白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

SGW杯予選その12 久保秀夫-大澤奈留美

2022年09月30日 22時46分03秒 | 幽玄の間

皆様こんばんは。
本日はSGW杯予選8枠1回戦、久保秀夫七段(黒)と大澤奈留美五段の対局をご紹介します。
なお、SGW杯の対局は全て日本棋院ネット対局幽玄の間にて中継されています。
過去棋譜も幽玄の間公式サイトやソフトからご覧いただけます(有料会員のみ)。

1図(テーマ図)
白△と押さえた場面です。
右上白は十分なスペースがありますが、若干の隙があります。
その隙を衝く手段は?



2図(実戦)
黒1の置きから、黒3と切りました。
白Aと取れば、黒Bで白×を取ることができます。
傷とダメ詰まりが白の弱点でした。



3図(実戦)
そこで、白1とつなぎましたが、黒2がまた手筋です。
黒4まで、Aの所のコウ争いになりましたが、黒の花見コウです。
黒が鮮やかに止めを刺しました。





4図(変化図)
黒1に対して白2と受ければ黒3とつなぎます。
白はAともBとも打てない、押す手無しになってしまいます。



永代塾囲碁サロン・・・武蔵小杉駅徒歩5分です。2020年7月から共同経営者になりました。

☆「やさしく語る」シリーズ、好評発売中!
現在、「やさしく語る 碁の本質」 「やさしく語る 布石の原則」 「やさしく語る 碁の大局観」 「やさしく語る 棋譜並べ上達法」の4冊を出版しています。
5冊目も出ました!


SGW杯予選その11 村松大樹-白石勇一

2022年09月29日 23時50分58秒 | 幽玄の間

皆様こんばんは。
本日はSGW杯予選6枠準決勝、村松大樹六段との対局を振り返ります。
なお、SGW杯の対局は全て日本棋院ネット対局幽玄の間にて中継されています。
過去棋譜も幽玄の間公式サイトやソフトからご覧いただけます(有料会員のみ)。

1図(実戦)
私の黒番です。
ここで黒Aと抜けば白B、黒C、白Dで左辺白に生きられますが、それで形勢は十分です。
ただ、この後の進行に関して色々と見落としがあり、実戦は黒Eと眼を取りにいってしまいました。



2図(実戦)
白△まで生きられ、攻めは空振りに終わりました。
この後は黒Aが相場ですが、白Bと当てられてまず勝ち目が無いと感じました。
黒は厚いことは厚いですが、形が不十分です。



3図(実戦)
そこで、黒1と目一杯の手を打って紛れを求めました。
とは言え、黒は×の所にしか眼が無く、苦しい姿になりました。
ただ生きるだけでは負けなので、黒Aと切って反撃するしかありません。
ノックアウトされても文句は言えない状況ですが・・・。



4図(実戦)
騙しました。
黒があまりにひどさすぎたせいで、白も手が滑ったかもしれません。
この結果は黒が強力な外勢を得たうえ、攻め合いはセキです。
一転して黒大優勢になりました。

しかし、この後僅か30手程度で逆転されるとは、自分でも信じられません・・・。
悔やんでも悔やみきれない一局でした。



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SGW杯予選その10 白石勇一-村松竜一

2022年09月28日 23時27分45秒 | 幽玄の間

皆様こんばんは。
本日はSGW杯予選6枠1回戦、村松竜一八段との対局を振り返ります。
なお、SGW杯の対局は全て日本棋院ネット対局幽玄の間にて中継されています。
過去棋譜も幽玄の間公式サイトやソフトからご覧いただけます(有料会員のみ)。

1図(実戦)
私の黒番です。
黒1の切りは一粒で二度おいしい切り。
取られるまでに黒3、5を利かし、下辺黒模様を広げることができました。
少しポイントを上げた場面です。



2図(実戦)
白1と黒模様を消しにきた場面です。
周囲の黒は堅いので、黒Aなどと受けるところではありません。
黒2~6と攻撃して戦いに入りました。



3図(実戦)
白×を取った後、下辺が焦点になっています。
黒6は最も堅く打った手で、白Aには黒B以下攻め合い黒勝ちです。
そこで、実戦は白7と変化しました。



4図(実戦)
白2まで下辺で生きられましたが、先手を取って黒3と荒らしに向かって勝勢です。
最後は白の時間が切れて決着しました。



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SGW杯予選その9 大橋拓文-首藤瞬

2022年09月26日 22時42分31秒 | 幽玄の間

皆様こんばんは。
金曜日に永代塾囲碁サロンにて、日曜の碁ろりんラジオの公開収録を行いました。
色々と予定外のこともありましたが、無事収録できて良かったです。
振り返るともっと面白く話せたなと思う場面も多々ありましたが、これも経験ですね

さて、本日は私がSGW杯予選に出場しましたが・・・。
それはさておき、昨日途中まで書いて力尽きた記事を先に投稿したいと思います。
予選13枠、大橋拓文七段(黒)と首藤瞬八段の対局です。

1図(実戦)
黒1の肩ツキに、受けずに白2と肩ツキ返し!
黒もAやBと受けずに黒3~7!
そして白8の転戦!
多くの方々には意味の分からない展開ではないでしょうか。
私もよく分かりません(笑)。

この進行を端的に表現するなら、お互いに価値の高い地域に
先回りしようとしたということです。
しかし、価値の高い地域は1手ごとに微妙に変化していくので、お互いにそれを敏感に感じ取った結果、このような複雑な進行になったということでしょう。



2図(実戦)
これも何とも言えない打ち回しですね。
黒1、3と打ったときは中央の価値が最も高いと判断していたわけですが、白4と打たれた時点で隅の方が価値が高くなったと判断したわけです。
もっとも、このあたりは理論や数字よりも感覚によるところが大きいでしょう。
棋士が100人いれば、100通りの選択があってもおかしくない場面だったと思います。



3図(実戦)
白が中央の巨大化を狙い、黒は9と値切りにいった場面です。
こうなってみると、黒×と白×が黒にとってプラスになっているというわけですね。
白は中央を小さく囲う気にはならなかったようで、白Aから攻めかかる展開になりました。



4図(実戦)
実戦は黒1、3と中央の荒らしに成功し、白は黒×を取る展開になりました。
もっとも、白はそれをあえて手放す道を選ぶのですが。

本局は感性のぶつかり合いといった印象の一局でした。
変化も多く面白かったですね。




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SGW杯予選その8 小県真樹-秋山次郎&碁ろりんラジオ公開収録+指導碁会(再掲)

2022年09月20日 23時59分59秒 | 幽玄の間

皆様こんばんは。
さて、本日はSGW杯予選4枠準決勝、小県真樹九段(黒)と秋山次郎九段の対局をご紹介します。
なお、SGW杯の対局は全て日本棋院ネット対局幽玄の間にて中継されています。
過去棋譜も幽玄の間公式サイトやソフトからご覧いただけます(有料会員のみ)。

1図(実戦)
白1とケイマした途端、黒2とハザマを衝かれました。
白Aには黒B、白Bには黒Aで、どちらを選んでも白はバラバラになってしまいます。
「ハザマに気を付けましょう」と言うのはよくある教えですが、プロもハザマは怖いものです。
しかし、あえて白1とハザマを空けたからには、必ず対策があるのです。



2図(実戦)
白△のツケ!
白×は救出が難しい石ですが、まだ活力は残っています。
それを活用しようというわけですね。
一種のモタレ戦術です。



3図(変化図)
黒1と内側から押さえると、白2の引きが先手になります。
それから白4と受ければ、黒5には白6で大丈夫です。
白2の存在により、黒Aには白Bと切って取れます。



4図(実戦)
実戦は黒1、3と反発しましたが、自然と白4に石がきて白一団が強化されました。
次に白Aと打てば黒×を取ることができます。
もっとも、実戦は守りきるのではなく、白Bという反撃の道を選びました。

サバキが上手くなるためには、視野を広く持つことが大切です。



日曜の碁ろりんラジオ公開収録&指導碁会、参加者募集中です!
公式ホームページの方も更新されました。
多くの皆様のご参加をお待ちしております。



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