白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

ナショナルチーム合宿その2

2018年12月27日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
発売中の週刊碁にて、恒例の「碁界ニュースグランプリ2018」が実施されます。
読者の皆様の投票によって、2018年の囲碁界10大ニュースを決める企画です。
私も3つのニュースを選んで語っているので、ぜひご覧ください。
もちろん、「目算ナビゲーター」も好評連載中です(第14回)。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は昨日に引き続き、ナショナルチーム合宿の対局をご紹介したいと思います。
なお、棋譜は日本棋院ネット対局幽玄の間にてご覧頂けます。



1図(テーマ図)
一力遼八段(黒)と本木克弥八段の対局です。
白1の切りには「おや?」と思いますね。
どう見ても取られていますが、一体何の意味があるのでしょうか?





2図(実戦)
少し進んだ場面で、その意図が明らかになりました。
白1と逃げ出し、黒2と換わったところで手筋が飛び出します。





3図(実戦)
白1の切り一本で細工し、白3のツケ!
中国の名作古典「官子譜」に出てくるような手筋ですね。





4図(変化図)
からくりの一部を示すなら、このような図でしょうか。
ダメ詰まりの黒は白4子を取れず、左の黒11子が丸取られです。
これは黒の一番酷い図ですが、見た目に面白いので紹介してみました。
もちろん、一力八段はこんなハマり方はしません(笑)。

ここは非常に含みの多い手どころで、ここだけで何十図も作れそうです。
情報会員向けの棋譜解説の題材に使ってみるのも面白いかもしれませんね。
本局は両者が際どい戦いを続けていく、スリリングで見ごたえのある対局でした。
おそらく20秒とか30秒の早碁でしょうが、それを感じさせないほどレベルが高いと感じました。