白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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2月の情報会員向け解説

2017年02月14日 23時59分59秒 | 日本棋院情報会員のススメ
皆様こんばんは。
本日は毎月恒例、日本棋院情報会員のPRを行います。
なお過去の記事はこちらです→第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回
紹介記事は今回で10回目ですね。
棋譜再生ソフトの使い方は第4回で詳しく解説しています。

今月は趙治勲名誉名人対DeepZenGo、范廷鈺九段対朴延桓九段の2局を解説しました。
本日は范九段-朴九段戦の解説の一部をご紹介しましょう。



1図(テーマ図)
農心杯で、朴九段が范九段の連勝を止めた1局ですね。
范九段の黒番です。
白△と飛んだ場面にスポットを当ててみましょう。





2図(実戦進行)
黒1~白10までの進行となりました。
穏やかに分かれましたが、不思議な進行に見える方も多いでしょう。
この10手を詳しく解説しているので、ご紹介しましょう。





3図(実戦)
黒1「ここで飛びは、頑張った一着です。
原則からすれば、弱い石から動く所です。」

ここで参考図が入ります。





4図(参考図1)
3図黒1を打たなかった場合の変化です。

「黒1など、弱い石から動けば自然です。
しかし、白2を打たれ、黒模様の拡大を防がれる事が不満だったのでしょう。
プロは欲張りなのです。」





5図(実戦)
3図の続きです。

白1「しかし、このボウシが厳しい好手でした。」
黒2「黒は脱出を図りますが・・・。」
白3「直接触らず、柔らかくコスんだのも好手です。」

ここで参考図が入ります。





6図(参考図2)
前図白3で本図白1と押さえた場合の変化です。

「強引に止めようとすると、このように白が困ります。」





7図(実戦)
5図の続きです。

黒1「白の傷を狙いますが・・・。」
白2「冷静に繋ぎます。これで黒は手が出ません。」
黒3「結局黒は白の包囲網を破れず、凌ぎを図る事になりました。」
ここで参考図が2つ入ります。





8図(参考図3)
前図黒1で、本図黒1と打った場合の変化です。

「できれば黒1から、白の弱みを衝きたい所ですが・・・。」





9図(参考図4)
前図の続きです。

「前図の後このようになり、黒潰れてしまいます。」





10図(実戦)
7図の続きです。

「白としても、黒を取りに行くのは無謀です。
冷静に自分の弱点を守りました。」

ここで参考図が入ります。





11図(参考図)
前図白1で、本図白1と黒を取りに行く変化です。

「白1には、今度こそ黒4以下が成立します。
黒△が役立ち、白潰れです。」

黒△の効果で、本図白1と打たざるを得なくなりましたが、攻め合い黒勝ちです。
26手もの長手数ですが、ソフトでは1手ずつ並べられるのでご安心ください。





12図(実戦)
10図の続きです。

「これで黒も連絡しました。
一段落です。」

ここで参考図が入ります。
黒が連絡できている事の説明ですが、ここでは省略します。





13図(実戦)
「しかし、黒に2線を渡らせては白満足です。
この詰めが絶好点で、左辺の白模様が大きくなりました。」

以上、高度な駆け引きの末に生まれた10手でした。
このような調子で、序盤から終盤まで分かりやすく解説しています。

なお3月は、賀歳杯第1戦井山裕太九段対柯潔九段、小山栄美六段宮本千春初段の2局をご紹介します。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!
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