白石勇一の囲碁日記

ほぼ毎日更新、白石勇一七段のブログです。
著書「やさしく語る」シリーズ「碁の本質」「布石の原則」「碁の大局観」発売中!

10月の情報会員解説

2018年10月07日 23時55分21秒 | 日本棋院情報会員のススメ
<本日の一言>
現在、関東の大学囲碁部のリーグ戦が行われています。
母校の中大は、3連勝で1部昇格に向けて好スタートを切ったようです。
良い結果が出ることを祈っています。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は毎月恒例、日本棋院情報会員のPRを行います。

年を取ると、月日の流れが早く感じるようになると言いますね。
前回からずいぶん間が空いたように感じるかもしれませんが、たぶん気のせいでしょう。

なお、過去の記事はこちらです。↓
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回
第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回
第21回 第22回 第23回 第24回 第25回 第26回 第27回

今月は
第8回マスターズカップ準決勝、王立誠九段-依田紀基九段
第43期棋聖戦Cリーグ、六浦雄太七段-伊田篤史八段
の2局を解説しました。
ここでは王-依田戦の解説の一部をご紹介しましょう。



1図(テーマ図)
Kiin Editor」キャプチャー画面です。
この局面から・・・。





2図(実戦進行)
このように進みました。
意外と感じられる方が多いでしょう。
なぜこうなるのか、分かりやすく解説しています。





3図(実戦)
白1「まずノゾキを利かしました。」
黒2「いわゆる「外側と内側」の交換であり、白の打ち得です。」
白3「それから滑っていきました。」
黒6「右辺は黒石の多い所なので、動き出しても苦しい戦いになります。
そこで、白は小さく捨てる作戦を採りました。」


幽玄の間で解説する際と同様に、まず文章でしっかりと解説することを心がけています。
全ての解説図を見るのはしんどいという方もいらっしゃるでしょうからね。
さて、ここで参考図が入ります。





4図(参考図)
「白1と動き出すのは無理です。
全部取られてしまうかもしれません。」


3図白1で、右辺白を動き出した場合の図です。
これでは白は幸せになれないので、捨てる作戦を採ったわけです。





5図(実戦)
実戦に戻ります。

白1「その代わり、こちらで戦いを仕掛けました。」
黒2「黒は反撃する一手ですが・・・。」


白1に対して、別の対応を思い浮かべる方も多いでしょう。
それが次の参考図です。





6図(参考図)
「このように中央を止めるのが白の狙いです。
これは黒がつらすぎます。」


中央が真っ白になってしまいますね。
こうなっては黒がいけないので、5図のように反撃する一手というわけです。





7図(実戦)
実戦に戻ります。

白1「要石を助けて、黒の退路を断ちました。」
白3「左方に白の壁が控えているので、ここでなら戦えると判断しています。
戦場選びは非常に大切です。」


4図と比較してみましょう。
お互いの立場が全く違いますね。
プロは難解な手を打つイメージがあるかもしれませんが、こういった考え方は皆様にも真似できます。
ぜひ上達に役立てて頂きたいですね。


このような形で、序盤から終盤まで丁寧に解説しています。
なお、鶴山淳志七段も2局を解説しており、毎月の棋譜解説は計4局となっています。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!
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7月の情報会員解説

2018年07月27日 22時55分37秒 | 日本棋院情報会員のススメ
皆様こんばんは。
本日は毎月恒例、日本棋院情報会員のPRを行います。

なお、過去の記事はこちらです。↓
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今月は
女流名人戦予選 杉内寿子八段-新海洋子五段
LG杯本戦1回戦 芝野虎丸七段-唐韋星九段
の2局を解説しました。
今回はいつもと趣向を変えて、ダイジェスト版で2局をご紹介しましょう。



1図(杉内-新海1)
現役最年長の杉内八段が、91歳になってからの初勝利を挙げた1局です。
白△に対して、黒の杉内八段はどう対応したでしょうか?





2図(杉内-新海2)
白△と、黒の急所に迫った場面です。
黒はどう対応したでしょうか?





3図(杉内-新海3)
白△と引いた場面です。
Aの切りがありますが、黒はどうするべきでしょうか?





4図(芝野-唐1)
黒△と、取られている石を動きました。
一体どんな意味があったのでしょうか?





5図(芝野-唐2)
白△と二段バネした場面です。
黒はどう対応したでしょうか?





6図(芝野-唐3)
戦況の分かり難い場面です。
しかし、ここから黒の有利が明らかになっていきます。
黒はどこから仕掛けたでしょうか?

注目の場面をいくつかご紹介しましたが、全局を通して分かりやすく解説しています。
なお、鶴山淳志七段も2局を解説しており、毎月の棋譜解説は計4局となっています。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!

来月は
扇興杯女流囲碁最強戦予選 万波奈穂三段-吉原由香里六段
王座戦予選 金子真季初段-奥田あや三段
の2局を解説します。
お楽しみに!
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扇興杯決勝

2018年07月15日 21時37分28秒 | 日本棋院情報会員のススメ
皆様こんばんは。
本日は扇興杯決勝が行われました。
対局の模様は日本棋院ネット対局幽玄の間、Youtube「日本棋院囲碁チャンネル」にて中継されています。
そちらもぜひご覧ください。

それでは、私の印象に残った場面をご紹介しましょう。



1図(テーマ図)
牛栄子二段の黒番です。
上辺白が弱い場面ですが、ここで万波奈穂三段が打った白△は、最も積極的な捌きでした。
これだけ足を伸ばされると、黒としては当然咎めにいきたくなります。
実戦もAから切断にいきましたが・・・。





2図(実戦)
白△までと進んだ場面です。
黒は上辺を地にしましたが、その代わり白は黒×を取りにいくことになりました。
鮮やかな振り替わりですね。
ですが、これで終わりではありませんでした。





3図(実戦)
その後、白が黒×を取り、黒が白×を飲み込む振り替わりに!
一瞬で勢力図が入れ替わってしまいましたね。
形勢も良い勝負に見えます。
見事な分かれでした。





4図(実戦)
白1~7の打ち回しも目を引きました。
いかにものびのびとしていますね。

全体的に見て、万波三段はのびのびと打ち、牛二段は普段よりやや硬くなった印象でした。
そこが勝敗を分けたかもしれません。
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蟻の一穴

2018年07月12日 23時40分41秒 | 日本棋院情報会員のススメ
皆様こんばんは。
最近休みが多くなっていますね。
このままでは「ほぼ毎日更新」と言えなくなりそう・・・。
軽く更新できるネタのストックも作っておきたいところです。

ところで、先日マイナビ出版に行ってインタビューを受けてきました。
こちらの記事にまとめて頂いています。
内容は著書関係はもちろん、AIの活用法など、多岐に渡ります。
ぜひご覧ください。

さて、本日は日本棋院棋士の公式対局日でした。
日本棋院ネット対局幽玄の間でも多くの対局が中継されています。
本日は面白い対局が多かった印象です。
日本棋院若手棋士アカウントでは、小池芳弘三段が色々と紹介していましたね。
その中から1つをご紹介しましょう。
広瀬優一二段(黒)と王銘エン九段の対局です。



1図(テーマ図)
王九段は独特の棋風で知らせていますが、広瀬二段も違うベクトルで独特です。
ここまでの展開は、プロである私が観戦していても驚きの連続でした。

さて、問題は白△と打った場面です。
現状、中央の黒が宙に浮いていることや、左辺の白の構えが手薄であることは比較的見やすいですね。
ですが、それだけでは現状認識としては不十分です。
黒はどこに目を付けたでしょうか?





2図(実戦)
実戦は黒△の割り込みでした!
白の集団はなんとなくつながっているようにも見えますが、僅かな欠陥がありました。
蟻の一穴という言葉がありますが、ここはまさにそんな場所でした。





3図(実戦)
白×は中央の黒を切り離している要石なので、捨てることができません。
ですから白1、3の対応は必然ですが、黒4の切りが後続手段です。





4図(実戦)
その後、黒△まで進んだ場面です。
白×が切り離され、眼形にも乏しい姿です。
そして、白が苦しむ間に黒は着々と右下方面を拡大しています。
白は踏んだり蹴ったりですね。

蟻の一穴が大変な結果を生みました。
プロの対局でもこんなことがあります。
皆様もぜひお気を付けください。
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問題解答

2018年06月25日 23時20分03秒 | 日本棋院情報会員のススメ
皆様こんばんは。
本日は昨日の問題の解答を発表します。
寺山五段に答えを聞いていないので、これは私の解釈です。
大丈夫だとは思いますが、万が一間違っていたらご指摘ください(笑)。



1図(正解1)
初手、白1の放り込み!
正解の第一歩であり、本問の「題意」でもあります。
この手のために作られた問題なのです。

こういう形は、気分的には白Aの方に打ちたくなるのですが、この場合は白1に限ります。



2図(正解2)
黒1と取らせ、それから白2(Aの所)とコウを仕掛けます。
黒3の時、白4という大きなコウ立てができていますね。
黒は受けるか、コウを解消するかの2択ですが・・・。





3図(変化図)
黒1と受けるのは、白2と取られてコウ立てに困ります。
黒3、5の連打では小さく、大差で白勝ちとなります。





4図(正解3)
そこで、2図の後は黒1とコウを解消する一手です。
白2の連打に対しては黒3のつなぎが必要で、そして白4のコウ取り・・・。
このコウ争いが、白が勝つための第2の関門です。
そして、これを突破できるかどうかは、実はスタート地点で決まっていたのです。

本図は黒から1つもコウ立てが無いので、白4に対しては黒はパスをするぐらいしかありません。
そこで白Aとつなげば、見事白1目勝ちとなりました。
これが本問の結論です。





5図(変化図)
前図白4の後、黒1と切る手はコウ立てになりません。
白△の位置が絶妙です。

1図の時点で、白△ではなく2線に放り込んでも途中までは同じになります。
ですが・・・。





6図(変化図)
その場合、黒1のコウ立てができてしまいます。
黒3と取られると今度は白のコウ立てが無く、白Aとつなぐしかありません。
黒Bとつながれると、結果は黒1目勝ちとなってしまいました。

いかがですか?
放り込む位置の違いが最後の明暗を分ける、面白い問題だと思います。
ただ、この知識が実戦で役立つ可能性は極めて低いですね(笑)。
囲碁の手筋というより、一種のパズルかもしれません。

ところで、パズルと言えば、張栩九段の「よんろのご」、一力遼八段の「終盤アナライズ」(9路盤問題)もパズル的な要素が強いですね。
そして、両者共に問題作成へのこだわりが凄いと聞きます。
寺山五段から話を聞いた限りでは、両者はさらにレベルの高い囲碁マニアのようです(笑)。
勝負を抜きにしても、囲碁には深い世界があるのです。
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