保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

船頭に誇りを!冬の保津川下りの可能性を探る・・・

2007-12-14 23:04:56 | 船頭の目・・・雑感・雑記
「冬でも川下りやってるの?」
「船頭さんは冬の間どうして生活しているの?」

この時期になると決まって受ける質問です。

どうも保津川下りは、春から秋までの気候の温暖な
時期だけのレジャーで、冬は営業を休止している
ようなイメージをお持ちの方が多い様です。

私のブログでも毎年この時期になると、冬季船の
紹介と案内をさせて頂いておりますが、まだまだ
力不足か、冬の営業はなかなか浸透していないのが
現実なのです。
乗船場も秋の混雑がウソの様に、静かになります。

船の流船数も著しく減り、それに伴い私達船頭の仕事日数も
比例して減少します。そのため多くの仲間が他業種へ職を
求めて働きに出かけることを余儀なくされます。

株式会社の様な雇用契約などは無縁の企業組合という
経営システムに起因するのですが、冬の時期の安定収入を
確保し生活基盤を守る為には致し方ない選択で、
若手を中心に多くの船頭がこの時期、一時
船を離れざる終えません。

私は毎年、冬になると忸怩たる思いにかられます。

年中通して就労できない職場が、どうして社会的に
信用ある職場といえるのか?
そしてなにより就労する我々自身がこの船頭という
仕事に誇りを持ち得ることが出来ようか?

「所詮、船頭なんて冬にはひぼしあがる家業?」
「人様に胸張って自慢できる職業ではない!」
「遊船の為に懸命に汗を流しても無駄~、それより
毎年冬の仕事を探し確保することが第一!」という
精神構造になるのも致し方ないことなのかもしれません。

このような雰囲気が職場全体に蔓延する事が、組合全体の
正常な発展を疎外する要因として根底に潜んでいることは
否定できない事実だと感じます。

私とて、その状況から逃れられない場所に立つ同じ船頭。

でも私は思う!
船頭は生涯、船頭として飯を食わねばならないと!

そのためには、今一度冬の保津峡、保津川の魅力を真剣に
研究し、冬しか味わう事のできない保津川の楽しみ方を
自らの手で創造し、プロデュースする努力を怠っては
ならないと思っている。

自然は生きものです。春になると葉が芽生え、花が咲き、
秋に紅葉で彩られ落葉となる。
それは自然の‘いのち’が演出する究極の‘美’世界です。

でも!それだけが自然のよさでは断じてありません!

葉が落ち、枝だけになる木々。躍動感に溢れ華やかに彩られた
山々は静かに眠りの時を迎え、渓谷一帯に静寂の世界が広がる。
寒さで凛と張り詰めた空気の中、櫂を漕ぐ音だけが深い渓谷に響く。
日常の喧騒とはかけ離れた、冬の保津川が見せる、飾ることの
ない、ありのままの自然がそこにあります。

保津川の大きな魅力はありのままの‘自然の姿’。

冬の自然の姿の中に「保津川の冬」の可能性を強く感じます。


*冬季船は屋根にビニールが張られ、スライドドアの
 付いたた暖房船です。
 雨が降ろうと雪が降ろうと外気からは一切シャットアウト
 されるポカポカ船です。
 その点ではシーズン中の雨降用の船よりよほどいい待遇です。
*この冬季船は3月10日まで運航します。
 中は土足厳禁なので、お乗りの際は靴を脱いで
 乗船してください。
*営業時間にも変更があります。
 最終船が2時30分に繰り上げられますのご注意下さい。
 定期船の時間も10時、11時30分、1時、2時30分です。