石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

チョークとトークからICTへ

2010-09-18 17:00:16 | 活動レポート
既にお伝えしていた通り、先週9月15日(水曜日)の午前中、東京都日野市にある『日野市立 平山小学校』に訪問して、教育現場におけるICTの利活用に関する実態調査を行ってきました。

一緒に訪問したのは、同僚の石井登志郎衆議院議員(兵庫7区)。さらに文部科学省から、板東・生涯学習政策局長や中村・情報教育調査官、日野市から梶野・ICT活用推進室長らが参加しました。そして、受け入れてくれたのは、五十嵐学校長ら平山小学校の素晴らしい教員や生徒の皆さん方。運動会を目前に控えた大変忙しい時期だったにもかかわらず、とっても温かく迎えてくれたばかりか、こちらからの質問にも時間をかけて大変丁寧に答えていただきました。

今回の実態調査で、私が特に注目したかったのは、次の2点です:

1.ICTが子どもの学びにどう生かされるのか
2.ICTが教える側(学校や先生)をどうサポートするのか

最近、「教育におけるICTの利活用推進」が叫ばれていますが、その一方では「ICTは教育を滅ぼす」というような主張も出されています。この問題を理解するためには、実際にICTが利活用されている教育の現場を訪問して、果たしてICTが本当に教育に効果があるのか否か、その辺を見極める一つのステップにしたいというのが今回の主たる目的だったわけです。

さて、実際に見せていただいた授業は、実に多岐にわたりますが、大きく分けると下記の3分野になります:

(1)デジタルコンテンツの効果的な活用(6年生算数、5年生国語、2年生算数、1年生算数)
(2)教科学習における分析ツールとしてのICT活用(5年生算数)
(3)学習の過程を蓄積し、学び合いと振り返り活動(4年生理科)
(4)生徒の個に応じた学習のためのICT活用(2年生算数)

各教室には、電子(デジタル)黒板が設置されていて、これを活用してICT授業を行っています。例えば、デジタルコンテンツの効果的な活用では、Web上で入手可能な無償教材を使って算数の計算や国語の漢字の問題を解いたりします。また、分析ツールとしてのICT活用では、スタディノートという学校教育用のグループウェアを使って、生徒たちがグループで共同作業を行うことによって分析を行います。





特に私たちの興味を引いたのが、2年生の算数の授業。このクラスは、一人一台パソコンのある部屋で、それぞれがパソコンに向かって算数の問題を解いていくのですが、その進捗状況や回答率などがすべて教師のパソコン上でモニター出来るのです。そして、あらかじめ誤答のパターンが組み込まれているので、生徒が間違った回答をすると、それがどういう間違いであったのかが記録され、その子の誤答パターンが記録されるようになっています(例えば、この子はいつも繰り上がりの問題が解けない、とか)。さらに、一つの問題に5分以上かかると、その子の名前が画面上で赤く表示されるので、教師はそのこのところへ行って助けてあげることが出来るようになっています。面白いのは、「授業中、算数の問題に関することは友だち同士でしゃべっても良い」というルールで、出来る子どもが出来ない子どもを助けてあげる光景がそこかしこに見受けられました。

実際、五十嵐校長先生や他の先生方との対話会では、授業の面で「ICTの効果は必ず上がる」という確信に満ちたお答えをいただきました。

子どもたちの学びへのICTの効果については、「個々の学習能力の向上」と「共同作業によるチーム力=つながる力や協調性の向上」という二つの側面があるわけですが、学習能力の向上については、明らかにデータでその成果が表れていました。また、「これまで理解できなかった生徒がいた理科の問題が、ICTの活用によってみんな理解できるようになった」という効果についても説明をいただきました。

共同作業については、その効果を数値で示すことは難しいとか。それは、学習発表会などの場を設けることによって内外に示す努力をされているそうですが、ある先生から「普段、クラスでものが言えずにいた生徒が、ICT授業の中でで自分を表現できるようになった」というお話を聞いて、そういうところにもICTの効果があるんだ、ということを発見しました。

さて、では教える側である学校や先生へのICTの効果はどうなのでしょうか?

この点でも、五十嵐校長先生から「校務の効率化は必ず実現出来る!」という大変力強いお話をいただきました。一番大変なのは導入直後で、最初は仕事量が多くなって苦しいのだとか。しかしそれを乗り越えると、作業量が減って確実に楽になると。「初期段階で3年はかかると思った方がいい」ということでした。先生方のお話では、特に教務主任の仕事が格段に楽になるそうです。これまで全部手作業でやっていた各教科の授業時間数のデータや、出欠などのデータがすべて一瞬で打ち出せてしまう訳ですから、トータルの作業量の減少は馬鹿にならないでしょうね。ただ、せっかく作業量が減少したのに、みんなそれをまたICT教材の作成に使ってしまうのが玉に瑕なのだとか・・・。

さらに、「ICTの導入によって、一部の教員に偏っていた校務の負担が分散化された」という効果もあったそうです。誰もが必ず自分の担当分を自分で処理しなければならないので、みんなが参加するようになり、みんなが知恵を出し合うようになる、と。ICT導入が、学校内での組織強化にもつながっているということなのですね。

このように非常にいい事例を平山小学校で見せていただいた訳ですが、成功の秘訣はやはり「チームプレー」でしょうか。教育のICT化を推進する上では、日野市の行政、議会、教育委員会、学校側、家庭など、多くのプレーヤーの理解と参画が必要です。その条件が見事に合ったのが日野市ということなのでしょうが、中でも、日野市の前・ICT活用推進室長だった五十嵐校長先生の存在が大きかったことは言うまでもありません。その五十嵐校長先生からは、(1)各学校のICT化をサポートするメディアコーディネーターを制度化し、予算を確保すること、(2)より良いICT教材を作成するための教材作成支援制度を作ること、という二つの提案をいただきました。今後の取り組みの中でしっかり検討していきたいと思います。

なお、驚いたことに、私たちの訪問について早速、平山小学校のホームページと、日野市教育委員会のICT活用推進室のホームページで紹介をいただきました。さすが、ICT利活用を積極的に進めている皆さんです。私たちの写真も掲載されていますし、見学した授業の内容も説明されていますので、ぜひご覧ください。また、この日野市教育委員会のICT活用推進室のサイトには、教育のICT化についての有用な情報が満載ですよ。

ということで、今回、とても有意義な視察になったと思います。情報通信というのは、私たちのコミュニケーションを深めるために使うものです。「ICTを使うと、子どもたちのコミュニケーションが弱くなると言うのは間違い。それは単に使い方が間違っているだけ。実際は、ICTが子どもたちのコミュニケーションを高めてくれます」という五十嵐校長先生の言葉が印象的でした。ちなみに、このブログのタイトルになった「チョークとトークからICTへ」というのも、意見交換の中である先生から伺った言葉です。もちろん、今後も引き続き、先生方の熱意溢れる「チョークとトーク」が必要なのは言うまでもありませんし、ICTがそれを置き換えるわけでもありません。むしろ、ICTの利活用が、先生方の「チョークとトーク」を一層引き立てることが出来る、その可能性を実感できた今回の訪問でした!


9月17日(金)のつぶやき

2010-09-18 02:02:55 | 活動レポート
11:58 from Echofon (Re: @55kenken
今、国会が休会中ですので、この時期に可能な限り現場にお邪魔してお話させていただく機会を作っています。ただ、ツイートしているのが各地の訪問話ばかりで、国会内の活動についてあまり触れていないという面もありますね。サイトもご覧ください。@55kenken >支持者巡りばかりのような…
by ishibashi2010 on Twitter