映画『おくりびと』を観て

2008-10-13 | Weblog
 

 映画『おくりびと』を母と観て来ました。

この映画のことをブログに書こうかとPCを開きましたら 
「峰岸徹さん死去」のタイトルが目に飛び込んで来ました。
「おくりびと」に出演しておりましたのに 人の命って分からないものです。
先日も緒形拳さんがお亡くなりになったばかりなのに。。。


『山桜』に続き『おくりびと』も山形が舞台です。

港町酒田の歴史的街並みに加え、視界をさえぎる地吹雪、壮麗な鳥海山、哀調を帯びた白鳥の群れ、遊佐町の月光川を上るサケなど 生と死を演出する自然の素材が映画を引き立てているのでしょうね。
そして「山形に帰ろう」のセリフ、 全てが美しく癒されました。

題名の如く 涙、涙の映画かと思いましたら 前半は 笑い、笑いでした。

社名「NKエージェント」=納棺エージェント

社長の山崎努さんと 新入社員の本木雅弘さんが納棺師役。
 
納棺師とは それぞれの人間が さまざまに生きて来た最期を 優しく包んでくれる納棺の儀式をする人です。
死に装束を着せて、死に化粧を施す。 優しく顔をなでて手を組ませて 死体を整えるのです。
その作法は 茶道の如くスムーズで美しく厳かで 旅たちの儀式にふさわしい動きでした。


私は納棺師と言う職業は知りませんでした。
和尚さんがするのだと思ってました。

もし、私の彼が納棺師だったら 私もその仕事を嫌ったかもしれません。
でもこういう職業の人がいなかったら 亡くなった方をこれほどまでに美しく送ってやれるでしょうか? 
妻や友達から反対されても 誇りを持って仕事を続けたことは素晴らしいことだと思いました。

ラストシーンで 本木雅弘さんが小さい時 愛人を作って家出した父(峰岸徹)の納棺をしています。
私はこの時 口に涙が流れ入るまで 自分が泣いてることなど全然感じませんでした。


チェロの音色が全編に流れ 静けさと温かさを表現した地味な映画でした。
映画館から出ても 母とどちらも黙って歩いて帰って来ました。