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保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

嵐山の桜が花開く。なぜ日本人は桜に魅せられるのか?

2011-04-02 23:00:18 | 船頭の目・・・雑感・雑記
今日、嵐山の桜が咲きました。

長く厳しかった冬も去り、待ちに待った‘春’のおとずれです。

‘春’と‘桜’ほど、私たち日本人の心にさまざまな感情を湧き出させ
迫ってくる季節と花はない。

保津の渓谷を縫い、激しい荒波を越えて、やっとたどり着いた嵐山でみる桜。
厳しい冬の寒さに耐えた者の心に、雲の隙間から差し込む日光のようにも感じます。

折り重なり切立つた山が低くなり、空が広がる。開けた視界のその先には
薄紅色した桜の花が咲き誇り出迎えてくれます。

「一体いつ咲いたのだろう?」まさに一夜にして開花したのです。

「やはりここは‘天下の名勝’嵐山」みごとな桜です。

雅やかさに華やかさをくわえた嵐山の桜は、風雅な京都の春の趣を感じさせます。

このまぶしいばかりの華やかさはまさに‘いのち’そのものです。

「生きている」という輝きです。

そしてそれは、散りゆくものの宿命を背負うがゆえに光り輝く。

‘咲くこと’と‘散るこ’とが一体をなす花、桜は、みる人の心により映る輝きも異なる。

華やかさの中に憐れみと儚さを内在することで、美しさを際立たせる不思議な花・桜。

みる人の心を投影することで、より迫力を持って迫り、愛される花。


わびさびの中に独自の死生観を見出そうとした先人の心が伝わってきます。

けして西欧伝来のヒュマーニズムではない、この国独自の文化風土で培われてきた
死生観を桜に投影した先人の‘思い’に心をよせて、今年の桜を愛でたいと思います。

皆様は今年の桜に何を思い、何を投影してご覧になられるだろうか?


今こそ、音楽の力を!唇に歌を!

2011-03-23 23:35:14 | 船頭の目・・・雑感・雑記

大震災から13日が経過した。

連日、映像や文字で送られてくる、被災地の現状はどれも過酷で厳しいものばかり。

いまだ余談を許さない原発の状況も心配で、なかなか希望の光が見つけられない。

そんな状況のなか、後手後手続きの東電の対応や、政府の被災地や避難所への

不手際に国民の非難が集中してきている。

無慈悲とも思える自然がもたらした未曾有の大災害だ。

誰かやどこかに不満や責任を持っていきたくなる気持ちはよく理解できる。

しかし、今は、責任の追及より、これからを考えるとき。

みんな一丸となって協力し手をつなぎ合うときではないか。

 

キング・オブ・ポップの称号を受けるマイケル・ジャクソンが、26年前

アフリカの飢餓と貧困を救済するために制作した曲「We Are the World」

2010年に発生したハイチ大地震の時、世界中のアーチストが集結して

被災地の人々を励ますために「We Are The World 25 For Haiti 」をリメイクした。

世界中を‘愛’で癒し、もっと幸せな世界の建設を夢みた

マイケルの意思が確かに引き継がれていると感じられる曲だ。

歌詞は訴える。

♪  今こそ、あの声に耳を傾けるのだ。今こそ世界が一つになるときだ

   死んでいく人がいる。命のために手を貸す時がきた。

   それはあらゆるもの中で最高のもの。

   選ぶのは君だ。自分の命を救うために。

   僕らは世界の仲間 同じ神の子供たちだ。

   さあ、今こそはじめよう!。

   明るい未来をつくるのは僕らのつとめ。

   住みよい世界をつくるのさ、君と僕で。 ♪

http://www.youtube.com/watch?v=VhD6tuz_9uY&feature=related

We Are The World 25 For Haiti 」

まさに、今こそ、その時だ。いがみ合い、批判し合っている時ではない。

こんな時だからこそ、唇に歌を奏でよう。

左右の人たちと手をつなぎ、声高らかに‘愛’を歌い上げよう。

音楽には測り知れない、もの凄い力があると思う。

世界を素敵なメロディーと、愛にあふれるメッセージで満たそう。

http://www.youtube.com/watch?v=sZftrElZxuY&feature=related  

 「Heal the world 」

マイケルはいう。

‘私たちは愛することをあきらめてはいけない。与え続けることをあきらめてはいけない。

 世界は僕ら自身だから、世界を癒そう、訴え続けよう。

  希望を持とう、希望を持たなければ僕らは道を見失う。

 そして、希望も持ってすれば 世界はひとつになれる。

 

  Lets make that change!   come on! Lets sing a song!

 

 

 


遠くへいるあなたへ、今いえることは・・・

2011-03-22 17:31:03 | 船頭の目・・・雑感・雑記

昨夜、古い友人から一通のメールが届く。

今も変わらない、彼らしい熱い心情をしたためたメールだった。

すでに、震災地へ物資支援のため、数回も往復しているとのこと。

報道では伝えきれない、厳しくも悲しい現実がしたためてあった。

この春に家族を持つ彼。

「俺を待っている人たちがいるから、何度でも行く」と。

「被災者の人たちの笑顔をみたら、また、戻らずにいられない」とも。

やむにやまれぬ心情の発露が吹き出し、彼を突き動かす。

「天に祈った限りは、次に実働を起こさねば!」

自らの生活を顧みない。これが彼のできることだという。

がんばれ。

彼の心情が私の心もを激しくゆさぶり、突き動かす。

「俺も時旬きたれば必ず、あとに続く」

そのときまでは、この歌を口ずさみながら、かの地へ想いを寄せる・・・


♪ 誰かを通して 何かを通して 想いはつながっていくのでしょう
 
  遠くにいるあなたに 今言えるのはそれだけ
 
  悲しい昨日が 涙の向こうで いつか微笑みに変わったら

  人を好きに もっと好きになれるから がんばらなくていいよ
  
  今を好きに、もっと好きになれるから あわてなくていいよ  ♪

Bank Band with Salyu の「to U」。

http://www.youtube.com/watch?v=_cJ8_WYQ2_0



どんなに険しく、苦しくても、私たちは希望を持とう!

希望を持たなくては 私たちは道を見失う・・・

 by Michael Jackson


今、自分にできること・・・

2011-03-17 22:12:40 | 船頭の目・・・雑感・雑記
春が近いというのに、時折、粉雪が舞う寒い一日だった保津川。

こんな天候にもかかわらず、毎時間ごと、お客様がお越しくださいます。
「感謝!」という言葉以外見つからない。
この気持ちは、仕事のサービスでお返ししなければプロではない。
舟が嵐山に到着するまで、内容の濃い説明とすべることのない(?)
ギャグで盛り上げ、笑顔の絶えない川下りを演出して満足感を味わっていただく。

今、東日本では未曽有の大惨事に見舞われ、ご苦労されているというのに
自分はここで、楽しく笑いながら川下りを演出していていいのか?
自問したりもする・・・

しかし、わずかの援助以外、祈ることしかできない身である自分に
今すぐ、なにができるわけではない。

多くの有志や友が代わりにがんばってくれている。
彼らの熱い気持ちを心とし、自分は今、自分ができることを精一杯するだけ。

それは目の前におられるお客様に生涯忘れることのできないほどの
楽しい川下りのひと時を提供し、満足して帰っていただくこと。

みんなが心を痛めている。傷ついている。でも、沈んでいる時ではない!

生きたくても生きることができなかった人がいる。
夢をかなえることなく逝った人がいる。
そんな人たちの分も、精一杯生きていかないければ、申し訳がない。

今、生きているという喜び、愛する人たちとともに過ごせること、
こんな当たり前のことが当たり前でない、幸せな時間であることを感謝して
一日一日を大切に、明るく、元気に喜びいっぱいで過ごそう。


東日本が苦しんでいるのなら、西日本が一丸となって盛り上げて、
苦難を耐えている同じこの国の仲間を支えていこう!

心を倒しているときではない。私たちが活力を取り戻し、
支えていけるだけの力を持とう。

私たち、西日本の人々が頑張って経済力を維持していかねば、同情だけでは
現実として、苦難の中を懸命に生きる仲間を助けることはできない。

そのために私は働く。仕事をする。

今、自分にできること・・・そこに答えがある・・・と思う。





今、心にたすけあいの金字塔を築く時。

2011-03-14 23:06:22 | 船頭の目・・・雑感・雑記
旧約聖書「創世記」によると古代メソポタミアのバビロニア人は
中心地都市のバビロンに、天にもとどくような巨大な塔・バベルの塔
を建設し、神の権威に挑んだ。
慢心した人間に神は怒り、言語をバラバラにし、塔は崩壊したという。


東北地方を中心に甚大な被害を及ぼした「東日本大震災」

観測史上類のない世界最大級のマグニチュード9.0を記録した
地震は大津波を発生させ、東北太平洋岸各地ののどかな港町を
飲み込み、かけがえなのない多くの‘いのち’と街並みの
すべてを奪い去った。

原子力やインフラなど、世界最先端に高度化した我が国の近代科学文明を
あざ笑うかのように‘自然の猛威’が襲いかかる姿にバベルの塔とみる思いだ。

太古の昔から今日まで、人類は悠久の歴史の中で英知を結集して
文明を発展させ、豊かになることを追求してきた。
しかし、自然の力の前では、現代人とて、古代人の頃と何ら変わることがない。
なすすべもなく、無力であり、祈るしかできない存在であると思い知らされる。

人間をはじめ、いのちある生き物すべては、今も昔も変わることなく
この大地に住まわせて貰っているだけで、自身の「所有」などありはしない。
我々人間は、この地球を、自然をただ借りているだけ、
つまり‘レンタル’しているだけに過ぎない。しかも無償で。

人間が生きるために必要なものは、すべて自然からの恵みであり、
自然に生かされている弱いお互いだからこそ、ひとは謙虚に力を合わせて、
たすけ合わなくては生きていけない。

成功も、虚栄も、所有もただただ、いのちの舞台の上で演じられる
‘芝居’にすぎない。どんな素晴らしい芝居もいつかは終焉を迎える。

本当に大切なのことは、いのちがつながっていくこと。

原子の力すら自由にできる知恵と技術を得たと慢心したわけではないが、
物質的繁栄という‘芝居’を演じるための代償は思いのほか大きい。


近代科学文明は、人類がお互いを‘愛’するために、助け合い、与えあうために、
そして‘いのち’の尊厳を世界へ伝え、心をひとつにすることに活かされることで、光輝く。


我々は人類は、無力な存在であるが、古代人にはない、
文明の進歩とともに発展した‘心’の進歩があるはず。

心に築き上げた‘バベルの塔’はけして崩れることはない。
そう信じて、今、英知を結集して、とにに乗り越えていこう。




青山繁晴さんの講演会で考えたこと・・・

2011-01-18 23:11:29 | 船頭の目・・・雑感・雑記
国家安全保障の専門家で有名な青山繁晴・独立総合研究所所長の講演会が13日、
京都府福知山市のホテルで開催され、私も聴講して参りました。

亀岡市から車を飛ばして約1時間30分の福知山市。
向かったのは、遊船の同僚・森田孝義さんと弟で船頭の豊田覚司、そして私の3名。
いずれも、青山さんに厚い信頼を置き、祖国への熱い思いを抱く同志。

青山さんは共同通信社の記者から某シンクタンク研究員を経て、日本で初ともいえる
経済界の影響下にない独立したシンクタンクを主宰され、世界各国の中枢人脈とも
つながる独自の情報網を駆使して、国防から政局に至るまで緻密で正確なアナライザー
として活躍されている、私はっちんがもっとも信頼している方なのです。

講演会では第二次管内閣の実状や大きく方向転換を切る世界経済と日本の今後、
また拉致被害者情報でのショッキングな内容など、公共のメディアでは
けっして話せないきわどい話も多く聞かせていただきました。

でも、私が一番心に残ったのは第二次大戦の沖縄で若い命を落とした
女看護隊・白梅の塔のお話と硫黄島で戦った普通の市民だった英霊方のこと。

今なら中学生くらいの女の子たちが戦火で負傷した人々を懸命に看護し、
最後は恋も知らない若さで自らいのちを絶った悲劇。
未だ、冷たいコンクリートの滑走路の下に埋められて、帰れない遺骨。
僅か66年前だというのに、忘れられようとする記憶。
我々日本人が知り、後世に伝えていかねばならない
事実であり、強い痛みで胸が締め付けられました。


今年中には尖閣諸島に中国系の団体が大挙して上陸し、事実上の実行支配をする
ともいわれています。
そして、いずれ、沖縄をも支配下に入れるべく巧妙な作戦行動が取られることでしょう。

その時、私達、日本人はもう二度と沖縄や領土を見捨てるようなことがあってはならない。
涙を流しながら話す青山さんの心からの叫びに、大きくうなずくのでした。


経済と軍事力を背景に、ニューモデルの帝国主義を東アジアやアフリカ大陸で展開して
いる中国と、国の主人公は「国民」なのだという民主主義を貫く日本型の世界観の
どちらを世界は選択するのでしょうか?

しかし実状は、尖閣問題で経済界の圧力に屈した今の日本。

偽 iPadの部品を平気で某国に売り渡す日本。

お金至上主義が蔓延し、自分さえよければいい、勝てばいいという
経済回復のためなら何をしてもいいという、荒んだ思考に疑問を感じなく
なり、国民皆が汚染された日本。
初等、中等教育で最も教えなければならない社会的良心である
「お金より大事なものがある」ということすら教えず、
実学という名のもとに株や投資までを子どもに教えている日本。

美しい田園、山、川は切り取られていき、日本の誇るべき国柄と
精神・モラルがどんどん崩壊していっています。

お金至上主義の欲は、それを冷静沈着に見定め、巧みに操る者の手によって
簡単に利用され、取り返しの付かない方向へと導かれはしないか?
気が付いた時には、自由な発言や表現すら許されない、国家統制下の
暗黒の時代を生きなければいけないことになりやしないか?

子どもたちへ、自由で希望の持てる国を残していかねばならい。
そのために自分は何ができるのか?

様々なことを自問自答しながら、暗い夜の帳を眺めながら帰路に付いたのです。

「日本よい国」・・・保津川がある風景。

2010-12-11 22:43:05 | 船頭の目・・・雑感・雑記

「日本よい国」

『春があって夏があって、秋があって冬があって、日本はよい国である。
 自然だけではない。風土だけではない。長い歴史に育まれた
 数多くの精神的遺産がある。その上に、天与のすぐれた国民的素質。
 勤勉にして誠実な国民性。
 日本はよい国である。こんなよい国は、世界にもあまりない。
 だから、この国をさらによくして、みんなが仲良く、身も心も
 ゆたかに暮らしたい。
 よいものがあっても、そのよさを知らなければ、それは無きに等しい。
 もう一度この国のよさを見直してみたい。
 そして日本人としての誇りを、おたがいに持ち直してみたい。
 考え直してみたい。』

この文章は「Panasonic」松下電器工業の初代社長・松下幸之助氏が
生前にの残された文章です。

松下氏が生前、社会に奉仕する企業理念の自己実現活動として進めて
こられたPHP研究所に事務局があるNPO法人武士道協会に
行った時に教えていただいたのがこの文章でした。

この文章を読んだ時、わたしは自分の仕事場である保津川と峡谷の
自然の風景と伝統ある歴史をすぐに思い浮かべました。

美しい四季折々の自然の移ろい、朝日に照らされ輝く保津川の奔流、
400年以上の長い歴史を蓄積とそこに生きてきた船頭の生きざま
など、なんと素晴らしい自然と伝統に恵まれた場所で仕事をしているのか。

散りゆくもみじ葉のなんと儚くも美しいことか・・・

寒風吹く川面に舟を浮かべ、もくもくと舟を漕ぐ船頭の姿・・・

日本風土の素晴らしさも、日本人のしての国民的素質も、
ここ保津川には凝縮され、具現化されている。

保津川のような所が無数に存在する日本。

松下幸之助さんが仰った「よき国」は確かに今、私の目の前にある。

「よき国」の風情をかもし出す‘初冬の保津川’を是非、ご堪能ください。

船頭の竿を直し続けた、桜木の最後に思う・・・

2010-12-10 23:25:29 | 船頭の目・・・雑感・雑記
保津川下り乗船場堤防敷きに設置している船頭休憩所横の桜の木が
先日、腐食が著しいことから切り倒されました。

毎年、桜の季節になると鮮やかな花を咲かせ、訪れる人の目を和ませてくれた
この木は、船頭たちにとっても、別の意味で思い入れがある桜なのです。

保津川の船頭が使う竿。
この竿の曲がりを直す為に、使用されてきたのがこの桜の木なのです。

保津川の船頭が使う竿は真竹材。
竹やぶから切り出された時は、節から微妙に屈折しており、
真っ直ぐな竹などほとんどありません。
そのいがんだ竹の節を火で炙り、熱した後、即に節を木の又にかまし、
テコの要領で、曲がりと逆方向へ曲げるのです。

すると、今までいがんでいた節は真っ直ぐの竿に変身のです。

直した後の竿は、いがみがないので握る手も安定し、よい仕事できるのです。
職人がいい仕事をする為には、いい道具が必要です。
船頭も同じ。いい仕事をしようと思えば、いい竿を持たねばならないのです。

この‘いい竿’に直す為に、先日切り倒された桜の木が、長年に渡り
多大な貢献を果たしてきたのだ。

テコになる木の又には、長年船頭衆が、炙った節を当て続けた為、
黒く焼け焦げていました。

歴代の船頭が竿を直した桜の木。

腐食し倒木の危険はあるのかもしれませんが、これも残しておけば
保津川下り船頭の民俗歴史を現存する文化材として貴重になる時が
あったやもしれないと思うのは私だけでしょうか?
残念でありません。
腐食が進んだのも、私たち船頭が焼けた竿を押し当て続けてことに
起因しているともいえるので、桜の木が気の毒に感じられました。

私が嵐山まで下っている僅か1時間45分の間で、この桜の木は
切り倒されてしまったようです。

僅か2時間弱、保津川船頭と長年一緒に育んだ桜の木が切り倒された
時間としては、あまりにも短く、儚いものに感じました。

この堤防敷きの桜たちは、当初、来年からの河川改修工事における堤防嵩上げ工事
により、切り倒されることが、決められていたのですが、我々船頭の熱い懇願に
より、移植等の作業で生き残れることとなりました。
その流れは嬉しくありがたいことですが、一番、船頭生活に貢献した
休憩所横の桜は生き残れなかったことは、誠にもって残念至極に思います。


伝統というものは、作り上げるのには気が遠くなりそうな、膨大な時間を要しますが、
壊すのは簡単なものです。しかし、一度壊せばもう二度と戻らないのも、それが伝統です。

我々、保津川の舟下りも、長い時間と多くの先人たちの汗と涙、知恵により
400年以上の歴史と伝統を有している訳ですが、今まさに大きな変革期を
迎えようとしているこの時、時代にそぐわないことや古きものを
すべて不要なものとして破壊することの危うさを、この桜の木が身を呈して
教えてくれたのではないかと思えてならないのです。

‘死は終局を意味しない’

この桜の種が、保津峡のどこかに飛び、芽を吹き‘いのち’を
つないでいくことを信じて、感謝を述べておきたいと思うのです。

※今年、最後の開花となった休憩所横の桜木

‘おこしやす’‘おもてなし’の言葉から導きだす観光立国・日本。

2010-11-29 17:09:53 | 船頭の目・・・雑感・雑記
京都観光をイメージするものに京都人が話す「京ことば」があります。
その代表的な言葉として思い出されるのは「おこしやす」というお招きの言葉です。
でもこの「おこしやす」といういう言葉にはとても深い意味があることを、
ある講演会で教えていただきました。
講師の先生によると同じお迎えする意味の言葉でも「おこしやすとおいでやす」とは、
明らかに思い入れが異なり、使い分けられているというのです。

「おこしやす」の‘こす’というのがとても重要なワードで、漢字に直すと‘越す’と書き、
実は「県境を越えて京都へ来てください」というお誘いの意味と
来ていただいた「感謝の気持ち」でお迎えする言葉だというのです。
三方を山に囲まれている盆地の京都には、多くの人が険しい谷坂の山道を越えて
他所から遠路はるばるお越しなられます。

京都市内から来る人には「おこしやす」とは言わずに「おいでやす」と言うことから
「おこしやす」が他所から来られた方々に向けられた言葉であることがわかります。

「境を越えて来て下さい」・・・さまざまなイマジネーションが広がる深い言葉ですね。
‘越える’という言葉には、生まれ育った土地・環境を離れ、自分自身の心の垣根までも
越えて、新天地を見るという心の向きを表し、今までの自分を越えて
新たな自分を見つけ出す旅ともいえます。
そして、それぞれがバラバラではなく、垣根、枠を越えて‘つながる’ことの大切さまで
示唆しているように感じるのです。

これまでの固定概念に囚われず、広い視野を持ち、異人種や異文化を迎え入れる心の向きを
「おもてなし」の心の言葉としてあらわしたもの。それが「おこしやす」なのかもしれません。

この「おもてなし」という言葉。これも深い意味がありそうです。

「思って・・・なす」がおもてなし。つまり相手のことを思って行なうことです。
大切なことは「思っている」だけではダメというところ。
実際に心に思っていることを行動に表して実践すること、
これが「おもてなし」の言葉の重要ポイントだと思うわけです。

固定概念や既成概念に囚われず、越境した人とつながり、相手のことを思った活動する。
この二つの言葉に込められた精神こそ、これからの日本観光の核となるものだと
感じのは私だけではないでしょう。

現在、日本では長引く経済不況と新たなグローバル化の嵐の中、国家再生を賭け
観光事業に大きな注目が集まっています。
2003年から、我が国では、外国人旅行者の訪日促進活動として「ビジット・ジャパン・キャンペーン」
を展開しており、今年年間1000万人の外国人が訪日することを目標としています。

しかしながら、昨年は同じアジアの韓国とシンガポールに抜かれ、観光客総数で
世界33位に甘んじるという現実にぶつかっているのです。

日本の観光業が世界へ伍して戦っていく最大の武器、それは景観や伝統・文化財だけではなく、
この京ことばに込められた「おもてなしの精神」ではないか。
事実、今、中国から来られる観光客の方が、日本を発つとき必ず言われることが
日本人の親切心と相手のことを思い行動する姿に感動した」というコメントです。

日本観光が世界へPRする最大の武器こそ、この世界に類をみない
相手を思う‘心’と‘行い’という精神性ではないかと感じています。
観光都市としての歴史を有し日本を牽引してきた京都が生み出した
「おこしやす」と「おもてなし」の言葉。
この言葉の意味をしっかり胸に治めて、我々観光業に携わる者は
真剣に心を尽くし、実践していく行動が求められています。

そしていつか日本がフランスやイタリアを抜き、世界一魅力のある国として注目される
そんな‘夢’を現実のものとできる秘訣が隠れていることをこの講演会を聴いて感じた次第です。

観光はなにも観光業者だけのものではないです。
国民ひとりひとりが「まだまだ日本は倒れないぞ!」という高い志を持ち、
アジアで真っ先に近代化に成功した明治から昭和の高度成長時代までの
世界を駆け回った自信と誇りに満ち溢れた日本人の心を甦らせ、
下を向くことなく、目線をあげて、イタリア、フランス、スペイン、中国に
負けない世界一の魅力のある観光立国を創ろうではありませんか




奄美大島に台風14号が接近・・・自然はかくも無常なり・・・

2010-10-28 12:02:05 | 船頭の目・・・雑感・雑記
先週、記録的な大雨が降り、甚大な被害に見舞われた奄美大島に台風14号が近づいている。

冬を思わすほどの寒さなのに台風なんて!!しかも、またしても奄美に・・・

この台風14号は、今、沖縄の南の海上を北上しており、中心付近の最大風速は45メートル。
非常に強い勢力の台風となって向かっているのだ。

もうすでに、沖縄県の大部分と奄美大島の南部が風速15メートル以上の強風域に入っている。
川で仕事をする我々船頭にとって風速15メートルがどれぐらい強い風が
吹いているのかは、経験から理解できる。まさに前へ歩くことが困難なくらいの強さだ。

台風はこれから北上を続け、29日明け方から昼過ぎにかけて沖縄地方に最も近づく
見込みで、先日の大雨で地盤が緩んでいる奄美大島では、土砂崩れや河川の氾濫などの
さらなる被害が出てくるのではと住民の間に不安が広がっている。

奄美大島・・・青く澄んだ海と広い海岸が広がる美しい島だ。
私も5年前、遊船の旅行で訪れた思い出の地でもある。

上に貼り付けた写真は奄美の海岸から見た風景だ。
美味しい海の幸、人懐っこい島の人たち、そして、スキュバーダイビングで潜ったときに
みた色とりどりの美しい珊瑚たち。どれも奄美の自然を満喫した心踊る、楽しい旅だった。

その奄美が今、大変な事態となっている。しかも追い討ちをかけるように、
凄い勢力を持つ台風が近づいているなんて・・・
住民の多くが、まだ避難所生活を余儀なくされ、家へ帰れていない。
「もう、どうしていいかわからない・・・」ともらす初老の男性。
おそらく多くの住民が同じ気持ちでいることだろう。

自然はどうして、こうも無常なのだろう。・・・

いくら科学が発達しても、人は自然によって生かされていることは絶対の事実。
牙をむく自然の猛威は、そのことを人間に理解さるかのごとく厳しい。
しかし、反面、豊穣と癒しを恵む、親なる存在であることもまた事実。

我々船頭は日々身をもってこの自然の猛威と恵みを感じている。

我がの力のみで生きているという傲慢な思考から、人は決別し、
自然のまえには無力な小さな存在だということを理解し
謙虚にならなくてはならない。

また、台風は週末には私達の住む西日本や東日本に接近する恐れがある。

小さく無力なお互いは、奄美の皆さまの被害を他人事と思わず、牙をむく
自然の猛威の中で、辛い時こそ助け合い「ともに生きていく心」を
持たなくてはならないことを、自然がらのメッセージとして
しっかり受け取らなければいけないのではなかだろか。