白石勇一の囲碁日記

ほぼ毎日更新、白石勇一七段のブログです。
著書「やさしく語る」シリーズ「碁の本質」「布石の原則」「碁の大局観」発売中!

囲碁用語について・その1

2017年11月30日 23時59分59秒 | 囲碁について(文章中心)
皆様こんばんは。
本日は棋士の手合日でした。
幽玄の間でも多くの対局が中継されましたので、ぜひご覧ください。
一押しは余正麒七段と村川大介八段の対局です。
期待を裏切らない大熱戦でした。

さて、本日は囲碁用語についてお話ししたいと思います。
囲碁の手や形には様々な名前が付いています。
NHK杯などをご覧になっている方はよくご存じでしょうが、対局者が1手打つ度に読み上げ係が「黒、16の四、右上隅」「白、4の十七、左下隅小目」など、打った場所を座標と共に用語で示しますね。
この囲碁用語、何のためにあるのでしょうか?

囲碁用語は数多く、中には分かり難いものもあります。
そして、それらを覚えたからといって棋力が上がるわけでもありません。
ただ、意味はあるのです。
それは、「着手の場所を素早く示す」ことです。
実際に図で確認してみましょう。





囲碁用語には大きく分けて2種類あり、1つは本図のように位置を示すものです。
例えば、19路の碁盤には縦横19本の線に加え、等間隔に9つの印が付けられています。
それをと呼びます。
本図で言えは上段中央の印の位置を星と呼びますし、右上隅の星に打つ手も「星」「星打ち」などと呼びますね。
中段右の手も同様です(こちらは「星打ち」とは呼ばれませんが・・・細かい事情は割愛します)。

なお、碁盤の中央の星だけは「天元」という特別な名前が付いていますね。
万物の源という意味であり、碁に全く縁の無い方にも知られているのではないでしょうか。
他にも、位置によって様々な名前が付いていますね。

もう1つ、碁盤には上下があります。
碁盤の中心である天元が一番上で、碁盤の端が一番下とされています。
この感覚は、なかなか分かり難いものかもしれませんね。

さて、この図をもとに考えてみましょう。
右上隅星という言葉を使った場合、図の右上黒の位置しかありえませんね。
ですが、これを「16の四」と座標だけで示された場合、座標に慣れている方以外は位置確認にかなりの時間を費やすでしょう。
正直、私も瞬間的には分かりません(このあたりは将棋棋士とは違うところですね)。

これは解説会などで棋士がお客さんに伝える場合もそうですが、逆にお客さんが質問する場合にも意味があります。
客「黒が13の十五に打ったらどうなりますか?」
棋「ええっと・・・ここですね?」
客「あっ、違った。もう一路右です!」
こんなやり取り、割とよく起こります(笑)。
しかし、囲碁用語を交えることによって、意思疎通の手間を省くことができるのです。

ただ、囲碁用語の使用によって誤解が生じてしまうこともあります。
次回はそのことについてお話しする予定です。
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女流本因坊戦、決着!

2017年11月29日 21時04分50秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は女流本因坊戦第5局が行われました。
2勝2敗で迎えた最終局です。
対局の模様は新聞、幽玄の間囲碁プレミアムでご覧ください。

それでは、見所をご紹介したいと思います。



1図(実戦)
謝挑戦者の黒番です。
ここまで、水面下では際どい駆け引きが繰り広げられていましたが、表面的には穏やかに進行しました。
次に黒Aとでも守っておけばヨセ勝負ですが、少し黒が大変でしょう。
そして、その進行に甘んじる謝挑戦者ではありません。
ここから何かが起こる予感がしていました。





2図(実戦)
突如大きな戦いが始まりました。
黒が白△か白×のどちらかを取ろうという大作戦に出ています。
謝挑戦者、勝負に出ましたね。





3図(実戦)
藤沢女流本因坊が白×を上手く凌いだ場面です。
ここで左上に白Aと手を入れるか、白Bで白△をはっきり生きるか?
悩ましい選択ですが、この段階ではどちらを選んでも白負けになっていたのかもしれません・・・。
実戦は難しそうな方を選択しましたが、謝挑戦者が正確に対応したように思います。
見事勝利を収め、女流本因坊を奪取しました。

流石に一時代を築いた棋士だけあって、簡単には引き下がりませんね。
2人の勝負はまだまだ続くでしょう。

<追記>
後で得た情報では、白が勝ちになるコースもあったようですね。
際どい勝負でした。
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農心杯第9戦

2017年11月28日 23時44分26秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は農心杯第8戦が行われました。
対局者は党毅飛九段(中国)と金明訓五段(韓国)です。
日本棋士が絡まない対局は、私には非常に分かり難いです。
15年ぐらい前なら多少は分かっていた気がしますが、最近はついていけない碁が非常に多いですね。



1図(実戦)
序盤早々戦いになっています。
一番分からないのがこうしたところです。
序盤は広い所がたくさんありますが、世界の碁はすぐに戦いが始まる傾向があります。
日本の棋士とは碁というゲームの捉え方自体が違っているところがあるのでしょうね。

もっとも、これはあくまで傾向であり、日本の棋士にも色々なタイプがいることはご存知の通りです。
特に最近の若手棋士は中国や韓国の碁をかなり研究しているので、少なからず影響を受けていると感じます。
例えば井山七冠にしても一力八段にしても、元来はじっくりタイプだったように思いますが、ここ数年の碁は非常に激しいですね。
力勝負の碁に慣れておかなければ、世界で勝ち抜けないということでしょう。





2図(実戦)
黒△の大石を狙って、白△と形の急所に迫りました。
こうしたところの感覚は万国共通ですね。
この後の進行を追えば、急所の効果で黒にゆとりが無くなっていくことを感じられるのではないでしょうか。

皆様が中国や韓国の碁から学ばれるなら、こうしたところに注目して頂くと良いでしょう。
何しろ戦いが多いので、形の急所などは頻繁に現れます。





3図(実戦)
白△と取ってコウ争いが始まりました。
元々Aの所でコウ争いをしていたのですが、そちらが霞んでしまうほどの大きさです。
何しろ、黒×と白×の生死に関わっていますから・・・。

ところで、アマの皆様にはコウ争いが嫌いな方が多く、何が何でもコウを避けるという方も少なくありません。
まあ、どうしても嫌いなものは仕方ないという面もありますが、コウ争いの基本中の基本ができているかどうかだけは確認して頂くと良いですね。

それは、自分がコウに勝った時の図と相手がコウに勝った時の図を、具体的に想定して比べることです。
そのために必要とされる読みの手数は非常に少ないです。
時にはややこしいコウもありますが、大半は数手読めば十分な筈です。
シチョウ関係を読むよりもはるかに簡単でしょう。

それだけでもできていれば、花見コウを仕掛けるチャンスを逃したり、リスクの高いコウ争いを仕掛けることは少なくなるでしょう。
コウ立ての数を考えることなどはもちろん大切なのですが、そちらはかなり難易度が上がります。
何しろ、全局を見渡して地道に確認していかなければいけません。
まずは基本の方をしっかりと意識して頂きたいですね。

コウを仕掛けて勝つ、または大きなコウ替わりを得る、ということは碁の中でも最も大きな喜びの1つでしょう。
この喜びを知ることで、碁の楽しみ方は大きく広がると思います。
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農心杯第8戦

2017年11月27日 19時10分55秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
まずはお知らせです。
著書「やさしく語る 碁の本質」の第4刷が発行されることになりました!
これも皆様のご支持のおかげです。
ありがとうございます。

さて、第4刷の発行にあたって、問題があれば修正したいと思います。
既に判明している問題点はこちらにまとめてありますので、もし記載されていないミスやおかしなところがありましたら、お知らせ頂けると助かります。
期限は明日までと急ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

なお、「布石の本質」の方も売れているようですが、こちらはまだ増刷には至っていません。
布石は漠然とした分野なので、碁の本質の方が明快に感じられるところはあるでしょうね。
こちらの方もPRを続けていきたいと思います。


さて、本日は農心杯第8戦が行われました。
日本代表、一力遼八段(20)の相手は中国の党毅飛九段(23)です。
党九段の存在は10年ぐらい前から話題になっていたと思いますが、前回のLG杯でついに世界戦優勝を果たしました。
昨日も絶好調の申旻埈六段の連勝を止め、その実力を示しています。



1図(テーマ図)
党九段が黒△とボウシした場面です。
左辺の白はいかにも頼りない姿ですね。





2図(変化図)
白としては、このような打ち方が真っ先に浮かびます。
自然ではありますが、全体の白に全く眼が無いのが気になりますね・・・。
安定するまで時間がかかりそうで、気分が悪いです。





3図(実戦)
しかし、一力八段にかかるとあら不思議、あっという間に強固な形が出来上がりました!
×印のあたりに眼ができそうなので、いつでも生きられそうです。
打つ人によってこうも違うものでしょうか・・・。

特別な手は何も打っていないのですが、組み合わせやタイミングが実に上手いですね。
流石のセンスです。





4図(実戦)
落ち着いた流れになり、コミ6目半が物を言いそうなので白乗りの形勢と思っていました。
しかし、ここでなんと黒1、3!
いきなりツケて切るとは、物凄い力自慢の打ち方です。
中国棋士特有の戦い方という気がします。

・・・と書いていて思いましたが、最近の日本の若手の中にはこういうことをする人もいる気がします。
例えば許家元七段あたりならやりそうなイメージがありますね。

実戦は強引な仕掛けに一力八段のペースが乱れたでしょうか。
苦しい戦いに引きずり込まれ、あっという間に非勢に陥ってしまいました。
ここまで思い通りに進んでいただけに、悔やまれる敗戦だったでしょうね。


明日の党九段と韓国棋士の対局が第2ラウンドの最終戦なので、井山九段の出場は第3ラウンドの初戦になります。
ここまで日本勢としては非常に残念な結果で、井山九段に全てを託すしかありません。
日程的にも5連勝は非常に大変ですが、実力を示すチャンスでもあります。
井山九段の大暴れを期待しています。
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アルミ杯決勝

2017年11月26日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日はアルミ杯決勝の感想です。
時間が遅いので、手短に・・・。



1図(実戦)
決勝は李沂修七段(黒)と姚智騰四段で争われました。
私の予想(?)はあっさり外れましたね。

本局では特に姚四段の打ち回しに注目しました。
私の中の姚四段のイメージは、じっくり打ってヨセで勝つというものでした。
ですが、最近の碁を見ていると、積極的に仕掛ける碁に変貌したと感じます。
10代の棋士には無限の可能性があるのですね。

本局も打ちたいように打っている印象でした。
善悪は分かりませんが、白△までの進行も気分良く打っていたのではないでしょうか?





2図(実戦)
この段階では、明らかに黒有利の形勢でしょう。
地は黒が多く、白の頼みの綱は白△の存在ですが、これらは白の財産なのかお荷物なのかはっきりしません。
しかし、ここから姚四段が物凄い迫力を出していきましたね。





3図(実戦)
白は全軍躍動して左上黒の大石に寄り付いています。
こうなっては勝負は分からなくなった感じですね。
いざという時の姚四段の瞬発力は凄まじいものがあります。

しかし、最後は李七段が貫録を見せました。
この2日間、隙の無い読みでポイントを上げる場面が多かったように感じます。
第1回の準優勝以来、着実に力を蓄えてきた成果でしょうね。
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