保津川下りの船頭さん

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‘おこしやす’‘おもてなし’の言葉から導きだす観光立国・日本。

2010-11-29 17:09:53 | 船頭の目・・・雑感・雑記
京都観光をイメージするものに京都人が話す「京ことば」があります。
その代表的な言葉として思い出されるのは「おこしやす」というお招きの言葉です。
でもこの「おこしやす」といういう言葉にはとても深い意味があることを、
ある講演会で教えていただきました。
講師の先生によると同じお迎えする意味の言葉でも「おこしやすとおいでやす」とは、
明らかに思い入れが異なり、使い分けられているというのです。

「おこしやす」の‘こす’というのがとても重要なワードで、漢字に直すと‘越す’と書き、
実は「県境を越えて京都へ来てください」というお誘いの意味と
来ていただいた「感謝の気持ち」でお迎えする言葉だというのです。
三方を山に囲まれている盆地の京都には、多くの人が険しい谷坂の山道を越えて
他所から遠路はるばるお越しなられます。

京都市内から来る人には「おこしやす」とは言わずに「おいでやす」と言うことから
「おこしやす」が他所から来られた方々に向けられた言葉であることがわかります。

「境を越えて来て下さい」・・・さまざまなイマジネーションが広がる深い言葉ですね。
‘越える’という言葉には、生まれ育った土地・環境を離れ、自分自身の心の垣根までも
越えて、新天地を見るという心の向きを表し、今までの自分を越えて
新たな自分を見つけ出す旅ともいえます。
そして、それぞれがバラバラではなく、垣根、枠を越えて‘つながる’ことの大切さまで
示唆しているように感じるのです。

これまでの固定概念に囚われず、広い視野を持ち、異人種や異文化を迎え入れる心の向きを
「おもてなし」の心の言葉としてあらわしたもの。それが「おこしやす」なのかもしれません。

この「おもてなし」という言葉。これも深い意味がありそうです。

「思って・・・なす」がおもてなし。つまり相手のことを思って行なうことです。
大切なことは「思っている」だけではダメというところ。
実際に心に思っていることを行動に表して実践すること、
これが「おもてなし」の言葉の重要ポイントだと思うわけです。

固定概念や既成概念に囚われず、越境した人とつながり、相手のことを思った活動する。
この二つの言葉に込められた精神こそ、これからの日本観光の核となるものだと
感じのは私だけではないでしょう。

現在、日本では長引く経済不況と新たなグローバル化の嵐の中、国家再生を賭け
観光事業に大きな注目が集まっています。
2003年から、我が国では、外国人旅行者の訪日促進活動として「ビジット・ジャパン・キャンペーン」
を展開しており、今年年間1000万人の外国人が訪日することを目標としています。

しかしながら、昨年は同じアジアの韓国とシンガポールに抜かれ、観光客総数で
世界33位に甘んじるという現実にぶつかっているのです。

日本の観光業が世界へ伍して戦っていく最大の武器、それは景観や伝統・文化財だけではなく、
この京ことばに込められた「おもてなしの精神」ではないか。
事実、今、中国から来られる観光客の方が、日本を発つとき必ず言われることが
日本人の親切心と相手のことを思い行動する姿に感動した」というコメントです。

日本観光が世界へPRする最大の武器こそ、この世界に類をみない
相手を思う‘心’と‘行い’という精神性ではないかと感じています。
観光都市としての歴史を有し日本を牽引してきた京都が生み出した
「おこしやす」と「おもてなし」の言葉。
この言葉の意味をしっかり胸に治めて、我々観光業に携わる者は
真剣に心を尽くし、実践していく行動が求められています。

そしていつか日本がフランスやイタリアを抜き、世界一魅力のある国として注目される
そんな‘夢’を現実のものとできる秘訣が隠れていることをこの講演会を聴いて感じた次第です。

観光はなにも観光業者だけのものではないです。
国民ひとりひとりが「まだまだ日本は倒れないぞ!」という高い志を持ち、
アジアで真っ先に近代化に成功した明治から昭和の高度成長時代までの
世界を駆け回った自信と誇りに満ち溢れた日本人の心を甦らせ、
下を向くことなく、目線をあげて、イタリア、フランス、スペイン、中国に
負けない世界一の魅力のある観光立国を創ろうではありませんか




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