白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

しばらくお休み

2018年02月27日 23時25分15秒 | 当ブログについて&バックナンバーまとめ
皆様こんばんは。
明日から女流名人戦が始まりますね。
最近、YouTubeに日本棋院囲碁チャンネルが開設されましたが、そちらで動画が配信がされるようです。
きっと新しい楽しみ方ができることでしょう。
ぜひご視聴やチャンネル登録をお願いいたします。

ところで、先にお伝えしたように現在私は多忙を極めております。
そろそろ限界になってきましたので、しばらくブログをお休みします。
期間は2~3週間ほどになる予定です。
再開までしばらくお待ちください。

日本敗退

2018年02月26日 23時36分22秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は対局があり、なんとか今年初勝利を挙げることができました。
また後日感想を述べたいと思います。

さて、本日は農心杯第10戦が行われました。
日本の大将、井山九段と党毅飛九段の対局です。
党九段は昨年、世界戦のLG杯で優勝を果たしています。



1図(テーマ図)
井山九段の黒番です。
白△と打たれた場面では、まず左上の地域に目が行きますね。
黒×と白×が共に弱いからです。





2図(変化図)
ということで、黒1などと動いていくことが考えられます。
しかし、これで黒がポイントを挙げられるかどうか?
白8まではちょっと白に都合の良いイメージ図ですが、黒が攻めているようには見えないでしょう。





3図(実戦)
そこで、実戦は黒1から黒×を捨て、黒5の開き詰めに先行!
なるほど、井山九段は右辺が最重要地域とみたわけですね。
黒13までと右上一帯が黒模様になりましたし、白×が弱くなっています。
前図とはずいぶん景色が違いますね。

こういう打ち方ができるのは、常に碁盤全体を見て判断しているからです。
大局観は大切ですね。

黒が優勢の碁だったでしょうが、途中で大きなミスが出てしまった気がします。
そして、逆転してからの白のまとめ方は流石でした。
井山九段が敗れて日本チーム敗退、今回は非常に残念な結果となりました。

藤沢里菜対AQ

2018年02月25日 22時33分01秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
本日は幽玄の間での、藤沢里菜三段とAQの対局に注目しました。



1図(実戦)
白1から、根拠の無い黒△に攻めかかりました。
自分の石を守りながら攻めており、自然な打ち方です。





2図(実戦)
白1と打ち込み、下辺白に根拠を作りました。
これも自然な打ち方ですね。





3図(実戦)
しかし、黒△までと進んでみると、なんだかおかしい気配・・・。
黒A、白B、黒Cで白△を切り離す手が残っていますし、隅にも黒D、白E、黒Fの手が残っています。
一手一手打っているはずなのに、白にばかり嫌味が残りました。





4図(実戦)
白は挽回を目指して仕掛けましたが、黒△の切りが実現してかえって苦しくなりました。
AQ相手では、既に逆転が難しくなっているかもしれません。


自然な手を打っていればそう悪くならない、というのが人間の常識です。
しかし、強いAIとの対局では、自然に打ったつもりでも形勢が悪くなりがちです。
強いAIから見れば、プロの碁もどこか不自然なのでしょうか。

大西竜平対AQ

2018年02月24日 21時30分03秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
幽玄の間での棋士とのスパーリングで、AQは予想以上の強さを見せています。
現在63勝5敗・・・。
その5敗のうちの3敗は、実は1人の棋士に喫しています。
その名は大西竜平三段です。
彼はDeepZenGOとも数多く打っており、AIのことはよく知っているのでしょうね。
本日は大西三段とAQの対局をご紹介しましょう。



1図(テーマ図)
AQの黒番です。
白△と打ち、AとBが見合いになっています。
黒×か〇のどちらかが取られることは必至です。

いかにも黒が困っていそうなので、普通ならこうならないために違う進行を選ぶでしょう。
しかし、AQの判断は違ったようで・・・。





2図(実戦)
黒1、3!
×印が全て断点という、八方破れ戦法です!
しかし、白も全ての断点を衝くことはできず、意外に打ち方が難しい・・・。





3図(実戦)
黒△までと進みました。
こうしてみると、意外と黒も形になっています。
右辺一帯の黒模様が深いですね。
この打ち回し、いかにもAIらしいと感じました。





4図(実戦)
悪い意味でAIらしかったのがこの場面です。
黒△は弱点を守った手ですが、この手ではAでも守れており、そちらの方が数段勝ります。

アマチュア有段者レベルでもこういう手はあまり打たないはずで、時々こういうミスが出るところがAIの実力評価を難しくしています。
結局は、勝率が一番の基準になるのでしょうね。

新作予約開始&AQ対DeepZenGo

2018年02月23日 23時57分55秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
まずはお知らせです。
第3作の著書、「やさしく語る 碁の大局観」の予約が開始しました!
内容としては、置き碁の白で無理なく打てば楽しみながら上達できますよ、というものです。
詳しくはまた改めてご紹介したいと思います。

さて、本日は幽玄の間で行われた、AQとDeepZenGoの対局をご紹介します。



1図(テーマ図)
AQの黒番です。
DeepZenGoが白△と放り込みを打ったところです。
黒Aと取ってくれれば、ここが欠け眼になるので白の打ち得となります。
しかし、黒Bと取られたらコウの形になるのですが、果たして白に良いコウ立てはあるのでしょうか?





2図(実戦)
と思ったら、黒1に対して白2!
確かに黒4子が当たりですが、黒3とつながれてコウが終わってしまいました。
黒に被害は全く無く、残ったのは白×が当たりになった事実だけ・・・。





3図(実戦)
結局、白1とつなぎましたが、黒2と他に先行されてしまいました。
1図白△から白の得た物はほとんど無く、1手パス同然の結果です。
当然ながら本局は黒の勝ちとなりました。

DeepZenGoは時々お茶目なことをしますが、AI同士の対局でも同じなのですね(笑)。
その点はAQも同じですが・・・。
しかし両者とも棋士に勝ちまくっています。
大局観がどれだけ大事か、よく分かりますね。