石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

厚生労働委員会で質問に立ちました!

2011-12-06 23:55:12 | 活動レポート

今日の参議院厚生労働委員会、議題は『国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案』についての質疑。与党民主党を代表して質問に立ちました!

いつもは、第一党としていの一番に質問させていただくことが多いのですが、今日は事情あってラストバッターでの質問。野党の皆さんの質問を一通り聞かせてもらってからの登板ということで、なんだか不思議な感覚でした。

難しいのは、用意をしていた質問事項のほとんどを、すでに野党の皆さんに聞かれている点。全く同じことをまた聞いても仕方ないので、違う角度からの質問に変えたり、野党の質問では光が当たらなかった部分まで踏み込んで質問したりと、いろいろ工夫が必要でした。一つ一つ考えながらの質問になったので、難しかったのですが、これまたいい勉強になりました。

(まん中が小宮山大臣。右は辻副大臣)

 

主な質問事項は下記の通りです。いくつかの質問について、解説を付け加えておきましたので参考にして下さい。

1.第15回ILOアジア太平洋地域会議について

  • 地域会議が京都で開催されていることの意義は?
  • 野田総理が開会式の特別演説で訴えた「少子高齢化の下でも持続可能な社会保障制度を確立させて、分厚い中間層を復活させていく」という社会保障制度改革に向けた決意を大臣としてどう受け止め、現行制度のさらなる改善、新制度の創設という流れを実践して行くか? 
  • フィジーにおける深刻な労働組合権侵害の状況への対応は?

2.民主党政権がめざしている「新らしい年金制度の創設(2013通常国会提案予定)」と、「現行年金制度の改善(2012通常国会提案予定)」との違いについて、国民の皆さんに分かりやすい明快な説明を。

 

3.年金財政の現状について、心配ないのかどうかあらためて国民の皆さんに状況を説明して欲しい。

(解説)2009年の財政検証では、積立金の運用利回りが4.1%に設定されていて、これが批判と心配の的になっています。しかし、これは100年間の平均値で、かつ実際は、収益率の実績が賃金上昇率との比較でどれだけ大きいかが大事なのです。それを、平成32年度(2020年)以降では1.6%と想定しているので、長期的には、賃金上昇率を1.6%超える収益率の水準が達成できればいいということになります。また短期的には、財政検証で想定していた値は0.6%で、平成22年度までの実績が2.16%になっていて、これも問題ありません。結果、年金積立金の運用は、平成22年度までの10年間の収益率が1.57%で、累積の収益額が約23兆円プラスになっています。だから今のところ収支の推移は堅調であり、健全であるということなのですね。

 

4.今回の法案は「基礎年金の国庫負担割合2分の1の財源を確保することで年金の長期的な安定を確保する」ということだが、本法案が通れば、それで年金財源が長期的に安定すると国民の皆さんに理解していただいて良いのか?

 

5.「デフレ下の増税は景気をさらに冷え込ませる」という批判に対して、政府としてどう反論するのか?

 

6.年金財政は健全であるのに、現行制度の改善が必要な理由は?

 

7.特例水準(2.5兆円)の解消によって、防貧機能が果たせなくなる可能性があるが、もし特例水準を解消するなら、現行制度の最低保障機能の確保をセットでやるべきではないのか?

(解説)2000年~2002年の間、物価の下落があったにもかかわらず特例で物価スライドを発動しなかった、つまり年金給付を切り下げなかったために、年金の払い過ぎという状態が続いています。それが現在、2.5%、約7兆円に達しています。この特例水準を解消すると、基礎年金給付が2.5%切り下げられて、満額で月額約64,000円になります。これを3年でやるにしても、5年でやるにしても、今年の物価スライドのマイナス分を加味すると、もっと下がることになるんですね。今、基礎年金だけしか受給していない方々の平均受給額は月49,000円です。3万円台の方も多いし、それ以下の方々もいます。年金だけで暮らしている方々が6割に達していて、低年金の方々への影響は大きいです。年金が、老後の安心を保障する機能、防貧機能を果たすものとすると、果たしてその水準で、年金が機能を果たすと言えるか、という大きな問題があります。つまり、もし特例水準を解消するとしても、低所得者(低年金者)への加算など、最低保障機能の強化を合わせて実施しないとダメだと思うのです。

 

8.被用者年金の一元化について、その目的と、共済年金の3階(職域加算)部分の扱いを説明して欲しい。

(解説)現行制度の改善の中で、被用者年金の一元化が検討されています。現行は、民間企業に働く労働者は厚生年金に、公務員や教員の皆さんは共済年金に加入していますが、同じ労働者であるにもかかわらず、保険料額も違えば給付も違って、複雑で分かりにくい形になっています。民主党は、新しい制度で全ての国民が一つの制度に加入することをめざしていますが、まず現行制度の改善の中で、すべての被用者が同じ年金に加入することを実現しようということで、基本的には共済年金加入者を厚生年金に移行して統一することをめざしています。ただ、違う制度を一つにするわけですから課題も多く、特に、現行の共済年金の3階部分、職域加算部分をどうするかという課題があります。平成19年に自公政権下でつくられた一元化法案(平成21年に廃案)では、公的年金の制度としてはこの3階部分を廃止するけれども、新制度の下での新しい3階部分の制度についてセットで提案することになっていました。今回の改善論議でも、ぜひその前提で、今後、財務省、総務省、文部科学省など、関係省庁ともきちんと協議しつつ、最も影響を受ける当事者である公務員の皆さん自身の声も聞きながら成案を得ていくべきだと訴えたわけです。

 

以上、今日の質問の内容と解説でした。ご参考になれば幸いです。現行の年金制度の改善案については、これからいよいよ政府与党内での議論が佳境を迎えることになります。私も皆さんの代表としてしっかりと議論に参加してきます!