融資の3割が金利1%未満 国内銀、4年ぶり高水準 2010年9月24日 日経
国内銀行の貸出金利が大幅に低下している。金利が年1%を下回る低利融資の残高が全体の約3割を占め、4年ぶりの高水準となった。金融緩和の効果が広く浸透してきたほか、銀行の融資競争が激しくなっているためだ。企業や個人にとっては低金利の恩恵があるが、先行き不安から企業が設備投資を手控えるなど、資金の流れが滞っている面もある。
日銀によると、金利が1%未満の貸出残高は7月時点で約104兆8800億円となった。2006年以来の高水準で、ゼロ金利・量的緩和が解除された以降で最も多い。08年度は金融危機の影響などで企業の資金繰りが厳しくなり、金利が1%未満の残高は40兆~70兆円程度だったが、09年からは低利融資が目立って増えてきた。
国内銀行の7月の新規貸出約定金利は約1.17%で過去最低の水準。8月以降も同じ傾向が続いている。06年までは日銀の量的金融緩和などで政策的に金利が低く据え置かれていたが、最近では金融緩和に加え、銀行間の融資競争の激化が金利低下に拍車をかけている。今年に入ってからは格付けが高い企業ばかりではなく、信用力がやや劣る企業でも金利低下が起き始めている。
企業向け融資が低迷するなか、銀行の融資競争で個人向け貸出金でも金利低下が鮮明になってきた。住宅ローンでは変動金利型で年1%前後が主流となっており、東京スター銀行は利用者数限定で金利0%を打ち出した。金融緩和による低金利の恩恵が、銀行から資金を借り入れる企業や個人に広がっている格好だ。
ただ、1%未満の低金利にもかかわらず、企業は借り入れを増やして設備投資を進めようとしない。日本政策投資銀行によると、10年度の全産業ベースの設備投資計画は前年度比6.8%増となった。3年ぶりのプラスに転じたが、前年度は16.7%の大幅減であり、なお08年度の水準を割り込んでいる。
企業が投資に慎重なのは、日本経済の将来への不安が根強いためだ。内閣府の調査によると、企業が見込んでいる今後3年間の成長率は実質1.0%。05~07年度には2%前後だった。国内需要の回復力の弱さから、企業が投資を手控えている構図だ。
物価の影響などを取り除いた実質金利の上昇も融資の低迷の一因といえる。食品・エネルギーを除く消費者物価ベースの実質金利は08年には1%台だったが、09年からは上昇に転じ、足元では2%台後半にある。デフレで実質的な返済負担が増えるため、企業が借り入れを抑制しているとの見方ができる。
かつては不良債権問題に伴う銀行の「貸し渋り」などで資金循環が滞っていたが、バランスシート(貸借対照表)問題から融資を抑制する動きは03~04年にほぼ解消されたとみられる。これに代わって、将来不安とデフレが資金の流れを滞留させている。
資金需要の低迷は信用創造の低下から連鎖的な需要不足を招く恐れがある。企業の期待成長率を高めるには、法人税引き下げや規制緩和といった成長戦略の着実な実行が必要となる。
金利の低さと言えば、少し前ですが、こんな記事もありました。
ん…。企業への融資と言えば、賞与などを一時的に建て替える季節性資金を別にすれば、通常は3年~15年あるいは20年程度の長期間にわたって貸し付ける資金のことでしょうし、一部の自治体融資を別にすれば当然変動金利で貸し付けているのだとは思いますが、融資の3割も10年国債の利回りを下回るような金利で貸し出して本当に採算が合う(人件費+預金保険料を賄うことができる)んでしょうかねぇ???
まあ、お上(政府)からは中小企業への資金繰り支援を強く求められ、かといって保証協会付き融資+責任共有除外でも貸せないような経営状態のところには融資できないとなれば、おのずと一定以上の事業実績があり、かつ財務状況も比較的健全な優良取引先の奪い合いとなり、貸出金利も引き下げざるを得ないのかな…とも思うのですが、あまりにも貸付金利が安いと、当の企業の側も租利益を引き上げるインセンティブが失われ、結果更なるデフレ状態の継続を招くことにもなりかねないわけで…(滝汗
法人税の引き下げについては、経営の厳しい中小企業が本当に引き下げて欲しいと考えているのは、おそらくは黒字になった時に支払わなければならない国税の法人税(黒字の企業が少ない現状、国税の法人税を支払える余裕のある企業も少ないのでは?)ではなく、企業が赤字でも最低1年間に6万円は支払わなければならない地方税である法人市民税の方。(法人市民税は、赤字企業でもショバ代的意味合いで年6万円かかり、他に資本金要件や企業業績によって加算されます)
ただ法人市民税は貴重な財源を奪われる地方自治体が引き下げに合意するとはとても思えませんし、もし国の法人税を引き下げるとしても、本当に人材を育てて国際競争力を保っている努力している企業と、単に価格競争で利益を上げている企業とははっきり峻別した上で、配慮していく必要があるのではないでしょうか…。
国内銀行の貸出金利が大幅に低下している。金利が年1%を下回る低利融資の残高が全体の約3割を占め、4年ぶりの高水準となった。金融緩和の効果が広く浸透してきたほか、銀行の融資競争が激しくなっているためだ。企業や個人にとっては低金利の恩恵があるが、先行き不安から企業が設備投資を手控えるなど、資金の流れが滞っている面もある。
日銀によると、金利が1%未満の貸出残高は7月時点で約104兆8800億円となった。2006年以来の高水準で、ゼロ金利・量的緩和が解除された以降で最も多い。08年度は金融危機の影響などで企業の資金繰りが厳しくなり、金利が1%未満の残高は40兆~70兆円程度だったが、09年からは低利融資が目立って増えてきた。
国内銀行の7月の新規貸出約定金利は約1.17%で過去最低の水準。8月以降も同じ傾向が続いている。06年までは日銀の量的金融緩和などで政策的に金利が低く据え置かれていたが、最近では金融緩和に加え、銀行間の融資競争の激化が金利低下に拍車をかけている。今年に入ってからは格付けが高い企業ばかりではなく、信用力がやや劣る企業でも金利低下が起き始めている。
企業向け融資が低迷するなか、銀行の融資競争で個人向け貸出金でも金利低下が鮮明になってきた。住宅ローンでは変動金利型で年1%前後が主流となっており、東京スター銀行は利用者数限定で金利0%を打ち出した。金融緩和による低金利の恩恵が、銀行から資金を借り入れる企業や個人に広がっている格好だ。
ただ、1%未満の低金利にもかかわらず、企業は借り入れを増やして設備投資を進めようとしない。日本政策投資銀行によると、10年度の全産業ベースの設備投資計画は前年度比6.8%増となった。3年ぶりのプラスに転じたが、前年度は16.7%の大幅減であり、なお08年度の水準を割り込んでいる。
企業が投資に慎重なのは、日本経済の将来への不安が根強いためだ。内閣府の調査によると、企業が見込んでいる今後3年間の成長率は実質1.0%。05~07年度には2%前後だった。国内需要の回復力の弱さから、企業が投資を手控えている構図だ。
物価の影響などを取り除いた実質金利の上昇も融資の低迷の一因といえる。食品・エネルギーを除く消費者物価ベースの実質金利は08年には1%台だったが、09年からは上昇に転じ、足元では2%台後半にある。デフレで実質的な返済負担が増えるため、企業が借り入れを抑制しているとの見方ができる。
かつては不良債権問題に伴う銀行の「貸し渋り」などで資金循環が滞っていたが、バランスシート(貸借対照表)問題から融資を抑制する動きは03~04年にほぼ解消されたとみられる。これに代わって、将来不安とデフレが資金の流れを滞留させている。
資金需要の低迷は信用創造の低下から連鎖的な需要不足を招く恐れがある。企業の期待成長率を高めるには、法人税引き下げや規制緩和といった成長戦略の着実な実行が必要となる。
金利の低さと言えば、少し前ですが、こんな記事もありました。
ん…。企業への融資と言えば、賞与などを一時的に建て替える季節性資金を別にすれば、通常は3年~15年あるいは20年程度の長期間にわたって貸し付ける資金のことでしょうし、一部の自治体融資を別にすれば当然変動金利で貸し付けているのだとは思いますが、融資の3割も10年国債の利回りを下回るような金利で貸し出して本当に採算が合う(人件費+預金保険料を賄うことができる)んでしょうかねぇ???
まあ、お上(政府)からは中小企業への資金繰り支援を強く求められ、かといって保証協会付き融資+責任共有除外でも貸せないような経営状態のところには融資できないとなれば、おのずと一定以上の事業実績があり、かつ財務状況も比較的健全な優良取引先の奪い合いとなり、貸出金利も引き下げざるを得ないのかな…とも思うのですが、あまりにも貸付金利が安いと、当の企業の側も租利益を引き上げるインセンティブが失われ、結果更なるデフレ状態の継続を招くことにもなりかねないわけで…(滝汗
法人税の引き下げについては、経営の厳しい中小企業が本当に引き下げて欲しいと考えているのは、おそらくは黒字になった時に支払わなければならない国税の法人税(黒字の企業が少ない現状、国税の法人税を支払える余裕のある企業も少ないのでは?)ではなく、企業が赤字でも最低1年間に6万円は支払わなければならない地方税である法人市民税の方。(法人市民税は、赤字企業でもショバ代的意味合いで年6万円かかり、他に資本金要件や企業業績によって加算されます)
ただ法人市民税は貴重な財源を奪われる地方自治体が引き下げに合意するとはとても思えませんし、もし国の法人税を引き下げるとしても、本当に人材を育てて国際競争力を保っている努力している企業と、単に価格競争で利益を上げている企業とははっきり峻別した上で、配慮していく必要があるのではないでしょうか…。
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