石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

韓国軍への銃弾1万発提供~国民への説明が必要!

2013-12-25 23:06:39 | 活動レポート

報道等でご存じの通り、政府は12月23日、国家安全保障会議(NSC)と持ち回り閣議のみの確認において、南スーダンで国連平和維持活動(PKO)のために展開している韓国軍(国連部隊)に銃弾1万発(=武器)を提供する決定を行い、すでに供与されました。

菅官房長官は今回の対応について、「緊急の必要性」と「人道性が極めて高い」ため、いわゆる「武器輸出三原則」の例外として扱ったと説明しています。

「武器輸出三原則」というのは、1967年に当時の佐藤栄作首相が「①共産圏諸国、②国連決議により武器禁輸となっている国、③国際紛争の当事国又はその恐れのある国に対する武器輸出は、輸出貿易管理令で承認しない」と委員会で答弁したことに始まったものです。その後、1976年に、今度は三木武夫首相が「①三原則地域への輸出を認めない、②それ以外の地域への輸出も慎む、③武器製造関連設備の輸出も武器に準じて扱う」と方針表明したことが、現在に至るまで「原則」として守られてきたわけです。 

PKO協力法第25条には、「平和維持活動の協力のために必要なときは、閣議決定によって「物資」を提供することができる」という規定があります。政府はこれまで、この25条を「武器輸出三原則」に従って運用してきたのです。国会での質疑でも、PKOで提供できる物資には「武器・弾薬は含まれない」し、「国連から日本に対して武器・弾薬の提供要請が行われることは万が一にもない」し、「(もし要請が)あっても断る」と解釈、説明してきたわけです。

それをあっさりひっくり返してしまったのが今回の銃弾供与の決定でした。

さて、そのなし崩し的決定の問題点についてはメディアによる解説に譲るとして、いくつか沸いてきた疑問点について以下、述べておきます。

  • なぜ、自衛隊は1万発もの余裕銃弾を持っていたのでしょうか?
    →1万発の銃弾を供与出来るということは、それ以上の銃弾を備えていて、1万発を即時提供できる余裕があったのだと思うのです。自衛隊は、あくまでPKO活動に従事しに行っているはずなのに、それだけ大量の銃弾を保持していたのはなぜなのでしょう?
     
  • なぜ、国連は、自衛隊がそれだけの銃弾を保持していると知っていたのでしょうか?
    →自衛隊がそれだけの銃弾を保持していたこと自体、疑問なのですが、それをなぜ、国連が知っていたのか、興味あるところです。現地で展開するPKO部隊は、予備を含めて装備を全て国連に報告することになっているのでしょうか? であれば、国連は韓国軍の予備銃弾数も把握していたはずで、それが十分なレベルであったか否か、ある程度の情報を得ていたことになります。にも関わらず、国連は韓国軍ともっと早い段階で相談しなかったのでしょうか?
     
  • 韓国軍は、その時点で何発の銃弾を保持していたのでしょうか? 
    →すでに報道で、韓国側の「それほど緊急の状態ではなかった」との発言が伝えられていますが、一体、何発の銃弾が残っていて、毎日どれだけの銃弾を実際に使用していたのでしょう? 果たして日本政府は、韓国軍の情報をどれだけ正確・詳細に得て、具体的に緊急性を把握していたのでしょうか?
     
  • 国連側は、なぜ日本に銃弾の供与を要請したのでしょうか?
    →政府答弁にもあるように、これまで国連から武器供与の要請があることは「万が一にも」想定されていなかったわけです。国連側は、当然、日本は「武器の供与はしない」ことは知っていたはず。にもかかわらず今回、日本に対して武器(銃弾)供与の要請があったのはなぜなのか? 随分と不自然な感じがするのは私だけでしょうか?
     
  • もし日本が銃弾を提供していなかったらどうなっていたのでしょうか?
    →韓国側が国連に銃弾の提供要請をして、日本が提供を決定するまでどれだけの時間があったのでしょうかね? そして、日本が供与しなかった場合に、外から調達するのにどれぐらいの時間が必要だったのでしょうか? 銃弾は、「89式5.56ミリ小銃」と呼ばれる武器用で、一般的に使用されている銃弾のようですから、現地での調達が出来なくても、外からの補充は比較的容易だったのではないかと思うのです。


今回の決定は、非常に重たいものです。国会での審議を通じて確立されてきた政府方針を覆すものだからです。そして、憲法上、許されないとされている集団的自衛権行使の問題にも関わる問題だからです。

だからこそ、政府には国民への説明責任があります。正当性・妥当性を証明しなければなりません。でなければ、政府の判断でなし崩し的に従来の政府方針、憲法解釈が変えられてしまう可能性が高くなってしまいます。私たちが国会の閉会中でも早急に委員会を開き、審査を行うことを要求しているのはそのためなのです。