白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

5月の情報会員向け解説

2017年05月02日 22時00分00秒 | 日本棋院情報会員のススメ
皆様こんばんは。
本日は毎月恒例、日本棋院情報会員のPRを行います。
なお、過去の記事はこちらです→第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回
棋譜再生ソフトの使い方は第4回で詳しく解説しています。

今月の情報会員向け解説は
2016年グランドチャンピオン戦 一力遼竜星山下敬吾九段
第8回おかげ杯囲碁トーナメント予選 伊田篤史八段大西竜平二段
の2局でした。
今回は伊田―大西戦の解説の一部をご紹介します。



1図(テーマ図)
今回はこの局面からの11手にスポットライトを当ててみましょう。
じっくりした展開になるかと思いきや、ここから一気に碁が動きます。





2図(実戦進行)
思わぬ変化になりました。
この間に対局者がどんなことを考えていたのか、詳しく解説しています。
それでは見て行きましょう。





3図(実戦図)
「すごい所にツケました!
大西二段、才気煥発の一手です。
右下黒をさらに固め、凝り形にしようというのです。」

ここで参考図が2つ入ります。
その内の1つを次図に示します。





4図(参考図)
「白1なら平凡ですが、黒も右辺が良い構えです。
大西二段には不満だったのでしょう。」

多くのプロは、まずこの図を考えます。
しかし、大西二段は常識より自分を信じました。





5図(実戦図)
黒1「利かされを避け、上にハネたい所です。
次に黒Aで丸飲みする手を見せています。」

白2「しかしここで大西二段、またしてすごい手を繰り出しました!
ここでの切り違いは天才的です。」

ここで参考図が入ります。





6図(参考図)
「白1なら普通の形ですが、黒2とつながれて後が続きません。
黒4まで、白は弱い石を2つ作っただけでしょう。」

前図の切り違いを打たなかった場合の図です。





7図(実戦)
黒1「ここは当てる所です。
黒△に石がある時は、これが正解になることが多いですね。」

黒3「白が逃げる調子でつなぎます。
2手1組の手筋です。」

白4「ここまで打っておいて一転、飛び出しました。
大西二段の一連の構想でしょう。
次に白Aが見えていますが・・・。」

黒1、3の所に1つずつ参考図が入りますが、スペースの都合上省略します。





8図(実戦)
黒1「ここで伊田八段、大西二段の狙いを察知して変化に出ました。」

白2「ここは下がる一手ですが・・・。」

黒3「右上を受けず、こちらを守りました。
丁々発止のやり取りです。」

ここで参考図が2つ入ります。
なぜ右上ではなく右辺の方を守ったのか、その理由を解説しています。





9図(参考図1)
「黒1には白2とカケる予定でしょう。
白4までとなると、白△が邪魔で黒2子が動きにくいですし・・・。」





10図(参考図2)
前図黒3で反撃した場合の図です。

「黒2、4も白5、7があり、団子に絞られては黒ハマリです。
実戦白14のツケ以降の打ち方は、本図白1のカケを成立させるためのものでした。」
※黒4はAの所、黒8はBの所です。
 長手数で見づらいですが、ソフトでは一手ずつ進められます。

白1に対して受けるのもダメ、反撃するのもダメということです。
黒は白1を打たせたいため、実戦のように変化しました。





11図(実戦)
白1「白としても黒の変化は想定していたでしょう。
ここを連打できれば打てると見ています。」

ここで参考図が入りますが、省略します。
白1でAと打たなかった理由を示しています。

この後さらに大きな変化が起こりますが、当ブログでのご紹介はここまでです。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!

なお、6月は
第7回フマキラー 囲碁マスターズカップ1回戦 羽根泰正九段趙治勲名誉名人
第4回 グロービス杯 世界囲碁U-20準々決勝 芝野虎丸三段対辜梓豪五段
の2局を解説します。
お楽しみに!
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 更新再開のお知らせ&Master... | トップ | 先週の対局・前編 »

日本棋院情報会員のススメ」カテゴリの最新記事