お手伝いさんが風邪を引いて病院に連れて行った

アパートの部屋から守衛所までは３，４分は歩かなければならなかったし
守衛所から近くのマーケットやバス通りまでは歩いて２０分も有るから
日中あの日差しの中を好んで歩けるものではなかった
なにせ道は舗装されていたけれど工場建設が盛んだったから
アパートは有っても周りの環境は整備まで手が回らなかったのか
それとも入居者が少なくて資金不足だったのかいずれにしても
そんなところを歩くことは地元の人もアパート住人でも滅多にいなかった

お手伝いさんが風邪で熱出して
唸っているのを黙って見ている訳にいかないから
車を運転して病院に連れて行った
現地の運転免許証など持っていなかったから
捕まれば袖の下覚悟でありました
右側通行は日本と一緒でも信号機は
掘立柱にちょこんと付いているよう物で目立たないし
右折優先なのか勝手に曲がってくるし
そんなことが有ってから休みの日でも
ドライバーを出勤させることにしたのです

病院の受付でいろいろと書かされたというより
聞き取られたのを書いてもらって
それも多分こう聞かれたのだろうと言った事を
勝手に答えて後でそれで良かったのかと思ったり
受け付けてくれたのだからと納得したのです
日本人だったからかもしれません
別の機会にＸＸ人かと聞かれたときに
ドライバーが日本人だと声を大きくして言ったり
日本人で良かったと思うことは結構有ったのです

そんな訳で食事はなるたけ同じものを食べる様にした
なんだかちょくちょく風邪を引く様な気がしたし
ひとりで食べるのは侘びしかったし
好みの味にするには食べさせるのが一番だと思ったのです


豚肉は滅多に食べられなかった
牛は硬かった
鶏肉が主だったね
やぎは脂ぎってた

バラバラはかき揚げてんぷら

あおい唐辛子をほんの少しだけかじって
バラバラをほうばるのです
新聞紙の上に山盛りにして唐辛子を添えたのを買うのです
どこで売っているかと言えば引き売りで
ちょうどディズニーランドの
ポップコーンの売り方に似ているのです

あれを３か４個も食べれば朝飯の代わりになって
しかも唐辛子のこれでもかという辛さが刺激になって
さあやるぞという気になったものです
もちろん仕事を

味の素がたっぷり入っていたのです
具は玉ねぎでしたが
食感はカラッというよりもねっとりでしょうか
料理屋のてんぷらというより家庭のてんぷらでありました


食い物の記憶というか味の記憶は
しっかりと残るもので今でも食べたいと思うのですが
記憶には土の匂いとか陽の強さとかいろんなものが
ごちゃ混ぜになって味をデフォルメする様です

土地で食べるのが最高なのです