白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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7月の情報会員向け解説

2016年07月12日 22時33分21秒 | 日本棋院情報会員のススメ
皆様こんばんは。
遅くなりましたが、今月も日本棋院情報会員のPRを行っていきたいと思います。
詳しくは日本棋院のページかこちらの記事をご覧ください。

本日ご紹介する対局は大西竜平初段(黒)対大竹英雄名誉碁聖です。
16歳の新鋭と73歳の大ベテランの対決は囲碁界ならではですね。
アマの方にも楽しくご覧いただけるよう、詳しく解説しました。
その一部をご紹介しましょう。
なお、段位や年齢は対局時のものです。



ここに黒がカカってから・・・





実戦図その1、白1と挟んでから黒12までと進みました。





実戦図その2、前図の続きで黒10までと進みました。
この22手の間に何が起こっていたのか、詳しく解説しました。





棋譜再生ソフトKiin Editorの動作画面です。
右下に文章での解説が載っています。
また、右上の赤丸で囲われた部分をクリックすると参考図が表示されます。





右側に参考図とコメントが表示されました。





実戦を1手進めた場面です。
ここにも参考図が入っており、赤丸で示す通り全部で4図あります。
そのうちの一つの図を示しますと・・・





「三々に入ると定石通り黒9までとなりますが、下辺に黒石が偏ってしまいます。
白10などと展開し、白のびのびとした布石です。」

やはりこういう図とコメントが表示されます。
他の3図は省略して、実戦に戻ります。


実戦図1
白3「黒の注文を外すコスミツケです。
黒の根拠を奪っています。」

黒4「こういう形はノビるしかありません。」
ここで参考図1つ入りますが、省略します。

白5「ハザマを出て黒の分断を図りました。
やはりこの一手です。」
ここで参考図1つ、省略します。

黒6「白の形の弱点を衝いていきました。
別法もありますが、この手は比較的穏やかな展開を目指しています。」
参考図1つ、要略します。

白7「ここは押さえの一手です。」
参考図が入ります。



「白1と打つと「空き三角」の形ができてしまいます。
大竹名誉碁聖は「大竹美学」と言われるほど石の形を重視しており、耐えられない図です。」



黒8「三々入りと関連した手筋のハネです。」
参考図3つ、省略します。

白9「この1手です。」
参考図が入ります。



「黒2は根拠の要点で、絶対に譲ってはいけません。」



黒10「この後のための大事な手続きです。
白のダメを詰めておきます。」

黒12「このカケがこの定石のポイントです。
分断された黒の形を整えます。」

ここから実戦図2の手順になります。
白1「白は当然出て、黒の形に傷を作っておきます。」

白3「ただし白はダメ詰まりなので、ここで戻っておくのが本手です。」
ここで参考図2つ、そのうち1つを示します。



「白1、3と切って行きたくなりますが、ダメ詰まりで不自由な形です。
白5と打つのは黒6で困ります。」



黒4「ここに繋がれてしまいますが・・・」

白5「こうスベって黒の足元をすくい、Aの切りを狙いました。」※Aは2の右です

黒6「ここでツケコシたのが好手です。
良いタイミングでした。」
ここで参考図が3つ、順に示します。



「下辺への進出を止められないよう、本来は白1と打ちたい所です。
しかし黒はAの傷を守る必要が無くなりなってしまいます。」←一部誤植が・・・今気付きました





「前図の後白1と切っても、黒4で困ります。」





「黙って黒1と打つのは白2に回られてしまいます。
後から黒3とやって行っても2目を捨てられてしまいます。」



実戦図2に戻ります。
白7「今は2目を捨てられないので、この受け方は仕方ありません。」

黒8「ここで傷を守り、黒Aと下辺を止める手を残しました。」※Aは5の右です
参考図1つ、省略します。

白9「下辺を止められる手を防ぎました。」
ここで参考図1つ入ります。



「白1は良い所ですが、黒2で下辺が止まってしまいます。
Aの切りの迫力も無くなってしまうので、白つらい進行です。」


そして実戦図2の最後です。
黒10「白△を狙って、大きなカカリです。
黒うまく立ち回りました。」※白△は左辺星下です

以上、黒の左下カカリ以後の22手の解説をご紹介しました。
実際に配信された棋譜では計20の参考図が付いています。

このような調子で、序盤から終盤まで分かりやすく解説しています。
もう1局の加藤啓子六段謝依旻女流本因坊戦も同様に解説しました。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!