白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

今年を振り返って

2018年12月31日 23時50分39秒 | 仕事・指導碁・講座
<本日の一言>
昨日はお休みしました。
忘年会が楽しすぎて、つい飲み過ぎてしまいました。
帰ったら即就寝のパターンに・・・。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
今年も残すところあと僅かとなりました。
そこで、今回は今年の対局以外の仕事を振り返ってみたいと思います。

<著書第3作、「やさしく語る 碁の大局観」
第3作は「置き碁の白番」を楽しみながら大局観を身に付けるという、今までに無いコンセプトの本になりました。
前々から「こんな本があったら良いな」と思っていたのですが、誰も書かなかったので私が書きました(笑)。
時々、読者の方から「置き碁が楽しくなった」「大局観を意識するようになって碁が変わった」との声が届きますが、作者冥利に尽きますね。

NHK囲碁講座別冊付録、白石勇一の棋譜クリニック
今年の連載その1です。
アマの皆様の抱える様々な「病気」を指摘し、その治療法をお伝えするというコンセプトです。
連載は4月からですが、原稿の作成などは昨年末から始まっており、年間通しての仕事になりました。
多くの苦労がありましたが、満足できる内容になっていると思います。
連載が始まって以降、講座をご覧になった多くの方々にお声がけ頂きました。

囲碁研究誌上講座、捨てる石と助ける石の見分け方
連載その2です。
表題の内容について、全4回の講座を行いました。
捨て石は苦手にしている方が非常に多い分野ですね。
自覚していても、なかなか改善できない・・・。
そんな方々のために、石を捨てるべきか助けるべきかの明確な判断基準を示すことを心掛けました。

週刊碁誌上講座、目算ナビゲーター白石勇一
連載その3です。
目算を上手く活用して、楽に碁を打ちましょう! というコンセプトです。
とは言え、そもそも目算のコツを知らず、勘で判断しているだけでは何の役にも立ちません。
そこで、まずは目算ができるようになって頂くため、基本から詳しく解説しています。
どなたにもご理解頂けることでしょう。
ちなみに、途中からご覧になった方の中には、ヨセ講座と勘違いされている方もいらっしゃるようですがそれは違います(笑)。
あくまでも「頭の中で境界線を引く」ことに慣れて頂くことが目的なので、細かい計算までできなくても構わないのです。
19路の碁盤全体を見て目算できるようになることが最終目標なので、そのための準備期間とお考えください。
講座の後半では、実戦例を用いて目算の練習をして頂くことを考えています。

<囲碁入門>
中央区立中央小学校
品川区城南小学校
中央区立月島第2小学校
麗澤中学校
国分寺市立第九小学校
さいたま市立泰平小学校
葛飾区立松上小学校
中央区立城東小学校

代講込みですが、今年は多くの学校で囲碁入門の講師を務めました。
また、学習塾の四谷大塚で行われる入門教室でも講師を務めました。

自分の中で基本の教え方はある程度固まってきましたが、年齢などによって受け取り方は大きく変わります。
未就学児から中学生まで担当した今年は、それを再確認することになりました。
今後は年齢に応じた最適な教え方ができるよう、レベルを上げていきたいですね。

<指導碁>
今年も白石囲碁教室をはじめ、様々な場所でアマの皆様と対局しました。
19路盤だけで975局の棋譜が残っています。
実際には1000局以上対局したことになるでしょう。
来年も多くの方と対局できることを楽しみにしています。


他にもイベントに出演したり、何故かテレビに出たり・・・。
今年も色々なことがあった一年でした。
来年も様々な分野に挑戦し、成長したいと思います。

それでは皆様、今年一年ありがとうございました。
良いお年をお迎えください。
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NHK囲碁講座1月号

2018年12月29日 23時59分59秒 | 仕事・指導碁・講座

<本日の一言>
今年の日本棋院の公式対局は12月27日(木)で終了、来年は1月7日(月)から始まります。
棋士の対局は、国民の休日や大型連休などには関係なく年中行われますが、年末年始の1週間だけはお休みになります。
貴重なシーズンオフですね。
負けが込んだ棋士は、数カ月シーズンオフになることもありますが・・・。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日はNHK囲碁講座別冊付録での連載を紹介したいと思います。



連載は4月から始まり、12月号までに毎月1つ、計9つの「囲碁の病気」をご紹介してきました。
重要度の高いものは一通り網羅したと言っても良いのではないかと思います。
しかし、1回読んだだけで身に付くなら誰も苦労しません。
何度も繰り返し読んだり、実戦でしっかり練習することが大切です。

1月号から3月号は、今までの総まとめになります。
今まで学んできたテーマが本当に身に付いているかどうかの確認をして頂いたり、理解のレベルを上げて頂くことを目的としています。
講座を読んだ直後は調子が良くても、いつの間にか元に戻っているという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
頭で理解はできていても、身に付いていない状態ですね。
考え方をしっかり身に付け、局面を見れば自然と目指すべきところが浮かび上がってくる・・・そのレベルまで到達できれば完璧です。
もはや病気の再発の心配も無くなっているでしょう。

今月は盤上の「視野狭窄病」「守り過ぎ病」「打ち込み恐怖症」の3つの復習です。
講座は幅広い棋力の方がご覧になっているかと思いますが、全ての棋力の方にまず確認して頂きたい、という3つですね。
4~6月号とも合わせ、ぜひ取り組んで頂ければと思います。
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12月の情報会員解説

2018年12月28日 23時59分59秒 | 日本棋院情報会員のススメ
<本日の一言>
今年の最多勝などの記録はこのようになりました。
手番別の勝率データも興味深いですね。
棋力が高いほどコミが重くなるということの裏付けになっているかもしれません。
もっとも、断定するにはこれだけでは数が少なすぎるでしょうが・・・。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は日本棋院情報会員のPRを行います。

なお、過去の記事はこちらです。↓
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回
第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回
第21回 第22回 第23回 第24回 第25回 第26回 第27回 第28回

今月は
第43期棋聖戦Cリーグ、伊田篤史八段-寺山怜五段
第37期女流本因坊戦挑戦手合第1局、藤沢里菜挑戦者-謝依旻女流本因坊
の2局を解説しました。
今回は藤沢-謝戦の解説の一部をご紹介しましょう。

ちなみに、普段は自分で選局しているのですが、藤沢-謝戦は初めて依頼されました。
対局当時はタイミングが悪く、幽玄の間での中継
に解説が付かなかったのです。



1図(テーマ図)
Kiin Editor」キャプチャー画面です。
この局面から・・・。





2図(実戦進行)
このように進みました。
支離滅裂な進行と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
こんな場面も分かりやすく解説しています。





3図(実戦)
黒1「切りが常用の手筋です。」
白4「黒2子は捨て石です。
外側に利き筋を作り、上辺白への攻めに役立てる目的です。
一種のモタレ攻めですね。」
黒5「そして、きついツケを放ちました!
A周辺に利き筋を抱えた白は、動きが不自由になりました。」


黒の利き筋を生かした狙いとはどのようなものでしょうか?
それを参考図を2つ使って解説しています。





4図(参考図)
参考図その1です。

「例えば、このようなことになると黒の技が決まってしまいます。」

典型的ハマリで、上辺白がピンチになります。
つまり白1とは打てません。





5図(参考図)
参考図その2です。

「白1と伸びる手も考えられましたが、黒2から強引に切ってくる手が心配です。
この後は難解ですが、一例として黒16までを示しておきます。
黒Aが残っており、もしこうなれば黒が良いです。」


長手順の図なので画像では見づらくなってしまいますが、ソフトでは一手ずつ進められるのでご安心ください。
白1は成立するかギリギリでしたが、リスクが大きいのでやはり実戦では打ちづらかったということです。





6図(実戦)
実戦に戻ります。

白1「そこで、黒からの様々な利き筋を消しました。
本手です。」
白3「すぐに黒Aと切ることはできません。」


なぜ切れないのでしょうか?
それは次の参考図で解説しています。





7図(参考図)
「AとBが見合いになり、これは黒が困ります。」

黒1と切った場合の図です。
どちらかの黒が取られてしまいますね。





8図(実戦)
実戦に戻ります。

黒1「そこで、黒は先にこちらを利かしにいきました。」
白2「ハネに受けていると潰れてしまうので、この守りは止むを得ません。」


黒1のハネが利くと何が違うのでしょうか?
それを次の参考図で示しています。





9図(参考図)
「今度は白Aと切ることができません。
これは白潰れです。」


こういうからくりがありました。
ダメ詰まりは恐ろしいですね。





10図(実戦)
黒1「手厚い2子取りです。
白Aの三々入りの味も無くなっていることが大きいです。
ただ、白も全体がつながったので、良い勝負の分かれでしょう。」


結局、難しいことをやっているようでも、必然性のある進行だったということですね。


このような形で、序盤から終盤まで丁寧に解説しています。
ちなみに、私の解説は「ためになる棋譜解説」というタイトルですが、鶴山淳志七段も「初段をめざす方のための棋譜解説」というタイトルで2局を解説しています。
また、平本弥星六段は「一日一題」というタイトルで、問題形式での棋譜解説を行っています。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!
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ナショナルチーム合宿その2

2018年12月27日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
発売中の週刊碁にて、恒例の「碁界ニュースグランプリ2018」が実施されます。
読者の皆様の投票によって、2018年の囲碁界10大ニュースを決める企画です。
私も3つのニュースを選んで語っているので、ぜひご覧ください。
もちろん、「目算ナビゲーター」も好評連載中です(第14回)。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は昨日に引き続き、ナショナルチーム合宿の対局をご紹介したいと思います。
なお、棋譜は日本棋院ネット対局幽玄の間にてご覧頂けます。



1図(テーマ図)
一力遼八段(黒)と本木克弥八段の対局です。
白1の切りには「おや?」と思いますね。
どう見ても取られていますが、一体何の意味があるのでしょうか?





2図(実戦)
少し進んだ場面で、その意図が明らかになりました。
白1と逃げ出し、黒2と換わったところで手筋が飛び出します。





3図(実戦)
白1の切り一本で細工し、白3のツケ!
中国の名作古典「官子譜」に出てくるような手筋ですね。





4図(変化図)
からくりの一部を示すなら、このような図でしょうか。
ダメ詰まりの黒は白4子を取れず、左の黒11子が丸取られです。
これは黒の一番酷い図ですが、見た目に面白いので紹介してみました。
もちろん、一力八段はこんなハマり方はしません(笑)。

ここは非常に含みの多い手どころで、ここだけで何十図も作れそうです。
情報会員向けの棋譜解説の題材に使ってみるのも面白いかもしれませんね。
本局は両者が際どい戦いを続けていく、スリリングで見ごたえのある対局でした。
おそらく20秒とか30秒の早碁でしょうが、それを感じさせないほどレベルが高いと感じました。
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ナショナルチーム合宿

2018年12月26日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
これから厳しい寒さが続くそうです。
風邪を引かないよう気を付けましょう。
新年を気持ちよく迎えたいですからね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は幽玄の間ナショナルチーム合宿の対局が中継されていたので、1局ご紹介しましょう。
ナショナルチームは皆様からのご支援によって支えられています。



1図(テーマ図)
伊田篤史八段(24)と広瀬優一二段(17)の対局、伊田八段の黒番です。
広瀬二段は入段3年目にして新人王を獲得するなど、売り出し中の若手です。

白の仕掛けに対して、黒が最強手で応じた場面です。
白×が弱くなっていますが、白はどう動いたものでしょうか?





2図(実戦)
実戦は白△のツケ!
格好良い手が飛び出しましたね。
黒Aと打って白4子を取りにくれば、白Bから振り替わっていこうということでしょう。
「捌きはツケから」と言いますが、石を捨てる発想を持てなければ捌きのツケは使いこなせません。





3図(実戦)
実戦は黒1、3と応じましたが、白Aの切りという弱点が生じました。
その瞬間、白4の切り!
一転して力強く戦っていきました。

場合によっては捨て、場合によっては助けるという柔軟な打ち回しですね。





4図(実戦)
その後、白△と黒×の2子を抜くことになりました。
白はほぼ生き形となり、中央の黒5子は取り残されています。
こうなっては白が成功しました。
上手いものですね。

この後も白の鋭い打ち回しが随所で見られました。
皆様もぜひ棋譜をご覧ください。
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