岡田幹事長、輿石参議院議員会長らとの福島視察、行って参りました。
家を朝の5時40分に出発。東京駅に集合して、6時20分の新幹線やまびこ号でいざ、福島へ。8時15分に到着。駅前から貸し切りバスに乗り込んで、そこから夕方5時半まで、移動時間以外は休みなく、県内8カ所の訪問先をしっかり回ってお話を伺ってきました。
以下、いくつか視察した現場と内容をご紹介します。
まずは、伊達市が市内各所の放射線量低減のために取り組んでいる「除染プロジェクト」の除染現場。伊達市では、元原子力委員長代理でNPO法人放射線安全フォーラム副理事長の田中俊一さんを除染アドバイザーに委嘱して、市民ボランティアなどの協力を受けながら除染活動を続けています。
今日は、伊達市の中で「特定避難勧奨地点」に指定されたある地区の家屋を除染しているところを見学させていただきました。総勢30人から40人のチームが、3軒のお宅の除染を行っておられました。予定では3日間ぐらいかかるということですので、大体、30人~40人で一日一軒の除染が出来るというペースでしょうか。家の除染と行っても、庭もあれば雨どいもあれば、玄関先の舗装路もあれば家の裏の溝もあります。それぞれの場所に適切な方法で除染を行うわけですね。
例えばこれは、コンクリート面などを除染する道具です。
吸い込んだ汚染物は、フィルターを通してこの容器の中に吸い込まれ、それが廃棄物として廃棄されます。
除去された表土や草葉など、廃棄物はきちんと密封され、隔離されます。現状では、この汚染廃棄物の廃棄方法が決まっていないので、そこが今後の課題になります。
住民の皆さんからは、同じ地区や同じ敷地内でも、特定避難勧奨地点に指定された家とされない家が混在していることで、地域社会や家族が分断されてしまっているという問題について訴えがありました。だから避難勧奨を地点で指定するのではなく、地域(地区)で指定して欲しいと。指定された家とされない家でも、放射線量はほんのわずかな差しかないというケースが多いということで、それではなかなか納得が得られないのも事実でしょう。ホットスポット対策として一定の基準を設けなければならないのは致し方ないところですが、地域社会や家族が分断されることのないような柔軟な対応も必要だと感じました。
次に、福島県下水道公社の浄化センターでは、汚泥の処理の状況と仮置場を視察しました。
4月頃から放射性物質を含んだ下水汚泥が出てきて、その対策を行っているのですが、まだ最終処分場が決まっていないため、処理場内に仮置場を作って保管している現状です。ただ、毎日何十トンもの汚泥が発生するので、処理場内での保管も限界にきているとのこと。最終処分の方法や場所の確保、そのコストについての要望をお聞きしました。
また、脱水汚泥からは硫化水素が発生します。臭いがきつく、大量に吸い込むとノドがやられてしまうため、作業員の安全衛生面にも留意が必要です。
福島県立医科大学では、県民健康管理調査計画と現在の状況についてお聞きし、また緊急被ばく医療体制についても説明いただきました。非常にキレイに整備された被ばく医療の診療室でしたし、その中には内部被曝線量をチェックするためのホールボディカウンターも設置されていました。
そして、福島県の農業総合センターでは、食品モニタリング検査の現場を視察しました。こちらでは、農畜産物や水産物の放射線量測定を行っていますが、検査機器の数がまだ不足しているとのこと。ここで、これまで話に聞いていた「ゲルマニウム測定器」の実物を見ることができました。こちらのは米国製で、約2,000万円ぐらいするのだそうです。供給が追いついていなくて、すぐには手に入らないのだとか。
検査のための事前準備と、実際の検査時間とで、大体、一品目あたり2時間ぐらいかかるとのことでした。6月から4台が稼働しているのですが、これから夏に向けて夏野菜の収穫が始まりますから、これではやはりいっぱいいっぱいですね。あと何台かの増設が必要でしょう。風評被害対策のためには、何と言っても科学的に安全を立証し、消費者の皆さんに安心していただくのが一番です。そのための検査体制の拡充は、福島ブランドの商品を守るためにも絶対に必要です。
そして視察の最後には、岡田幹事長のぶら下がり取材が。私としてもこういう現場は初めての体験だったので、いい勉強をさせていただきました。
岡田幹事長は、とりわけ除染の面的拡充の必要性を訴えておいででしたね。やはり、伊達市で住民の皆さんから直接、生のご意見を伺ったことが印象に残ったのでしょう。また、避難しておられる方々の切実な雇用問題にも思いを寄せておられました。今後は、仮設住宅の完成と引越に合わせ、新しい地でいかに雇用が確保出来るかが重要な課題になります。この点、民主党としてもしっかりと取り組んでいかなくてはなりません。
以上、今日の福島視察の簡単な報告です。本当に貴重な機会をいただきました。プライバシーの問題もあるので、ここでは報告できない話もあるのですが、それぞれが切実な訴えで、住民の皆さんの命と生活を守るために、民主党として真摯に解決に向けて努力をしなければならない課題をたくさん掘り下げることが出来たと思います。求められているのは結果。皆さんにきちんと結果を報告できるようにがんばらないといけません。
最後に余談ですが、ある場所で避難住民の皆さんと意見交換を行った時、最後に皆さんに声をかけながら握手して回ったのですが、ご年配の方々から「あんた、若い議員さんだな~、遠目に見たら高校生かと思ったよ~。若い力でしっかり頑張ってな~」と声をかけていただきました。今日は防災服姿で若く見えたのかも知れませんが、それにしても高校生とは・・・いやいや、もう46歳です(苦笑)。