皆様こんばんは。
本日は毎月恒例、日本棋院情報会員のPRを行います。
なお、過去の記事はこちらです。↓
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回
第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回
第21回 第22回 第23回 第24回 第25回
今月は
2018年3月21日 第12回春蘭杯世界囲碁選手権 本戦1回戦 本木克弥八段-李世ドル九段
2018年3月31日 2017年グランドチャンピオン戦 決勝 井山裕太棋聖-河野臨九段
の2局を解説しました。
今回は井山-河野戦の解説の一部をご紹介しましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/a2/faf1f2692f6c383e628cf54956d7a1e0.jpg)
1図(テーマ図)
「Kiin Editor」キャプチャー画面です。
この局面から・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/13/aa0c6a97a7d9b9e5e041d4aae219079c.jpg)
2図(実戦進行)
このように進行しました。
ツケたりハネたりと忙しいですが、井山棋聖は何故このような打ち方をしたのでしょうか?
プロの対局を楽しむためには、対局者が何を考えて打っているかを理解したいところです。
そのためのお手伝いをするのが、解説者の最も大きな役割と言えるでしょう。
情報会員向け解説では、その点に力を入れて丁寧に解説しています。
それでは、実際の解説を見ていきましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/8b/9d85679064d0b59dbbf9fa706c43dbe2.jpg)
3図(実戦)
黒1「また、白には別の狙いもありました。
それを防ぐためのツケです。」
この手を打たないと、白からどんな狙いがあったのでしょうか?
それを次の参考図で示しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/1c/6a4bfe815c24850ae47fc17f1abc434d.jpg)
4図(参考図)
「白はシチョウ当たりを狙っています。
白3を利かされると、白5の逃げ出しが成立してしまいます。」
白はシチョウの逃げ出しを狙っていました。
逃げられては黒がバラバラになってしまいます。
そこで、シチョウ当たりを打たれる前に左上黒を補強しておこうというわけです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/1d/f35b894894973100ef1bc5dafa6c6f46.jpg)
5図(実戦)
白1「白はハネる一手ですが・・・。」
黒2「さらにハネ返しました。
プロの捌き筋です。」
プロの対局には、このような飛躍した打ち方が時々現れます。
このような打ち方は、なかなか真似することは難しいでしょう。
それでも、何を目的にして打っているのかを理解できれば、プロの対局を楽しむことはできます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/03/db0d3d97283d2b3572b451263b552785.jpg)
6図(参考図)
参考図その1です。
「黒1などは鈍重です。
白2と伸びられて形が悪く、白Aのノゾキも狙われます。」
左上黒を補強しようとしたはずなのに、弱点が残っては本末転倒ですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/13/bcfba0e2462215a5a2de46bb2f69c6ac.jpg)
7図(参考図)
参考図その2です。
「また、黒1の押さえは1つの形ですが、白2がシチョウ当たりになってしまいます。」
こちらも、厳しいシチョウ当たりを打たせないという目的が達成できていませんね。
左上黒の補強と、白からのシチョウ当たり封じ、両方を防ごうというのが実戦の黒の狙いでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/0c/b81b314751f841c2be407bb24595df51.jpg)
8図(実戦)
実戦に戻ります。
白1「ここまで利かしておけば、シチョウ当たりの厳しさを緩和しています。」
黒2「そして、ツケに回りました。
黒模様を大きく広げる作戦です。
ツケの連発は、いかにも井山七冠らしいですね。」
こちらのツケも飛躍した発想でしょう。
普通に打つとどうなるでしょうか?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/6b/f45965b3c856a3598cc91e166c1b5c74.jpg)
9図(参考図)
「黒はシチョウを早めに抜いておくのが本手ですが、足が遅いとみたようです。
実戦はこの手を省略しようとしています。」
この図は無難ですが、井山棋聖はより積極的な打ち方を求めました。
実戦の進行と比べてみましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/09/64e34c29a599ef1ae80d8a6151704906.jpg)
10図(実戦)
黒2「目一杯の打ち回しですね。」
白3「白はつなぎが本手です。」
黒4「黒模様が大きく盛り上がりました。」
白3のところで参考図が入りますが、省略します。
9図と比べてみると、こちらの方が黒に勢いを感じませんか?
こういった場面で、棋士の個性が表れます。
いかがでしたか?
このような形で、序盤から終盤まで丁寧に解説しています。
なお、鶴山淳志七段も2局を解説しており、毎月の棋譜解説は計4局となっています。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!
ちなみに、今月の本木-李戦は先月鶴山七段が解説していたのですが・・・。
うっかり同じ棋譜を選んでしまいました。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_gaan.gif)
次回からは、より慎重に確認したいと思います。
申し訳ありませんが、今月に関しては解説者によってどれだけ内容が変わるか、というところに注目して頂ければ幸いです。
本日は毎月恒例、日本棋院情報会員のPRを行います。
なお、過去の記事はこちらです。↓
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回
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第21回 第22回 第23回 第24回 第25回
今月は
2018年3月21日 第12回春蘭杯世界囲碁選手権 本戦1回戦 本木克弥八段-李世ドル九段
2018年3月31日 2017年グランドチャンピオン戦 決勝 井山裕太棋聖-河野臨九段
の2局を解説しました。
今回は井山-河野戦の解説の一部をご紹介しましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/a2/faf1f2692f6c383e628cf54956d7a1e0.jpg)
1図(テーマ図)
「Kiin Editor」キャプチャー画面です。
この局面から・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/13/aa0c6a97a7d9b9e5e041d4aae219079c.jpg)
2図(実戦進行)
このように進行しました。
ツケたりハネたりと忙しいですが、井山棋聖は何故このような打ち方をしたのでしょうか?
プロの対局を楽しむためには、対局者が何を考えて打っているかを理解したいところです。
そのためのお手伝いをするのが、解説者の最も大きな役割と言えるでしょう。
情報会員向け解説では、その点に力を入れて丁寧に解説しています。
それでは、実際の解説を見ていきましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/8b/9d85679064d0b59dbbf9fa706c43dbe2.jpg)
3図(実戦)
黒1「また、白には別の狙いもありました。
それを防ぐためのツケです。」
この手を打たないと、白からどんな狙いがあったのでしょうか?
それを次の参考図で示しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/1c/6a4bfe815c24850ae47fc17f1abc434d.jpg)
4図(参考図)
「白はシチョウ当たりを狙っています。
白3を利かされると、白5の逃げ出しが成立してしまいます。」
白はシチョウの逃げ出しを狙っていました。
逃げられては黒がバラバラになってしまいます。
そこで、シチョウ当たりを打たれる前に左上黒を補強しておこうというわけです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/1d/f35b894894973100ef1bc5dafa6c6f46.jpg)
5図(実戦)
白1「白はハネる一手ですが・・・。」
黒2「さらにハネ返しました。
プロの捌き筋です。」
プロの対局には、このような飛躍した打ち方が時々現れます。
このような打ち方は、なかなか真似することは難しいでしょう。
それでも、何を目的にして打っているのかを理解できれば、プロの対局を楽しむことはできます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/03/db0d3d97283d2b3572b451263b552785.jpg)
6図(参考図)
参考図その1です。
「黒1などは鈍重です。
白2と伸びられて形が悪く、白Aのノゾキも狙われます。」
左上黒を補強しようとしたはずなのに、弱点が残っては本末転倒ですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/13/bcfba0e2462215a5a2de46bb2f69c6ac.jpg)
7図(参考図)
参考図その2です。
「また、黒1の押さえは1つの形ですが、白2がシチョウ当たりになってしまいます。」
こちらも、厳しいシチョウ当たりを打たせないという目的が達成できていませんね。
左上黒の補強と、白からのシチョウ当たり封じ、両方を防ごうというのが実戦の黒の狙いでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/0c/b81b314751f841c2be407bb24595df51.jpg)
8図(実戦)
実戦に戻ります。
白1「ここまで利かしておけば、シチョウ当たりの厳しさを緩和しています。」
黒2「そして、ツケに回りました。
黒模様を大きく広げる作戦です。
ツケの連発は、いかにも井山七冠らしいですね。」
こちらのツケも飛躍した発想でしょう。
普通に打つとどうなるでしょうか?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/6b/f45965b3c856a3598cc91e166c1b5c74.jpg)
9図(参考図)
「黒はシチョウを早めに抜いておくのが本手ですが、足が遅いとみたようです。
実戦はこの手を省略しようとしています。」
この図は無難ですが、井山棋聖はより積極的な打ち方を求めました。
実戦の進行と比べてみましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/09/64e34c29a599ef1ae80d8a6151704906.jpg)
10図(実戦)
黒2「目一杯の打ち回しですね。」
白3「白はつなぎが本手です。」
黒4「黒模様が大きく盛り上がりました。」
白3のところで参考図が入りますが、省略します。
9図と比べてみると、こちらの方が黒に勢いを感じませんか?
こういった場面で、棋士の個性が表れます。
いかがでしたか?
このような形で、序盤から終盤まで丁寧に解説しています。
なお、鶴山淳志七段も2局を解説しており、毎月の棋譜解説は計4局となっています。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!
ちなみに、今月の本木-李戦は先月鶴山七段が解説していたのですが・・・。
うっかり同じ棋譜を選んでしまいました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_gaan.gif)
次回からは、より慎重に確認したいと思います。
申し訳ありませんが、今月に関しては解説者によってどれだけ内容が変わるか、というところに注目して頂ければ幸いです。