白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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11月の情報会員向け解説

2016年11月22日 23時53分03秒 | 日本棋院情報会員のススメ
皆様こんばんは。
本日は毎月恒例の日本棋院情報会員のPRを行いたいと思います。
なお過去の記事はこちらです→第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回
棋譜再生ソフトの使い方は第4回で詳しく解説しています。

今月は農心杯での一力遼七段対李世ドル九段、女流本因坊戦第1局の謝依旻六段藤沢里菜三段の2局を解説しました。
どちらも大変注目された対局でしたが、本日は一力七段と李世ドル九段(黒)の棋譜解説の一部をご紹介しましょう。



1図(実戦)
一力七段が、序盤から仕掛けましたね。
ここの駆け引きについて、分かりやすく解説しています。





2図(実戦)
黒1「「ツケにはハネよ」で、当然のハネです。」
白2「引く一手です。」
黒3「この下がりも、お互いの根拠の要点です。
逃せない所です。」
白4「手厚い曲げです。
さて、この最新型には、どんな意図があるのでしょうか?
参考図で解説していきます。」

白4の場面で、参考図が5図入ります。
従来はどんな打ち方をしていたのか?
その打ち方を採用しなかったのは何故なのか?
それを分かりやすく解説しています。
しかし、図が多すぎるので、ここでは1図のみご紹介します。





3図(参考図)
「古くから定石とされているのは、白1の開きです。
すると黒2と詰める事が多いですね。
ここで白の対応が悩ましいのです。」

まずは従来の型を紹介しています。
この従来の型をより良くできないか、と考えたのが実戦の進行なのです。
それを4図使って解説しています(ここでは省略)。





4図(実戦)
「黒Aと伸びる事が多いのですが、黒△と仕掛けました。
相手の思い通りに打たせない、李九段らしい手です。
また後に述べますが、伏線もありました。」

このあたりの進行は、見ているだけでは意味不明と感じる方が多いのではないでしょうか。
解説の図をご覧頂ければ、納得して頂けるかと思います。





5図(実戦)
「黒△に対しては白Aで渡りを止める一手、というのが従来の常識でした。
しかし右上のハネも絶好点なので、そちらの方が価値が高いとみました。」





6図(実戦)
黒1「こう押してプレッシャーをかけたい所です。
白3子を大きく飲み込みますよ、と言っています。」←ここで参考図が1つ入ります(省略)。
白2「ハネる一手です。
傷ができますが、それでもここは譲れません。」←ここで参考図が1つ入ります(省略)。





7図(実戦)
「切って行きましたが、この手では黒Aを選ぶ棋士が多いでしょう。
この選択にも伏線があります。」

伏線とは何か?
それはさて置き、参考図が入ります。





8図(参考図)
「黒1以下、白の上下を分断しながら、中央に進出します。
自然な打ち方です。」

伏線が無ければ、こう打っていたかもしれません。





9図(実戦)
「外側の石を大事にします。」
ここで参考図が入ります。





10図(参考図)
「ここで慌てて逃げ出すようではいけません。
白が苦しい戦いになります。」

前図白1を打たなかった場合の図です。





11図(実戦)
「伸びきる一手です。」

何故こういう手が打てるのでしょうか?
それを参考図で解説しています。





12図(参考図)
「黒1では取り方が小さく、断然白良しです。」

白は右下の数子は取られても良い、という発想で打っています。



13図(実戦)
白1「絶好点です。
これで白が外回りになり、根拠も確保できました。」
黒2「渡る一手です。
これで白3子は取られました。」





14図(実戦)
「ここまで、白の捨て石作戦です。
右下の黒地は大きいのですが、ツケ引きを打った黒は元々非常に強い石でした。
そこからさらに地を増やしただけなのではないか、というのが白の主張です。」

ここで参考図が入ります。
「伏線」について解説しています。



15図(アルファ碁との対局)
「実はこの布石には前例がありました。
李世ドル九段とアルファ碁の五番勝負、最終局です!
本局とは左上隅の位置が違うだけで、ほぼ同じと言って良いでしょう。
李九段が黒番で負けた布石で、一力七段も当然知っています。
それでも、李九段はあえて変化しませんでした。」


このような形で、序盤から終盤まで解説しています。
ぜひ1局を通してご覧頂ければと思います。

なお12月は、新人王戦決勝第2局、大西竜平二段(黒)対谷口徹二段、女流名人戦リーグ、鈴木歩七段(黒)対青木喜久代八段の2局を解説します。
どちらも大熱戦でした。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!