二人の作品を完成させてあげて。最後の瞬間まで録らせて
あげて。
肉体が朽ちて魂が解き放たれるまで。