今週は、この2冊。
■ありふれた祈り/ウィリアム・ケント・クルーガー 2015.2.21
アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作の『ありふれた祈り』を読みました。
クルーガーの小説は、これまでコーク・オコナーシリーズで3冊を読みました。
『二度死んだ少女』
『闇の記憶』
『希望の記憶』
いずれの小説も、おもしろかったと記憶しています。
『ありふれた祈り』は、ぼくには暗い印象の物語でした。
一種の青春小説です。
しかし、その少年の成長過程は、死屍累々といった感じなのです。
雰囲気の一端を感じて下さい。
神は他にも約束されました。なによりも重要な約束を。終わりがあるという約束です。わたしたちの苦しみ、悩み、さびしさには終わりがある。そのときわたしたちは神とともにあり、神を知り、それが天国であると知るのです。
「おれにはおれの悪魔がいるんだよ。ドイルにだってドイルの悪魔がいる。」
知ることは知らないことより何倍も悪かった。
知らなければ希望があった。
..........
知ることがもたらすのは死だけだった。アリエルの死、希望の死、そしてはじめはわからなかったなにかの死。ときがたつにつれて、喪失は徐々にその正体を見せはじめた。
「自分であること。それからは逃げられない。なにもかも捨てることはできても、自分であることは捨てられない」
「彼らって?」わたしはたずねた。
「死者だよ。違いはひと息分もない。最後の息を吐けばまた一緒になれる」
余韻たっぷりの家族小説.................文芸評論家 北上次郎
『 ありふれた祈り/ウィリアム・ケント・クルーガー/宇佐川晶子訳/ハヤカワ・ミステリ 』
■本屋さんのダイアナ/柚木麻子 2015.2.21
恵まれた家に生まれたからといって、自分の与えられた環境に満足できるわけではないのかもしれない。
『本屋さんのダイアナ』を読みました。
『ありふれた祈り』が、少年の成長の物語とすれば、この小説は、少女の成長の物語です。
ぼくには、少女の心のうちはよく理解できませんが、楽しく読むことができました。
女の方の作品は、ぼくには読み難い傾向があるのですが、今回は、テンポ良く読みました。
この小説に出てくる少女達の本の読み方がうらやましかった。
ぼくは、若いころから乱読で興味のある本は、片っ端から手を出して系統立てて読むことをしませんでしたから。
このような本の読み方に馴染んでおけば良かったと深く反省しましたが、後の祭りです。
なお、この作品は、本屋大賞にノミネートされています。
柚木さんは、直木賞の発表では、トラブルに見舞われたようです。
前代未聞の大失態とは............サイ女の「文壇ゴシップ劇場」
『 本屋さんのダイアナ/柚木麻子/新潮社 』
■ありふれた祈り/ウィリアム・ケント・クルーガー 2015.2.21
アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作の『ありふれた祈り』を読みました。
クルーガーの小説は、これまでコーク・オコナーシリーズで3冊を読みました。
『二度死んだ少女』
『闇の記憶』
『希望の記憶』
いずれの小説も、おもしろかったと記憶しています。
『ありふれた祈り』は、ぼくには暗い印象の物語でした。
一種の青春小説です。
しかし、その少年の成長過程は、死屍累々といった感じなのです。
雰囲気の一端を感じて下さい。
神は他にも約束されました。なによりも重要な約束を。終わりがあるという約束です。わたしたちの苦しみ、悩み、さびしさには終わりがある。そのときわたしたちは神とともにあり、神を知り、それが天国であると知るのです。
「おれにはおれの悪魔がいるんだよ。ドイルにだってドイルの悪魔がいる。」
知ることは知らないことより何倍も悪かった。
知らなければ希望があった。
..........
知ることがもたらすのは死だけだった。アリエルの死、希望の死、そしてはじめはわからなかったなにかの死。ときがたつにつれて、喪失は徐々にその正体を見せはじめた。
「自分であること。それからは逃げられない。なにもかも捨てることはできても、自分であることは捨てられない」
「彼らって?」わたしはたずねた。
「死者だよ。違いはひと息分もない。最後の息を吐けばまた一緒になれる」
余韻たっぷりの家族小説.................文芸評論家 北上次郎
『 ありふれた祈り/ウィリアム・ケント・クルーガー/宇佐川晶子訳/ハヤカワ・ミステリ 』
■本屋さんのダイアナ/柚木麻子 2015.2.21
恵まれた家に生まれたからといって、自分の与えられた環境に満足できるわけではないのかもしれない。
『本屋さんのダイアナ』を読みました。
『ありふれた祈り』が、少年の成長の物語とすれば、この小説は、少女の成長の物語です。
ぼくには、少女の心のうちはよく理解できませんが、楽しく読むことができました。
女の方の作品は、ぼくには読み難い傾向があるのですが、今回は、テンポ良く読みました。
この小説に出てくる少女達の本の読み方がうらやましかった。
ぼくは、若いころから乱読で興味のある本は、片っ端から手を出して系統立てて読むことをしませんでしたから。
このような本の読み方に馴染んでおけば良かったと深く反省しましたが、後の祭りです。
なお、この作品は、本屋大賞にノミネートされています。
柚木さんは、直木賞の発表では、トラブルに見舞われたようです。
前代未聞の大失態とは............サイ女の「文壇ゴシップ劇場」
『 本屋さんのダイアナ/柚木麻子/新潮社 』