■カタリーナ・コード/ヨルン・リーエル・ホルスト 2020.7.6
『カタリーナ・コード』 を読みました。
面白いミステリでした。
もし、ぼくが「カタリーナ・コード」をTV化したら、その題名はこんなだろうと思う。
「刑事の矜持 刑事の良心か、容疑を疑っている友との友情は可能か?」
面白いミステリでしたが、ヴェスティングとハウゲンとのつき合い方は、どこか気持ち悪い。
ぼくならこんなつき合いが出来るだろうかと疑問を持ってしまう。
警察の捜査でこんなことしていいのか?
未解決誘拐事件の再捜査のために国家犯罪捜査局から派遣されたスティレルの手段を選ばない強引な捜査。
物語だからなのか、ノルウェーの現実なのか。
「カタリーナ・コード」とは二十四年前に行方がわからなくなった女性が残した謎の書き置きのことである。
暗号の専門家でも意味を解読できなかったメモ。
失踪時の状況以外にも、この事件には不可解な点がいくつもあった。長年にわたり幾度となく捜査資料を読み返してきたのはそのせいでもある。たとえばキッチンのテーブルに残された謎の暗号。風変わりな隣人。カタリーナの父親の消息。そして十四本の赤いバラ。
嘘はあらゆる捜査に付きものだ。誰もが嘘をつく。真っ赤な偽りというものは稀だが、大半の人間が、なんらかの形でありのままの真実を告げることを避ける。曖昧にごまかしたり、部分的に黙っていたり、誇張したり、面白おかしく脚色したり、自分に都合が悪いことを隠したりする。さらには記憶が頭から抜け落ちたり、覚え間違いをすることもある。うろ覚えであることを認めず、ほかの人々の記憶をもとにその空白を埋めることも多い。こういった嘘を暴くには、証言の信憑性を判断しうる情報を確保する必要がある。
真実を交えたほうが嘘はつきやすい。
アドリアン・スティレルは身じろぎもせず一同を見据えた。捜査とは戦略ゲームであり、適切に駒を配置し、適切なタイミングでカードを切ることが肝心だと考えている----相手が同僚であろうと。初手はまずまずといったところだ。
----なにかに重くのしかかられ、がんじがらめにされ、思うまま生きられずにいる男。
スティレルはもうひと口ビールを飲んだ。そういう類いの人間をこれまでも目にしてきた。海の底よりも暗い秘密を抱えた者たちを。その秘密を暴くことがスティレルの望みだった。
「故意に殺人を犯す者はごくわずかなんだ」ヴィスティングは続けた。「冷酷非情で狡猾な殺人犯には、ほとんど会ったことがない。人を殺すなどとは夢にも思っていなかったのに、たまたまそうなってしまった人間が大半なんだ。罪を犯す瞬間だって頭がいかれていたわけじゃない。犯行の前後も同じだ。
たいていの場合、自制心や我慢の限界に追い詰められたことが原因なんだ。その結果、自暴自棄になり、あるいは怒りに駆られて、衝動的に殺人を犯してしまう」
「言いたいのは、大きな過ちを犯したとしても、まともな人間ではいられるということなんだ」ヴィスティングはそう言って腰を上げた。「人を傷つけずに生きられる人間なんていない。いいやつか悪いやつか、善良か邪悪かで人間を分けることはできない。どちらか一方ってわけじゃないんだ」
「脅かされたほうは、たいてい飛びすさったり逃げたりする。それが笑えるんだが、なかにはとっさに拳で殴りかかるやつもいる。普通の人間とは頭の反応が違うからだ。十人のうち九人は逃げるほうを選ぶが、残りのひとりは反撃に出る」
人にはみな、胸に秘めた思いを分かちあいたいという欲求がある。
以上、「カタリーナ・コード」このミステリの雰囲気を掴むことが出来ましたか。
『 カタリーナ・コード/ヨルン・リーエル・ホルスト/中谷友紀子訳/小学館 』
『カタリーナ・コード』 を読みました。
面白いミステリでした。
もし、ぼくが「カタリーナ・コード」をTV化したら、その題名はこんなだろうと思う。
「刑事の矜持 刑事の良心か、容疑を疑っている友との友情は可能か?」
面白いミステリでしたが、ヴェスティングとハウゲンとのつき合い方は、どこか気持ち悪い。
ぼくならこんなつき合いが出来るだろうかと疑問を持ってしまう。
警察の捜査でこんなことしていいのか?
未解決誘拐事件の再捜査のために国家犯罪捜査局から派遣されたスティレルの手段を選ばない強引な捜査。
物語だからなのか、ノルウェーの現実なのか。
「カタリーナ・コード」とは二十四年前に行方がわからなくなった女性が残した謎の書き置きのことである。
暗号の専門家でも意味を解読できなかったメモ。
失踪時の状況以外にも、この事件には不可解な点がいくつもあった。長年にわたり幾度となく捜査資料を読み返してきたのはそのせいでもある。たとえばキッチンのテーブルに残された謎の暗号。風変わりな隣人。カタリーナの父親の消息。そして十四本の赤いバラ。
嘘はあらゆる捜査に付きものだ。誰もが嘘をつく。真っ赤な偽りというものは稀だが、大半の人間が、なんらかの形でありのままの真実を告げることを避ける。曖昧にごまかしたり、部分的に黙っていたり、誇張したり、面白おかしく脚色したり、自分に都合が悪いことを隠したりする。さらには記憶が頭から抜け落ちたり、覚え間違いをすることもある。うろ覚えであることを認めず、ほかの人々の記憶をもとにその空白を埋めることも多い。こういった嘘を暴くには、証言の信憑性を判断しうる情報を確保する必要がある。
真実を交えたほうが嘘はつきやすい。
アドリアン・スティレルは身じろぎもせず一同を見据えた。捜査とは戦略ゲームであり、適切に駒を配置し、適切なタイミングでカードを切ることが肝心だと考えている----相手が同僚であろうと。初手はまずまずといったところだ。
----なにかに重くのしかかられ、がんじがらめにされ、思うまま生きられずにいる男。
スティレルはもうひと口ビールを飲んだ。そういう類いの人間をこれまでも目にしてきた。海の底よりも暗い秘密を抱えた者たちを。その秘密を暴くことがスティレルの望みだった。
「故意に殺人を犯す者はごくわずかなんだ」ヴィスティングは続けた。「冷酷非情で狡猾な殺人犯には、ほとんど会ったことがない。人を殺すなどとは夢にも思っていなかったのに、たまたまそうなってしまった人間が大半なんだ。罪を犯す瞬間だって頭がいかれていたわけじゃない。犯行の前後も同じだ。
たいていの場合、自制心や我慢の限界に追い詰められたことが原因なんだ。その結果、自暴自棄になり、あるいは怒りに駆られて、衝動的に殺人を犯してしまう」
「言いたいのは、大きな過ちを犯したとしても、まともな人間ではいられるということなんだ」ヴィスティングはそう言って腰を上げた。「人を傷つけずに生きられる人間なんていない。いいやつか悪いやつか、善良か邪悪かで人間を分けることはできない。どちらか一方ってわけじゃないんだ」
「脅かされたほうは、たいてい飛びすさったり逃げたりする。それが笑えるんだが、なかにはとっさに拳で殴りかかるやつもいる。普通の人間とは頭の反応が違うからだ。十人のうち九人は逃げるほうを選ぶが、残りのひとりは反撃に出る」
人にはみな、胸に秘めた思いを分かちあいたいという欲求がある。
以上、「カタリーナ・コード」このミステリの雰囲気を掴むことが出来ましたか。
『 カタリーナ・コード/ヨルン・リーエル・ホルスト/中谷友紀子訳/小学館 』
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