保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

お盆特別企画、保津川にまつわる「不思議はなし」

2011-08-13 17:44:56 | スピリチュアル
日本は今日からお盆休暇に突入ですね!

保津川下りも昨日の混雑予報が的中して、なんと106隻の船が保津峡を
流れて行くという大盛況、この夏一番の大入りを発令いたしました。

さて、話は変わって、お盆といえば「お精霊」がお帰りになる日々。
そこで今日は、保津峡にまつわる「不思議はなし」を一つご紹介したいと思います。

保津川が流れる亀岡の農村に貧しい母娘がいました。
父親は長い闘病生活の上、亡くなり、その医療費等で借金を抱え
農家の日雇い仕事で細々と暮らす日々。

しかし、娘は近隣の村々にもきこえて美女で、求婚を求める男性が
あとを絶ちません。
ある日、大地主の息子が求婚を願いにやってきた。
母娘が借りていた医療代も肩代わりし、母親のために家を建てて老後の
暮らしも保障するという好条件を出してきた。

心が動いた母娘はこの申し出を受け入れ、婚約をした。

母親は娘に婚礼衣装で恥をかかせてはいけないと、京都市内中の
古着屋を回り、値ごろで見栄えのいい振袖を手に入れた。
長襦袢は自らの手で縫ってやった。

そして婚礼の日、花嫁衣裳の娘は運悪く道中激しい雷雨にあう。
何とか乾かせて挙式は終えたものの、お色直しで振袖を脱ごうとすると
縫い目がピリピリと音をたてて裂け、純白の長襦袢には振袖の染が
べっとり染みついていた。
母親は「劣悪品」をつかまされたのであった。
地主の親族たちは驚き、口々に話だし、あからさまな軽蔑のまなざし
を向けたことだろう。

新郎にも大恥をかかせる結果となった。

十日後、赤いしごきでつなぎ合った母娘の遺骸が嵐山の橋のたもとに
上がった。振袖は、亀岡近くの保津川の岩にたたんで置かれていた。
その上には「狐の嫁入り」と書いた紙が二足の女下駄で押えてあったという。

この話は後日談がある。
母娘の供養のためにと、村人がこの振袖を屏風に仕立ててもらおうと
上御霊神社近くの表具屋へ持ち込んだが、その二人はほどなく死に、
あと一人は行方不明となったという。

そして、京都の人に聞くと、上御霊神社の近くにはそんな「表具屋」は
存在しないというのだ・・・


保津川の激しい流れが岩を噛む姿を眺めていると、赤いしごきでつなぎ合いながら
入水した貧しい哀れな母娘が、そこから立ち現れてきそうな気がする・・・かも・・・


これのお話は劇作家の田中澄江さん作「雨にぬれた振袖」から。


この話に限らず、保津川の歴史の中には、このような不思議な話や
哀しい話がたくさんあります。

次回も続けて「保津川の不思議はなし」について紹介したいと思います。


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