白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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4月の情報会員解説

2018年04月03日 23時55分02秒 | 日本棋院情報会員のススメ
皆様こんばんは。
本日は毎月恒例、日本棋院情報会員のPRを行います。
この間やったばかりですが・・・(笑)。

なお、過去の記事はこちらです。↓
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回
第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回
第21回 第22回 第23回

棋譜再生ソフトの使い方は第4回で詳しく解説しています。

今月は2017年11月26日 第12回広島アルミ杯・若鯉戦決勝、李沂修七段姚智騰四段
2018年3月6日 幽玄の間で行われた、AQ対依田紀基九段
の2局を解説しました。
ここではAQ-依田九段戦の解説の一部をご紹介しましょう。



1図(テーマ図)
Kiin Editor」キャプチャー画面です。
ここから始まって・・・。





2図(実戦進行)
このように進みました(黒6はAの所)が、意味不明のやり取りに見える方も多いのではないでしょうか?
でも大丈夫、こういうところも分かりやすく解説しています。





3図(実戦)
黒1「黒は渡りを止める一手ですが・・・。」
白2「それから飛び、Aの割り込みを強調する狙いです。」
黒3「ここで三々に入ったのは、守りの調子を求めたテクニックです。
これもプロの対局によく現れます。」


Aの割り込み狙いについては、白2のところで参考図が2つ入りますが、分量の関係で省略します。
黒3のところにも参考図が入っているので、そちらをご紹介しましょう。





4図(参考図)
「Aの割り込みを黒1やBで守ることは、プロには耐えられません。
白を固めてしまうからです。」


黒1やBといった手を気にせず打たれる方は多いですが、相手を喜ばせる手なので、プロの碁にはほとんど現れません。





5図(実戦)
実戦に戻ります。

白1「白は遮る一手ですが・・・。」
黒2「ここで当て込みを打つのが良い手順です。」
白3「白は受ける前に当てました。」


白3は黒の注文を外した受け方です。
では、当てずに素直につなぐとどうなるのか?
それを参考図2つで示しています。



6図(参考図)
前図白1で、本図白1とつないだ場合の図です。

「単に当て込みを打った場合は白1とつながれて終わりですが、三々入りを打っておくことにより、黒2という後続手段があります。」

次の参考図に続きます。





7図(参考図)
「その後、このようにモタれて左辺白2子を狙っていくことになります。
AやBの傷があるので黒Cが厳しいですし、後に黒Dのハネから寄せる手もあり、白地は大したことがありません。」


左上白に沢山手をかけている間に黒がどんどん強くなり、左辺白にプレッシャーがかかっていきますね。
実戦の白はこのような展開を避けました。





8図(実戦)
実戦に戻ります。

黒3「やはりこの手があります。」

白が当たりの石を逃げるとどうなるのかは、次の参考図に示しています。





9図(参考図)
「白1と逃げると、黒2から絞る手があります。
黒8でぴったり隅が生きているところが洒落ています。
白は団子石になりますし、白△と挟んだ意味が無くなるので、不満の分かれでしょう。」


こうなってはまずいので、白は1と逃げませんでした。
少なくとも、石の形を重視する依田九段の打ち方ではありませんね。





10図(実戦)
実戦に戻ります。

白1「白は受けるぐらいです。」
黒2「ポン抜きを許しましたが、白としても予定通りです。」
白3「26-3図と違い、こちらに先行できることがポイントです。
白は1子を犠牲にしてスピードを得ました。」


26-3図とは、ここで言う7図のことですね。
ここまで、お互いが相手の意図の裏をかいていく進行でした。
なお、この後も黒Aから戦いが続いています。


いかがでしたか?
情報会員向け解説ということで、幽玄の間上の練習対局をご紹介してみました。
練習対局とは言え、実名で打っていることもあって質が高いですね。

来月解説する対局は未定ですが、1局はDeepZenGoの対局を取り上げたいと考えています。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!