今週の読書 もう年はとれない／ハケンアニメ！

　今週は、この２冊。

■もう年はとれない／ダニエル・フリードマン　　　20152.14

　『2015年版　このミス』海外編第５位『もう年はとれない』を読みました。
受け答えの言葉が汚い、くえない爺さんガンマンの宝探し、口は達者でも身体がねえ。

　　どうしようもないんじゃない。もう自分で自分の面倒を見られないのよ、それは変えようがないもの。

この年になると、ぼくも身につまされます、本当！
老いは確実に追ってくる。

　ばかにするように、わたしは咳をしてみせた。後悔など、おめでたいやつらのすることだ。世の中は消耗しきった人間でいっぱいだ。公園のベンチにすわってうつろな目で宙をにらんでいる者、老人ホームのロビーの安楽椅子にへたり込んでいる者。だれもかれもがぐだぐだと考えている。とりかえしのつかないあやまち、逃がしたチャンス、しくじった好機について。移り気な女との破れた恋、へそ曲がりの相手とのつぶれた商談について。
　そういうみじめな連中の一人でないことに、わたしは誇りを持っている。どうしようもないからではなく、おもしろいから気むずかしく暮らしている。

　　　妄想は認知症の初期症状........................評・稲塚由美子（ミステリー評論家）

　　　『　もう年はとれない／ダニエル・フリードマン／野口百合子訳／創元推理文庫　』



■ハケンアニメ！／辻村深月　　2015.2.14

　今年の１月に本屋大賞にノミネートされた『ハケンアニメ！』を読みました。
ぼくは、老人であるからか、若い女性の小説は、すう～と読めない向きがあります。
女性作家のミステリーは、特に、この傾向が強いです。
でも、おもしろい「お仕事小説」でした。
この小説は、ぼくが目にしたところでは、大変好評でもあります。
しかし、ぼくには少しばかり、気になったところもありました。
有科香屋子、斎藤瞳、並澤和奈のいずれの女性も職業がちがうだけで、気の使い方や考え方などはっきりとした区別がつきませんでした。
有科さんだけは、壁を殴ったり蹴ったりして、多少凶暴かなと思いましたが。
「ため口」という言葉が、時々顔を出しますが、良い意味で使っているのか悪い意味なのか、どちらなのか気になりました。

　　　辻村深月著 業界の空気、鮮やかに描く..............ハケンアニメ！

　　　『　ハケンアニメ！／辻村深月／マガジンハウス　』